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V.S




そのままゆっくりと、麺を啜る。ちゅるちゅるとした音と、だんだん笑顔になっていくAの顔。


やっぱり好きなのよねぇと、どこかぼんやり頭の片隅で当たり前のことを思った。




『ヴィル、これすっごく美味しいよ!』


「そうね」




目をキラキラさせながらアタシを見上げるAが眩しくて、目を細める。


そんなアタシは気にせずに、再びAはラーメンを食べ始めた。


アタシは心の中で一つ、ため息を吐く。人生設計が少し狂わされた。


少し目線を動かして、店内を見る。煩いくらいのテレビの音と、麺を啜る音。厨房から聞こえる、ラーメンを作っている音。


理想とはかなりかけ離れているが、これはこれでアリかしらね。




「A」


『ふぁい?……もぐ、あ、美味し』




静かな声で呼びかけると、Aは目線だけ上に上げて返事をした。


そんなに美味しいのかしら。後で一口貰おうかしらね。


そんなことを考えて、アタシは小さく口を開いた。……柄にもなく緊張しているようで、机の下に置いた指が、少しだけ震える。




「……アンタ、アタシと結婚しなさい」




その言葉は、存外簡単に口から出た。


Aはその言葉を聞いた瞬間に勢いよく顔を上げる。黒く輝く双眸と、目があった。


次の瞬間には、ぼふんっと音がつきそうなほど首元まで真っ赤にさせる。その変わりようが面白くて、だけど笑うのも可哀想だと唇を噛んだ。


ぱくぱくと何かを言いかけた口が開いて、閉じて。数回それを繰り返し、やっとのことでAは言葉を発する。




『よろっ、喜ん……で?』


「……ふふっ、良かった。断られたらどうしようかと思ったじゃない」




ぱちぱちと目を瞬かせ、夢じゃないかと頰をつねるA。


それから夢じゃないと分かるや否や、大きな目を潤ませ始めた。綺麗な瞳に、ゆっくりと膜が張っていく。


その姿に愛おしさが込み上げてきて、アタシは黒く煌く髪を優しく撫でた。


その瞬間、咳を切ったように泣き出すA。少なからず不安は覚えていたようで、申し訳ないという感情が生まれた。




「ごめんなさい、A。不安にさせたわね」


『……これから、幸せにしてくれたら許してあげる』




頭を下げると、鼻を啜る音と共に少しふてぶてしい言葉。


アタシは笑いながら顔を上げて「当たり前じゃない」と溢した。




「この世の誰よりも幸せにしてあげるわよ。覚悟してなさい」








サプライズにも程があるーー完ーー。

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- 夢主に恋愛感情持ってるやついるの草ァ…カリムはともかくレオナとか絶対分かっててあげてるだろ。 (2022年6月6日 23時) (レス) @page17 id: 745f3a4c41 (このIDを非表示/違反報告)
麗亜 - 犬って女の子も、good booyって言うらしいです。 (2022年1月10日 17時) (レス) @page18 id: 436e3086c5 (このIDを非表示/違反報告)
桜澤(プロフ) - 誕生日会……最高すぎません?……素晴らしすぎて終始微笑んでるんですけど。ほかの作品も順に見てるんですが、主様。天才脳をお持ちでは無いですか?最高楽しい幸せ癒しです! (2020年11月28日 12時) (レス) id: 20b9b01cf5 (このIDを非表示/違反報告)
零夜(プロフ) - 鬱アニメ、某魔法少女!?!?まどマギですか!?!?!(覚えてない) (2020年11月27日 0時) (レス) id: be63cd896a (このIDを非表示/違反報告)
printemps(プランタン)(プロフ) - チーズ鍋さん» ありがとうございます!! (2020年11月22日 23時) (レス) id: adf0bec428 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:チーズ鍋 | 作成日時:2020年10月23日 0時

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