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別れ ページ5

次の日フィードは目を覚ますと外に出ました。

木に張り付けられもう紫の瞳を見せることのないビウォラの紐を解き、木から降ろしました。

かつてフィードがそうしてもらったように。


「母さん、おはよう。」


フィードはビウォラを丁寧に優しく抱きしめ、立ち上がりました。

辺りでは森の生き物達も目を覚まし、小鳥達が歌っています。


「母さん、僕も大きくなったでしょ。母さんも軽々だよ。」


もちろんビウォラが返事をすることはありません。

フィードは静かに母と毎日の様に行った湖のほとりを目指しました。

そこにはビウォラの息子、フィードの兄が眠っているのです。


「もう少しでお別れだね。」


ビウォラの願いと言うのは自分が死んだら息子の隣に埋めて欲しいとのことでした。

フィードは時折ビウォラの口を伝う血を拭います。


とうとう湖に着きました。

湖はいつもの様に木々の木洩れ日にゃり水面はキラキラと光っています。

フィードは初めてこの景色を見たとき、あまりの美しさに泣いてしまったのを今でも鮮明に覚えています。

その時もフィードの頬を伝う涙をビウォラが優しく拭ったのです。


「これで、最後だね。」


フィードはビウォラをそっと置き、湖の石碑の横を掘りました。

丁寧に広く掘った穴にビウォラを寝かせました。

フィードは泣きそうな顔で微笑み、土を被せました。


「おやすみなさい、母さん。愛してる………………………ウッ、ワア"ァァァァ"!」


フィードは泣くのをずっと堪えていたのです。

フィードはいつまでも泣いていました。

そして、金髪の紫の瞳の男は死ぬまで二つの墓を守り続けましたとさ。





終わり

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咲都紀(プロフ) - 碧さん» こんにちは。以前夢主さんのイラストのご依頼を頂いておりました、咲都紀と申します。ご無沙汰しております。イラストが完成してからしばらくしても確認のコメントがなかったため、完成をお伝えしにまいりました。お忙しいかと思いますが感想をいただけますと幸いです。 (2021年3月19日 19時) (レス) id: 4f1698224d (このIDを非表示/違反報告)
- ▼ユウリ▼さん» ありがとうございます!嬉しいです! (2020年7月17日 6時) (レス) id: 5b8fccba8f (このIDを非表示/違反報告)
▼ユウリ▼(プロフ) - 宣伝書かせていただきましたー!ランキングおめでとうございます! (2020年7月16日 22時) (レス) id: 1c943d80a5 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 碧さん!宣伝のやつ書いてみました!どうぞ、見てみてください!!! (2020年7月15日 17時) (レス) id: 98a3710ab0 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 本当ですかっ!?嬉しいです!!ありがとうございます!! (2020年7月15日 16時) (レス) id: 98a3710ab0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:琥珀 碧 | 作成日時:2020年6月27日 19時

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