082# 私服チェック ページ32
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オリジナルの握手会は個別と全国、二つの形式があった。しかし、0048の握手会ではそれを併せた形になっている。これは鈴子が教えてくれたことだ。さすが星暦版エケペディアの編集を手がけるだけある知識量。
握手会はいくつかのレーンに分かれている。私は実際に行ったことはない。だから、友歌たちと一緒に今日は少しはしゃいでいた。
「貴方たちの握手は13時50分から。午後から休憩に入るメンバーのレーンに入ってもらいます。貴方たち77期生は、4人ずつに分かれて2レーン」
着替えを済ませたら時間まで待機。話が済んだら、ツバサさんは控え室を後にする。そういえば私服。みんな、無事に決まったのかな？
カーテンで仕切られた試着室で着替え終わって出ると、真琴と楚方は既に準備万端だった。真琴は青のインナーに水色のミニスカ、白のショートパーカー。こちらはジップタイプなので、いつものカジュアルな格好よりキュートな印象だ。
対して楚方は、全身を優しいピンクでまとめた服装。ベビーピンクのうさ耳を嬉しそうにビョーンと伸ばして見せる。
「………あ！ やっぱり制服！」
「いﾞっ……あ、ほらほら。一応正装だしっ」
「はぁ、まあ問題はそれより……何その格好！ 本気なの？」
「本気じゃない瞬間なんて、私にはないけど」
「はあ！？」
最近の凪沙は普段着と称して、同じデザインではあるが色違いのパーカーを着ていたけれど、私服が大事だとあれだけ言われて結局制服にしたらしい。アイドルってそういうイメージはあるけれど……。
友歌はオレンジ色のワンピース。襟と袖、そして裾がレースの素材であしらわれていて可愛い。花畑をイメージする。髪も今日は赤いシュシュでおめかししていた。
そんな彼女が凪沙より不満を顕にしたのは智恵理だった。確かに今回ばかりは私も物申したい感じではある。
智恵理が今日という服に選んだのは、初めて会った日に着用していたもの。紺のゆったりとしたパーカーにブラウンのパンツ。極めつけにはボリュームのある帽子を目深に被っている。「誰とも仲良くするつもりはない」みたいな格好だ。
「マジ？ 智恵理の良さ全然出てないじゃん。私の美意識に反する」
「そう言われても、これしか持ってきてないもの」
「あ〜〜〜もう！ 私の貸すからこれ着なよ、ほら！」
見かねた友歌が自身の鞄をゴソゴソ。別のコーデを持ってきていたらしい。本当にその中、なんでも出てくるね。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2022年7月1日 14時
