173 :♪（回想） ページ23
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RIVERとはどういう曲なのか。人並みにAKB48さん自身への応援歌である、"かっこいい曲"ということは知っていた。けれど、この歌が作られた経緯は優しいものではないらしい。
教えてくれたのはともちんさん。そのまま詳しく話を聞かせてくれた。「なになに？」と、佐江さんや美森さん、智恵理もその場に集まっていたっけ。
『ある日、ともちんがプロデューサーに言ったんだって。「もう限界です、AKB48を辞めさせて下さい」ってね』
RIVERは、板野友美さんが当時のAKB48さんのプロデューサー(以下P)に願い出た際に贈った曲と言われているらしい。
AKB48さんは結成されても、暫くは全くの泣かず飛ばず。初公演のお客さんが7人だったのは、星暦に生まれた私たちでも知っている。
その背景だが、当時の芸能……音楽業界は三人の歌手が
『アイドル、秋葉、オタク、キモイ。このバッシングが苛烈を極めた。オリジナルのともちんはAKBに入る前、ダンスチームに入っていてね。……でも、アイドルになったことで学校でシカトされたりもしたらしい』
『そんな……！』
『酷いですわぁ……』
『私もそう思う。それに、ともちんだけじゃない。他にもそういう人が何人もいたんだって』
ともちんさんは続ける。当時はチームAのみの公演。毎日。土日は三度ステージに立つ。けれど来る日も客は集まらない。少ない休憩時間の合間に、メンバーは外へチラシを配りに出た。
しかし無名のチラシを多くの通行人は受け取らず。受けとっても、メンバーの目の前で捨て踏み付けた人もいたらしい。あるメンバーは、誰もいない客席に手を振りながら泣くのを堪えながら歌った。アイドルに対する偏見や、無観客で公演が終わると誰かが必ず泣いていた。
Xmasの三回公演。メンバーは手に息を吐き、摩擦で温めながらチラシを配るがやはり捨てられる。目の前にはXmasを楽しむ、多くの同じ年頃の女の子たちが通りすぎる。公演のお客さんは殆どゼロ。
開場終了のBGMでクリスマスソングが流れて来たとき、メンバーの一人が「何やってるんだろうね、私たち」と呟いた。その途端、メンバー全員が大号泣したらしい。
『そういうことが幾度とあった。AKB48は、秋葉原の街の地べたを這いずり回って劇場を満員にしたんだよ』
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2022年10月21日 14時
