突然と強制続【死穢八斎會】 (ページ5)

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突然33 感謝ページ5

『刷り込みってわかります？』

「確かカモとかの雛が孵化した直後に最初に見たものを母親と思い込むってやつですよね？」

『はい。それと同じ事ですよ』

私がそう言うとクロノは首を傾げた。

『父は私を引き取ってすぐに暴力で私を従わせました。同時に父には逆らえない、勝てないと思い込まされました。
それが刷り込みと同じなんです』

そう。父にそう思い込まされた私は実際、個性を使えば父に勝てた。父より実力は上だった。

しかし、逆らえなかった。無理だった。

またあんな痛い思いをするのかと思うと恐怖で震えた。

『これで全て話し終えました』

「最後に一つだけ聞きたい事がありやす。
私が部屋に入った時は監視カメラなんてありやせんでした」

『それは暮らし始めて一年位で父が全て外しました。代わりに電話した時はすぐに出ろ、と言う条件付きで』

ふとオーバーホールさんを見ると顔に蕁麻疹が出ていた。

そして初めて気付いた。

私の話が終わるまで風呂に入らずに聞いていた事に。

『すいません…！迷惑をおかけしました。あと、長くなってすいませんでした…』

「…風呂に入る」

オーバーホールさんには感謝しかない。

次は迷惑かけない様にしよう…

そう固く心に決心した。