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Aが誰かと通話を始めた頃。街に出ていた凪沙と智恵理は優子を間に階段に腰かけ、三人で話し込んでいた。
優子が今まで撮ってきた写真は膨大な量だった。秋葉星に来てから更に増えたと語る。凪沙と智恵理はそれらを眺めていた。
「あっ、このたかみなさん可愛いですね。ふふっ、でもちょっと変な顔」
「だよね〜」
「ここのゆきりんさんも」
「うんうん」
彼女が思う最高の瞬間をレンズに収める。それは優子にとって一つ一つが大切だった。カメラが好きで、オフの日やレッスンの休憩中はこうやって過ごす。
そのことに凪沙は「意外ですね」の一言。優子は不思議そうにキョトンとしていた。凪沙がイメージした9代目ゆうこは、休日はスポーツをしているらしい。
けれど、趣味はカメラで他にも読書やパズル。観客が元気をもらうようなパフォーマンスをする人間である割には地味だ。優子は大きく口を開けて笑っていた。
その後、智恵理のキララがなにか気になったようだ。ふと手を止めたときに表示された写真をじーっと見ている。写っていたのは先代のあっちゃん。鈴子が最後のセンターノヴァと語った13代目前田敦子である。優子はそれをどこか懐かしむように優しい目をした。
「先代のあっちゃんはね、すっごい素敵な人だったんだぁ。いつもは静かで控えめなんだけど、ステージに上がるとキララたちが一斉にあっちゃんの周りに集まって輝いていた。……まるで、光のドレスを着ているみたいでさ」
当時、彼女はまだ襲名しておらず研究生。しかし既に、いつかはあっちゃんみたいなセンターノヴァになると決めていたという。
でも9代目ゆうこを襲名して直ぐに、あっちゃんはいなくなった。センターノヴァになったメンバーは、みんな不思議な辞め方をしているからだ。
「聞いたことあります。あっちゃんは、ライブ中に消えたって」
「消えた？」
「そのステージのとき、あたしは秋葉星で待機していたからよく分からないんだ。失踪したとか、誘拐されたんじゃないかとか……色々言われている」
「そんな！」
智恵理は訝しむように優子に告げる。凪沙はその話を知らないようだった。優子が内情を話すと、酷く驚く。
しかも、消えたのはあっちゃんだけじゃない。現在のゆうこが知る限りでは他にも。5代目みぃちゃんや6代目ゆいはん、7代目とも〜み…………それ以外にも。今も行方知れずのメンバーが殆どらしい。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2022年7月1日 14時
