【 歌い手 】保健室 。【 センラ 】

16 日目 ページ19

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side Skt



全身の力を出し切ったのか ､ そのまま気を失ってしまった彼女を抱えあげて背中に寝かせる ｡



所謂 おんぶ ってやつ 。



初めて同年代の女子をおんぶしたけど ､ 女子ってこんなに軽いもんなんか ?




とりあえず 俺ん家 連れてくか …


知らん人の家とか 怖いやろうけど 仕方ない 。




俺は 着ていた自分の上着を彼女の背中に掛けてやった 。




…… 不謹慎やけど ､ 嬉しい 。なんて 。




あの日 。すぐに倒れちゃったから ほんとに一瞬しか見てなかったけど 。





さ ( うわ … 綺麗な子 …… )




整った顔 ､ スタイルだって良くて ､


なにより 消えちゃいそうな弱そうな 儚い彼女を見て ､ 初対面だけど 守ってあげたい ､ って思った 。





一目惚れ … ってやつか 。



1度でいいから 話してみたくて 。




理由をつけては 何度も保健室へ行ったけど ､ 彼女を見ることはなかった 。





それが まさか こんな形で叶うとは 。




神様がくれた チャンスなら 。


今 ここで 俺にも心を開いてくれんやろうか 。





さ ｢ … まぁ センラには勝てんやろうけどな ｣




呟いた声は 雨音に紛れて消えた 。

┈┈┈┈┈┈┈

side You


いつもと違う空気を感じて目を覚ます 。


目に映ったのは 全く知らない天井 。




…… どこ ?



確か 男の人に 腕掴まれて …… てことは え ､ 連れ込まれた ?




｢ …… っ ､ ゃ … ｣



怖くなって 力強く目を瞑る 。




さ ｢ !! 大丈夫 ? まだどっか具合悪い !? ｣



…… あれ ? 聞いたことある声 ?



先生じゃないけど ､ よく聞いてて … 楽しくなる声 … これは ……





｢ …… さかたくん ｣



さ ｢ あ ､ わかる ? そうそう 坂田やで ｣




カーテン越しにいつも聞いてた声 。



だけど ､ 姿を見るのも こうして自分が話すのも初めてで 。




｢ … わたし …… ｣


さ ｢ あっ ､ いきなり連れてきてごめんな ? ちゃんと説明したるから !! ｣




あの時 悪くないのに ごめんね ､ って謝ってきた彼らしく ､ よく笑う 優しそうな子だった 。

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