第百七十三話「return」 ページ13
土方「俺らが道を数秒だけ作る。
その隙に、そこから行け」
首をふることは許されない。
私は感謝するように頭を下げてから、
後ろを向いた彼の服を引っ張った。
土方「…っ！？……なんだ」
A「…土方、此処の戦いが勝ったら、私が戻らなくても
誠の旗を、掲げてほしい」
土方「………わかった」
A「ありがとう」
土方「だが、誠を掲げるのは、
お前が戻ってくることを信じて、だ。」
まるで、『死ぬなよ』というような彼の瞳に、
私は無言でうなずいた。
・
・
・
土方「行け！！」
土方の叫び声が、私たちの耳を掠める。
私が三人に指示をすると、
刀を納めて、一目散にその道を走り切った。
A「…絶対、戻ってくるよ」
屋敷の中に入る直前、
私は新選組に向かって、小さくそういったのだった。
・
・
・
沖田「…たしかに、この中はあんまり敵がいないね」
A「この屋敷に入る分しか羅刹がいないからだと思う。
残りは、最上階にいるはず」
藤堂「ってことは…最上階に綱道さんとか風間とかがいるのか？」
A「綱道はよくわからないけれど…
千景君は確実に最上階にいる」
しんと静まり返った屋敷の中に、
私たちの声が響く。
先ほどの道を通り抜けてからは、敵はもう、ほとんどいなかった。
沖田「最上階に…ねぇ
じゃあ、もし奴らが来たら、Aと千鶴ちゃんは行って」
千鶴「え？」
千鶴がきょとんとした声をあげる。
沖田「綱道さんを止められるのは、千鶴ちゃんだけでしょ。
で、風間を止めるのはA。
あんな奴のとこになんて、行かせたくないけどね」
A「……」
藤堂「そうだな、なんかあればAがいるし…」
千鶴「でも、それじゃお二人が…」
A「大丈夫、彼らを信じて。
私たちには、それ以上のやることがあるから。」
ぎゅっと、斎藤くんの刀を握った。
大丈夫、二人だけじゃない。
私の今の状態で、千鶴を守り切れるかという不安は大きいけれど。
・
・
案の定、最上階に、羅刹は…いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 473人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
前田のさぶ(プロフ) - 初めてこんなに感動しました、とても切なくていいお話で涙が止まらなかったです。夢小説でこんなに感動したのは数年で初めてでした本当にありがとうございます！🥲お疲れ様です😌😌 (2022年8月31日 11時) (
レス) @page36 id: aeb32198b3 (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - 最高から一気に読ませていただきました。このような最高な作品を作ってくれてありがとうございます！本当に涙が止まりませんでした。本当にありがとうございます！何度でも読み返していきます。 (2021年7月16日 4時) (レス) id: ac5aee6225 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆粉 - 最高でした…。 (2021年3月18日 22時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
彗羽(プロフ) - 泣きました。とてもしあわせな作品をありがとうございます。アニメにそうのではなく、オリジナルの展開がたくさんあって、本当に楽しく読ませていただきました。また、読みます。何度でも読みたくなるお話でした。 (2018年12月16日 13時) (レス) id: 3386061a83 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 最初から読ませていただきました！ほんとうに素晴らしい作品です！！ありがとうございました！ (2018年8月9日 17時) (レス) id: 534d1c515e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
