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▼Nagisa
彼方さんも知ってしまった。すると智恵理は何も言わずに走って言ってしまう。待って、の声は届かないみたいに姿を消した。
わたしは彼方さんに一瞬目配せをして、智恵理を探しに行く。でも普段生活しているどの部屋にも彼女はいない。あとはわたしたちの部屋だけ……。
ドアノブを回すと緩やかな風が頬を撫でた。窓を開けた先のベランダに智恵理は寄りかかって俯いていた。わたしはゆっくり彼女へ近寄る。
なんて言えばいいか分からない。けど、とりあえず声をかけようとしたとき智恵理はやっと口を開いた。
「私……あのとき一緒にライブを見てから、00に入りたくて。でも、父に何度オーディションを受けたいと言っても絶対に認めてもらえなかった」
智恵理が言ったことに思わずハッとする。だって、わたしも同じだったから。パパに何回もお願いした。けれどいつも冷たく否定された。
それでわたしは、家を飛び出した。
「でも諦めきれなくて、こっそりもう一度00のライブに行ったの。そのとき……DESの襲撃に。DESが使っていた機体は、父の会社のものだった……」
だから、オーディションがあることを知って、智恵理も家を飛び出したと言う。
智恵理は、もう一度行ったというライブで見た光景は今も鮮明に覚えているらしい。恐怖で歪むファンの顔、逃げ惑う人々を大きな機体で踏み潰すかのように威圧的な攻撃。それを作り出した根本がゾディアック。つまり、智恵理のお父さんとその会社。
「でも、みんなから見れば私も。許せない敵の、許せない娘。分かってた……ここにいちゃいけないって」
「そんなことないよ！ わたしは智恵理と一緒に襲名して、ステージに立ちたい！」
「………ごめん、少し一人にさせて」
智恵理は何も悪いことをしていない。それどころか、00が大好きで今も立派にアンダーを全うしようと努力している。それなのに。
このままじゃ……00をやめてしまうかもしれない。そう思い、引き止めるように叫んだ。これはわたしのエゴかもしれない。けれど、それでもいい。智恵理と一緒に四人で夢を叶えたい。誰かひとりが欠けても駄目なんだ、ひとりで襲名しても意味が無いんだ。
けれど、智恵理のためを思う言葉をわたしは見つけられなかった。智恵理が望んだ通り、今は部屋を後にする。
東の空では夕方の色が迫っていた。部屋の中は余計に寂しそうに見えた。
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ひな(プロフ) - 東雲れーたさん» わー！覚えていてくださってありがとうございます！！とてもわかりやすくて見ているこっちまで胸が暑くなったり、ちょっとヒヤヒヤしたり...これからも頑張ってください！！ (2月4日 23時) (
レス) id: 1ddf176c35 (このIDを非表示/違反報告)
東雲れーた(プロフ) - ひなさん» 確認しました。向こうにもコメントしてくれたひなさんでしたか！ 作品を跨いで気に入っていただきこちらも嬉しい気持ちでいっぱいです。場面が頭に浮かぶ、文字なのに音楽や息遣いが聞こえてくる……一応そんな文章を意識してます。今後も楽しんでもらえたら幸いです。 (2月2日 8時) (レス) id: 35709d1cf1 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - ここまで来ちゃいました！！ポケモンの作品まで書かれていたんですね....！大好きな作品だったのですぐにわかりました！文の読みやすい書き方などが大好きです😌 (2月2日 6時) (レス) id: 1ddf176c35 (このIDを非表示/違反報告)
東雲れーた(プロフ) - 暇っぽちゃんさん» お返事遅くなってすみません。そう言っていただけてこちらも嬉しいです。応援ありがとうございます、頑張ります！ (2022年10月15日 20時) (レス) id: 70caf03276 (このIDを非表示/違反報告)
暇っぽちゃん(プロフ) - 久しぶりに0048の新作品があってとても嬉しいです…！！更新頑張ってください！！ (2022年10月6日 18時) (レス) @page34 id: 31b607a5e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2022年7月17日 20時
