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ツバサさんからの連絡が一旦ピリオドを打った直後、突然「そうそう！」と同意するような声。現れたのは、
「たかみなさんっ」
「ゆきりんさん」
「さやか♪」
閉めていたリビングのドアが外側から開き、襲名の三人が姿を現した。比較的近くにいた真琴と鈴子、そして楚方が順にその名を呼ぶ。
私のキララ発覚から約十数日。街が夏の空気を帯び始めた今日は、この時間でも珍しく寮にいたらしい。
「「「「おはようございます！」」」」
「おっはよーう。ウチらはさ、『会いに行く』アイドル。そんでもって触れ合えるアイドル」
「握手会での対応は、これからの人気に深く関わってくるんですよ｣
思ってもみないことをゆきりんさんが言ったのか、藍花星出身の三人はまたも驚いていた。
そこで、才加さんが手本を見せるためか「このチャンスをモノにするにはまず……」と真琴の前に立つ。膝に置いていた真琴の両手を自身の両手で包み込んだ。
「心を込めた力強い握手！」
「いだだだだだだだ〜っ」
「で、バッチリ目を見て笑顔」
「ひぇええっ！」
「才加さん、オーバーすぎて真琴が怖がってます」
「あははっ。それぐらい意気込めってことじゃんか」
誰も何もつっこまないため、いつもの調子で一言。才加さんは笑っているけど、真琴はまだ手がピリピリするらしく目尻に涙が滲んでいる。
何故かたかみなさんは得意げにドヤ顔だ。え、才加さん本気だったのコレ。
一方でゆきりんさんからもアドバイス。ファンを一人一人認知することが大切だと言われた。名前や顔は勿論のこと、話した内容などを覚えていたら次回も会話が広がり、ファンがつきやすいと語る。
ゆきりんさんは自身の携帯で、メモを一部見せてくれた。これは京都星での握手会で話したことらしい。
「あとは私服。握手会だけだからね、ウチらが私服でそれぞれをアピールできるのは」
「ファンの方に好かれるのもガッカリされるのも、ここがポイントですね」
……コーディネートに関してはこじはるさんのお墨付き。私は今のところの心配はないかも。
でも初めての握手会、しかもお披露目も兼ねている。清楚や可愛い感じの方がいいのかな。いきなりカッコイイ感じで出て取っ付き難いとか思われたら……うーん。
なんて贅沢な悩みなんだろう。……凪沙たちに比べたら。
彼女は「ちゃんとした私服は制服しか持ってない」と言う始末。……大丈夫か？
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2022年7月1日 14時
