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思えば77期の紹介映像をみんなで見た後も、くびれがどうのこうのって言ってたな。
たしかに真琴は同期内ではぽっちゃり体型かもしれない。けれど、それを自分だけの個性とするかコンプレックスとするかは本人次第。……真琴の性格的には後者なんだろう。
乗り物酔いなら外を見た方がいい。そう凪沙が声をかけると、この場にいなかった研究生の声がした。「たかみなさん、」と呼んだのは彼方さんだ。思わずみんなそっちに注目する。
「あの、体の具合はどうですか？」
「うん。ぼちぼちだよ」
「……あの、これ。パパコックにキッチン借りて作ってみたんです！」
「うわ、クッキー？」
会話が聞こえる限りでは、彼方さんが渡したハート型の箱にはクッキー。しかもそれは彼女がわざわざ手作りをしたらしい。「これ、ウチ？」と、たかみなさんは言う。たかみなさんの顔のアイシングクッキーか、シンプルにチョコペンなどで顔を書いたのか。そこはわからない。
けれど、たかみなさんが受け取ると彼方さんは心底嬉しそうに頬を染めていた。友歌の「うーわ、恋する乙女じゃんアレ」にたしかに、の気持ちで頷く。
「彼方さん、可愛い」
「お姉♡」
織音と楚方も、まるで甘酸っぱい少女漫画でも読んでいるかのように女の子の顔。美森さんも微笑ましそうにその光景を見つめていた。
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到着して、船をおりた瞬間から鼻腔を突き抜けるは潮の香り。熱海星は芸能が全面解放されている星だ。一年を通して温暖な気候を保ち、視覚的に青に囲まれた有数のリゾート地として知られている。
太陽の光が水面に反射して輝く。サマースポーツをしている人、海上の高床式の家、氷が溶けてグラスから聞こえた涼しい音。感じる全てが心地よい。75期や真琴以外の77期は目を奪われていた。
思わず飛び出す楚方。しかし、ツバサさんがうなじ部分の服を掴んで止める。
「遊ぶのは撮影の後！ 日が出ているうちに終わらせなきゃいけないの。直ぐに着替えてきなさい」
「「はーい」」／真「はーい……」
「それと、Aは特に急いで。先方が最近の貴方の活躍を知っていて、襲名メンバーとも一緒に撮ってみたいんですって」
「了解です」
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2022年10月21日 14時
