年下の男の子

・・・ ページ12

・







あのあと彼がいつ帰ったのかはわからない。




フロントに声をかけなかったのか、それともほかの出口を使ったのか。


やけにロンジュンくんを意識したまま、私は約束通りジェヒョンさんと食事に行った。




JH『おまたせ、』




相変わらず格好いい姿と、完璧なエスコート。



まるでお姫様かのような扱いを受けて、気分はいいけど、


けど、緊張しちゃってご飯が食べれない。





JH『具合悪い？』


「ううん、あまりに素敵なお店だから…」


JH『俺といるのに緊張しないでよ』




ははは、と低く笑ったジェヒョンさん。




JH『俺の方こそAみたいに綺麗な人とご飯食べて緊張してるんだから』


「…ちょっと、！」



そんな発言にドキドキしながら、白いお皿の真ん中にちょこんと乗った料理たちを口にする。


全然味がわからない。



ジェヒョンさんと過ごす時間は、特別で、非現実的で

やっぱりドキドキする。



JH『今日も家まで送る』



当たり前のように、彼は助手席のドアを開けた。



「ごめんなさい、いつも」


JH『これくらいは当たり前だよ』




明るいビル立ちの間を抜けて、2人だけの車内。




JH『…来週の月曜日、空いてる？』


「月曜ですか、？」


JH『うん』



確認します、と言って携帯を開くと




"明日、空いてませんか？"




ロンジュンくんからの連絡が入っていた。



『お姉さんのこと好きなんだけど』



彼の言葉が脳内にフラッシュバックする。





JH『……A？』


「、はい」


JH『その日来客があるから、同席してほしいんだ』


「私でいいんですか、？」


JH『忙しい？』



どうやら私的な誘いではないらしい。



「いいえ、大丈夫です」

JH『じゃあ、向こうにも伝えておく』



そんな会話をしていると車は前と同じ、家の近くの道に止まった。




「ありがとうございました、」



車を降りて、運転席のジェヒョンさんに頭を下げた。

開いた窓から彼が顔を出す。




JH『…あのさ』


「はい、？」



真っ直ぐな彼の目線が私を突き刺す。




JH『俺は、真剣にAとのことを考えてる。すぐじゃなくていいから、返事がほしい』


「……え、？」


JH『遊びなんかじゃない』




身を乗り出したジェヒョンさんは、私に口付けた。




JH『…ごめん』




逃げるように発進した車を見つめるしか出来なかった。

ハッキリ→←お約束

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す