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『……あ、迷子かな』
どこかに私と似ているお母さんがいるのかもしれない。その人と、間違えたのかも。
……まぁ、ナイトレイブンカレッジには私とユウちゃん以外に女の人は居ないのだけど。
自分で建てた仮説が崩れていくのが分かり、思わず苦笑した。
「まーま、抱っこ!」
『だ、抱っこ?……ちょっと待ってね』
ぐるぐると思考を巡らせる私の服の裾を引っ張って、女の子が抱っこを強請る。さっきまで泣いていたのに、強かな子だ。
にぱーと可愛らしい笑みを浮かべて手を伸ばす小さな身体をゆっくりと抱き上げると、子ども特有の体温が腕へと伝わってきた。
その身体を持ち上げ、視線を合わせる。緑色の澄んだ綺麗な目が、私を真っ直ぐに見つめていた。
視界の端では、ジャックくんが男の子を抱き上げる。
「あのね、さっきまでくろうりーさんといたんだけどね、はぐれちゃったの」
『クロウリーさんと居たの?』
「うん!ままたちがね、おしごとちゅうだから!」
女の子の口から出てきた名前に、私たちは顔を見合わせる。
クロウリーさんの知り合いなのだろうか。
私たちが首を傾げていると、今度は男の子の方が口を開いた。
「……くろうりーさんは、ぱぱとままのしりあいなんでしょ?だから、いつもあそんでくれるよ」
子どもらしい舌ったらずな口調だが、女の子よりかは幾分か落ち着いた口調で男の子は話す。
この子も、私をママだと認識しているようだった。
「ぱぱはね、こだい……なんとかのせんせいなんだよ。ままはそのじょしゅ」
『……どうしよう、取り敢えずこの子たちが可愛い』
「ままー?」
必死に話す男の子が可愛らしくて、そう言えば女の子が私の顔を覗き込む。さらりと茶色の髪の毛が垂れた。
エペルくんが何かを考える素振りをして。小さく「もしかして」と告げる。
「……この子たち、未来から来たとか考えられない……かな。未来で、何かのユニーク魔法に当たったとか、そんな感じでこの世界に来ちゃったとか」
「……あぁ、一理あるかもな」
『……え。てことは、この子たちは私の……未来の子ども?』
少しだけ自信がなさげだったけど、それが一番あり得るかも。
……そうかぁ、この子たちが私の子ども。……え。
小さく呟くと、エペルくんとジャックくんが「は?」と声を漏らした。
「ぱぱはねぇ、とーってもかっこいいんだよ!」
「うん!まじふとがね、すっごくつよいの!」
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さ - 夢主に恋愛感情持ってるやついるの草ァ…カリムはともかくレオナとか絶対分かっててあげてるだろ。 (2022年6月6日 23時) (レス) @page17 id: 745f3a4c41 (このIDを非表示/違反報告)
麗亜 - 犬って女の子も、good booyって言うらしいです。 (2022年1月10日 17時) (レス) @page18 id: 436e3086c5 (このIDを非表示/違反報告)
桜澤(プロフ) - 誕生日会……最高すぎません?……素晴らしすぎて終始微笑んでるんですけど。ほかの作品も順に見てるんですが、主様。天才脳をお持ちでは無いですか?最高楽しい幸せ癒しです! (2020年11月28日 12時) (レス) id: 20b9b01cf5 (このIDを非表示/違反報告)
零夜(プロフ) - 鬱アニメ、某魔法少女!?!?まどマギですか!?!?!(覚えてない) (2020年11月27日 0時) (レス) id: be63cd896a (このIDを非表示/違反報告)
printemps(プランタン)(プロフ) - チーズ鍋さん» ありがとうございます!! (2020年11月22日 23時) (レス) id: adf0bec428 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チーズ鍋 | 作成日時:2020年10月23日 0時