11時間目 ページ13
.
校舎を後にして夕方に差しかかる頃、秀華は自身のお気に入りの場所に来ていた。トサッとカバンを草むらの上に置いて、自身も寝転がる。深呼吸をして目を閉じると眠気が襲ってきた。しかし、その眠気を妨げるように携帯の着信音が鳴った。秀華は携帯をとり、ディスプレイを確認して顔を顰める。
浅野學峯。秀華の父であり、椚ヶ丘中学校・高校を創立10年で全国屈指の優秀校にした敏腕経営者。E組制度を作った張本人。
鳴り続けるコールにため息をついて、秀華は電話に出た。さらに秀華は先程草むらに放り出したカバンを拾い、電話を繋げたまま歩き始めた。
「…もしもし、何か御用ですか理事長。」
「いえ、君のような優秀な人材をE組において置くのはやはり惜しいと思ってね。…次のテストで当然1位になるであろう君をA組に戻すことは容易い。A組の先生もクラスのみんなも心配していたよ。」
「…そんな建前は結構です…。貴方は最も長く教えている
秀華は少しだけ声を震わせながら理事長に応答した。電話をしているだけなのにピリピリと嫌な雰囲気が秀華の周りに立ちこめる。ザワザワと木々が揺れる音が電話の音を邪魔する。
「分かっているのなら話は早い。次のテストで1位をとってA組に戻りなさい。」
「……すみません理事長。記憶消去の手術は流石に受けたくないので。失礼します。」
そう言い捨てて秀華はブツッと電話を切った。はぁ、と短くため息をついて森を抜けると、彼女は本校舎へおりていく道を下り始めた。
その後ろには殺せんせーに狂気的な殺意を取り除かれ、スッキリした表情のカルマとカルマが心配でそばにいた渚、そして殺せんせーがいた。
「…浅野さん、やっぱり理事長から何か言われたりするのかな。」
渚が心配そうに呟いた。
理事長の娘という立場でありながらE組に通うというのは自分には想像できない気苦労があるのではないか、と。カルマも渚のつぶやきに同意する。すると殺せんせーが口を開いた。
「…彼女はとても優しい性格です。カルマくん、停学明けの君のことを心配していたりとね。気負いすぎることがないといいのですが…。」
「…浅野さんなら大丈夫っしょ。」
「えっ?」
「さ、帰ろー渚くん。」
大丈夫と言い切るカルマに対して怪訝そうな顔をする渚だったが、置いていかれまいと渚は彼を追いかけた。
.
550人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「暗殺教室」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ざくろ(プロフ) - ユイさん» コメントありがとうございます!!確かに2番ですね!!!素で間違えてました!!!ご指摘ありがとうございますm(_ _)m (2021年3月16日 6時) (レス) id: d0e69d8f04 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ(プロフ) - 最近読み始め、すごく楽しく読ませていただいています。ふと気になったのですが、出席番号は2番が正しいのでは?と思いました。まだ読んでる途中なので何か別の理由があって1番にしているのであればすみません。作品楽しく読ませていただいています! (2021年3月16日 4時) (レス) id: 2946381aea (このIDを非表示/違反報告)
ざくろ(プロフ) - プロテインさん» ありがとうございます(*^^*)暗殺教室はとても好きな作品なので更新頑張って行きたいです (2020年10月22日 22時) (レス) id: fa9a4862ad (このIDを非表示/違反報告)
プロテイン - 質が高くて、キャラとの絡ませ方がお上手で、続きがとても気になります( ≧Д≦) (2020年10月22日 19時) (レス) id: 038dc633ea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ざくろ x他1人 | 作成日時:2020年10月19日 2時