第百六十二話「犯人」 ページ2
土方「待て！それは罠だ！！」
急に響いた土方の声に、
隊士数名が動きを止める。
思わず後ろを振り向くと、そこには肩を上下に揺らした土方の姿があった。
A「罠……？」
一歩だけ下がり、目の前の羅刹に刀を刺す。
そして、その羅刹がたおれたと同時に地面をふと見てみれば、
無数の羅刹が私の足元で血を流していた。
A「っっ！！！？」
すべて死体とはいえ、気味がわるい。
私が後方へと下がると同時、
土方の怒鳴り声があたりへと広がる。
土方「敵の狙いはAだ！！
羅刹に暗示をかけてやがるっっ」
沖田「なっ」
原田「暗示だと！？」
確かにそうだ。
羅刹は切られてもなお、私のもとへ行こうとする。
それは、私をおそうように、羅刹に暗示がかかっているから。
そして、その瞬間に気づいてしまった、
この羅刹に、暗示をかけた、親玉。
土方「これは、風間の仕業だ！！！！
全員、Aを渡すんじゃねぇぞ！」
私の思考と、土方の言葉が一致した。
風間が、この屯所を落とそうとしている。
新選組を、倒そうとしている。
A「……っ！！」
私の持っている刀が震える。
『風間が……』
私の心に、なにかどす黒い泥のようなものがたまるのが感じられた。
ぐわっっと、襲ってくる羅刹に刀を下す。
その瞬間、先ほどまでの勢いがなく、体が重くにぶくなる。
A「……なんで、風間が…」
不知火くんの言葉を思い出す。
『アイツはお前に執着しすぎている』
と、言っていた。
そして、この銃を渡して、
『殺せ』
と、言っていた。
・
A「……でき、ない…」
風間をこの手でころすだなんて、できるわけがない。
敵だと思っても、やっぱり彼の手は、私を生かそうとしていた。
いくら彼を軽蔑しようとしても、いくら殺そうとしても
無理だった。
できなかった。
いざ目の前にすると、温かいなにかがあふれてきて
なつかしくて
A「………っっ」
思わず、刀から手を放しそうになったとき。
「Aさん！！」
甲高い女の子の声が、私と羅刹の間に割って入ってきた。
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前田のさぶ(プロフ) - 初めてこんなに感動しました、とても切なくていいお話で涙が止まらなかったです。夢小説でこんなに感動したのは数年で初めてでした本当にありがとうございます！🥲お疲れ様です😌😌 (2022年8月31日 11時) (
レス) @page36 id: aeb32198b3 (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - 最高から一気に読ませていただきました。このような最高な作品を作ってくれてありがとうございます！本当に涙が止まりませんでした。本当にありがとうございます！何度でも読み返していきます。 (2021年7月16日 4時) (レス) id: ac5aee6225 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆粉 - 最高でした…。 (2021年3月18日 22時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
彗羽(プロフ) - 泣きました。とてもしあわせな作品をありがとうございます。アニメにそうのではなく、オリジナルの展開がたくさんあって、本当に楽しく読ませていただきました。また、読みます。何度でも読みたくなるお話でした。 (2018年12月16日 13時) (レス) id: 3386061a83 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 最初から読ませていただきました！ほんとうに素晴らしい作品です！！ありがとうございました！ (2018年8月9日 17時) (レス) id: 534d1c515e (このIDを非表示/違反報告)
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