・ ページ39
L.K
Aは俺の言葉に嬉しそうに笑った。
その様子を見て、ガキたちが首を傾げる。
「ぱぱとまま、またすきーっていいあってるね！」
「いつもいってるのにね！」
それを見てAがまた顔を赤くさせた。
そんなとき。俺の耳は、植物園の扉が静かに開く音を聞いた。誰だ。
「おいA、誰か来たみたいだ。そいつら、隠しといた方が良いんじゃねぇか」
Aの頭を抱いて耳打ちすれば、近くの茂みががさりと音を立てる。
「その必要はねぇよ」
『……え』
茂みから顔を出したのは、俺だった。……いや、俺と言っては語弊がある。
少しだけ歳をとった俺が、じっと俺らを見下ろしていた。
そいつを見て、ガキたち戸惑った声を上げる。
「ぱぱ！……が、ふたり？」
「そいつらはパパだけどパパじゃねぇなぁ、残念ながらまだな」
「二人ともこっちおいで。……パパは、向こうの人と話があるからね」
茂みからは更に、Aまで現れた。
ガキたちはAの言葉に頷いて、そちらへ向かう。Aも、ガキたちに連れられて大人のAの方へと行ってしまった。
この場に、俺と大人の俺だけが残される。
「……本当に、ここで働いているのか」
「何だよ、信じられねぇのか」
大人の俺は、少しだけ笑みを深くして。俺の頭に手を置いた。
その仕草や顔が優しくて、本当にこいつは俺なのかと。疑ってしまいたくなる。
「……最初は、大臣たちにも反対されたさ。国の為に働け、兄貴の手助けをしろ」
うんざりしたように話す俺は、その声に少しだけ苛立ちを含んでいた。それほどまでに、酷かったのだろう。
俺は冷え切った目のまま、吐き捨てるように呟く。
「最終的には、そんな女より貴族の女と結婚しろなんて言ってきやがった」
「……は」
何だよそれ、ふざけんな。
酷い話だろ？と俺は笑う。……笑えてるってことは、大丈夫だったんだろうが。
「そしたら。……兄貴が、そいつらにキレて、俺に好きなように生きろだってよ」
「……兄貴が」
「あぁ。……まぁ、年に数回は会いに行ってる。アイツらも、チェカとか兄貴に懐いてるしな」
「そうかよ」
「今は玉座なんてどうでも良くなっちまったからなぁ」
くくっ、と喉を鳴らして俺が笑う。
その目が映すのは、離れたところで話すAたち。それから、将来の俺の子ども。
「……そんなものより、もっと良いもん手に入れたからな」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3388人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さ - 夢主に恋愛感情持ってるやついるの草ァ…カリムはともかくレオナとか絶対分かっててあげてるだろ。 (2022年6月6日 23時) (
レス) @page17 id: 745f3a4c41 (このIDを非表示/違反報告)
麗亜 - 犬って女の子も、good booyって言うらしいです。 (2022年1月10日 17時) (レス) @page18 id: 436e3086c5 (このIDを非表示/違反報告)
桜澤(プロフ) - 誕生日会……最高すぎません？……素晴らしすぎて終始微笑んでるんですけど。ほかの作品も順に見てるんですが、主様。天才脳をお持ちでは無いですか？最高楽しい幸せ癒しです！ (2020年11月28日 12時) (レス) id: 20b9b01cf5 (このIDを非表示/違反報告)
零夜(プロフ) - 鬱アニメ、某魔法少女！？！？まどマギですか！？！？！（覚えてない） (2020年11月27日 0時) (レス) id: be63cd896a (このIDを非表示/違反報告)
printemps(プランタン)(プロフ) - チーズ鍋さん» ありがとうございます！！ (2020年11月22日 23時) (レス) id: adf0bec428 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：チーズ鍋 | 作成日時：2020年10月23日 0時
