060 ページ10
▼Orine
案内されたのは畳が一面に敷かれた広い部屋。上座の、壁の高いところには端からずらりと歴代のともちんさんの写真が飾られている。
順々に見ても、やはり同じ顔。現在のともちんさんに寸分狂わない見た目だった。同じ人の写真をコピーしたみたい。
「うちは代々、【板野友美】を襲名してきた家系なんです」
「えっ」
「代々……【板野友美】を？」
ともちんさんのお母さんがお茶を持ってやってくる。彼女は、襲名し続ける理由を語ってくれた。
00の襲名メンバーは、外見的にオリジナルそっくりであることは重要ではない。それでも、ともちんさんの家系……継承する板野家の一族はオリジナルの遺伝子を濃く受け継いで、ともちんとしての英才教育が施されるらしい。
話の途中で「友美、」と男性の声。また……襲名の名前だった。友歌と前入口を見ると、ともちんさんが「パパ」と呼んだ。
「おかえり。研究生のお友達も、ゆっくりしていってね」
「「ありがとうございます」」
「顔も似せるため、お婿さんもともちんに似た人を選んでます」
「すっご……」
ともちんさんのお父さん、ともちんさんと同じアヒル口だった。ご先祖様の意志を繋ぐため、そして初代ともちんを忠実に再現して尽くして。
すごい。としか言えない。
「ちゃんと、持ち歩いているみたいね」
「うん」
ともちんさんの使命が分かったところで、ともちんさんがトランクの内のひとつを開ける。中には………巻物？
ともちんさんが言うに『ともちんの書』。全部で48巻あるらしい。手伝いのお礼だと言って、そのうちの一つを見せてくれた。ともちんとしての心得がびっしり書かれているのを友歌が読み上げる。
「ともちんたるもの、美意識高くあるべし。ともちんたるもの、常に味覚音痴であるべし………？」
ともちんさんが、お饅頭にマスタードを大量に絞った。炒飯の時と同じようにそれを苦ともせず食べる。
他にもいっぱい。『ともちんたるもの、』の始まりで努力家であるべし、メイク上手であるべし。長い巻物48巻分。書かれているらしい。
.
【 11代目 板野友美 】
秋葉星出身。小柄で可愛い。私服のセンスはNo.1。チャームポイントはアヒル口。女子の憧れの的で、年齢問わず幅広い人気を誇る。
口数が少なく一見クールに見えるが、実はフレンドリーで後輩とも仲がいい。味覚音痴の激辛党。得意技は蟹挟。ともちんでいるための努力は惜しまない。実家は寮から徒歩圏内。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 31人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：東雲れーた | 作成日時：2022年7月1日 14時
