風の魔術師、此処に降臨【弐】

争奪戦 ページ10

マシュと共に食堂に足を踏み入れると、此方に気付いたサーヴァント達が笑顔を浮かべて「おはよう」と挨拶をしてくれる。

俺も同じように返し、カウンターに向かうとエミヤが此方を振り返って柔らかな笑みを浮かべる。


エミヤ「やぁ、マスター。」

立香「おはよう、エミヤ。
今日のメニューはなに？」

エミヤ「今日はふわとろオムライスだ。
デザートにはパンケーキも用意してある。」

立香「やった！！俺エミヤのオムライス大好きなんだよね〜。」

マシュ「確かに、エミヤさんの作る料理はどれも絶品ばかりですね。」

立香「マシュはプリンが好きなんだっけ？」

マシュ「はい！あの滑らかさと上品な甘味が、カラメルソースの程好い苦味とマッチしてとても美味しいんです！」


両手に小さな拳を握り、やや興奮ぎみに力説してくるマシュ。
俺の後輩が今日もかわいい。


エミヤ「ふ、嬉しい事を言ってくれるな。
少し待っていてくれ、すぐに二人の分も作ろう。」

立香「分かった！」


楽しみだね〜。と言いながら空いている席が無いか探していると、不意に近くから「マスター！」と呼ぶ声が聞こえた。


立香「ロビン、ビリー！おはよう。」

ロビン「おはよーさん。
席、空いてますよ。」

ビリー「君達が良ければ一緒に食べない？」


言いながら、ロビンは自分の隣の席を指さす。
ビリーも歓迎してくれているようなので、じゃあそこに行こうかな。と歩き出そうとすると、突然誰かに腕を掴まれた。


立香「おうっ！？」

清姫「席でしたら私の隣も空いてますよ？
ま・す・たぁ♪」

立香「き、きよひー…！？
ビックリしたぁ…」

清姫「うふふ……驚くますたぁも素敵です…♪」

頼光「立香、どうかこの母の隣においでくださいな。」

ガウェイン「マスター、席ならば此方も空いておりますよ。」

立香「頼光さんにガウェインまで…」


それを皮切りに、他のサーヴァント達が次々と自分の所にと呼んでくる。
一度こうなるとこのサーヴァント達は人の話を聞かなくなってしまうのでどうすれば収まるのかと頭を悩ませていたその時。


？？「ちょっ、と待って！ほんとに待って！！
君ほんと力強いね！？
下手したらあのロクデナシよりも上だよ！？」

？？「わぁ、今日はふわとろオムライスだって。美味しそうだね。」

？？「話を聞いてくれ！」


何やら入口の方が騒がしい。
おまけに片方はとても懐かしさを覚える声だ。
一瞬、【彼】の事が脳裏をよぎったけれどすぐに有り得ないと思って首を横に振った。

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