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幼い頃何度も何度も母に読み聞かせてもらったお気に入りの絵本を見つけた。
懐かしい。
そうそう、こんな話だったなあ。
お猿さんが自分のやりたいことをいっぱいしてお母さんに褒められる、ただそれだけだけど幼い私はこんな風に色んなことをしたいと思ってた。
いまはこのお猿さんがちょっと羨ましく思える。
このときの自分のやりたいことをしたいっていう気持ち忘れてた。
「え、…」
「ん…?」
突然声と共にテーブルに影が差し込む。
見上げると、そこには生徒会長がいた。
「あ、ごめんなさい。その席僕のお気に入りの席で…まさか人がいると思わなかったので」
生徒会長もここお気に入りだったんだ…。
この席使ってる人あまり見たことなかったけどたまたま出くわさなかっただけなのかな。
「あの、私の方こそごめんなさい。ここポカポカで気持ちよくて…!いま退きますね?」
「いえいえそんな、大丈夫です!先に使ってたのはあなたなので僕は違う席に」
「いえっ!もうそろそろ帰ろうと思ってたのでここ使ってくださいっ」
すごく申し訳なさそうな顔をした生徒会長。そんな顔されたらちょっと悪いことした気になっちゃう。
「なんかすみません。ありがとうございます。」
「全然大丈夫です。そんなに気にしないでください」
そう言って席を立つ。
絵本を本棚に戻し、隙間から彼が席に着くのを見届けて図書室を後にした。
なんだか思いがけないハプニングが起こったなあ。
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作者名:もも | 作成日時:2020年5月14日 10時