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薄く室内を照らす暖かな日光。
充満する紅茶の香り。
優雅な午後の空気を鼻腔一杯に吸い込み_____、
「はぁ!?嘘でしょ!?」
不良真っ青の喧嘩上等な声を腹の底から出した。
バタバタと足を上下させ、
メッセージのやり取り画面を睨む。
単刀直入に云うと、現在会話しているのは男だ。
……が、浮気とは全くもっての別物で、
実は私は彼に、男性の本音を聞いていて______
_________突如、ピンポーン、と機械音が響いた。
「へい?」
思わず携帯を手から滑り落としそうになる。
「待って」と指先で言葉を綴って、
慌ただしく玄関へと向かい、何者かを確認す____
________は、中也?
*
「何で急に……」
「何だよ、駄目なのか」
その後、何食わぬ顔で私の家に上がって来た中也を取り敢えずソファに案内して、現在は事情聴取中。
「俺が手前と居たかッただけだッての」
______の、筈なのに。
私の彼氏は直ぐに甘い言葉を吐くのだから、
心臓が幾つ有っても足りない_____、
「………あ、?」
「?如何し…ッて、わああ!?」
……なんて、胸をときめかせていたその隙に、
手元にあった筈の携帯は忽然と姿を消していて、
「……へェ、……」
……代わりに、中也の手の中に在るものだから。
意味深に蒼の瞳を細める様子からして、
コレは、絶対______
「無理無理返して中也…っ!
そんなん読まれたら、恥ずかしくて、死ん____ッ」
「______なァ、A。手前の好きな人は?」
次の瞬間、衝撃と共に上から降ってくる甘い質問。
彼に押し倒されたと気づいたのは、数秒後だった。
「ッな、んで」
「…手前の好きな人は誰だ?なァ、答えろよ」
「…………ちゅ、や、です」
直後、正解とでも云う様に優しく笑われ、
身体の奥が着火したように熱を持った。
クラクラしてしまう程の甘過ぎる状況に耐えきれず、「も、もう退いてよ」と押し返そうとすれば、
「_________もう少し此処にいろよ」
なんて低い囁きが、落とされて。
乱れる思考回路へ追い打ちをかける様に、
それはそれは楽しそうに口を開く彼______
「じゃあ第二問な、俺の好きな人は?」
「……ッ、え?」
「早くしろよ。ほら、五、四……」
「わッ、………わた、し?」
「目ェ見てねェからもう一回、」なんて云われたら、もう羞恥に潰されそうで。
机の上に置かれていた私の携帯には、
『男ってのは嫉妬深いからね』なんて文字が淡く光っていた。
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ましろ(プロフ) - こんばんは、夜分遅くにコメント失礼させていただきます。小説を読み返そうと思い作者様のページに素晴らしい作品を見つけてしまいました。最高です。今後とも楽しみに更新待っております……! (2018年4月5日 2時) (レス) id: 44c5cd76d2 (このIDを非表示/違反報告)
どんぐり(プロフ) - くるみさん» 返信担当どんぐりです。楽しんで頂けて何よりです。本作は双黒の短編集ですので、良ければ中也さんのお話を読み返して頂けたらと思います。どのお話でも恰好良い双黒が見られるよう精一杯頑張りますね。ありがとうございました! (2018年4月1日 16時) (レス) id: f67c16c67e (このIDを非表示/違反報告)
高澤白(プロフ) - ASさん» コメント担当高澤です。回ってきました笑 実は私も面子と現状に未だ驚いております…!立て続けのありがたいお言葉…おふたりにもしっかり届いていると思います!お好みの双黒を届けられる様じっくりゆっくり頑張っていきますね!応援コメントありがとうございました! (2018年4月1日 16時) (レス) id: 9d2314264a (このIDを非表示/違反報告)
ピロウ(プロフ) - らすくさん» コメント返信ピロウが担当させて頂きます!そんなお言葉が頂けてとても嬉しいです…、素晴らしすぎるお二方との合作は緊張するものでもありますが、少しでも読者様に楽しんで頂けますよう精一杯頑張ります!暖かなコメントありがとうございました! (2018年4月1日 16時) (レス) id: aafbc19e8e (このIDを非表示/違反報告)
どんぐり(プロフ) - 黒瀬のんさん» コメント返信どんぐりが担当します。嬉しすぎるお言葉にありがたいばかりで返す言葉が見つかりません…。もれなく三人とも人間です(笑)が、三人で頭を捻り合って作品を最高のものにするべく頑張りますね!ありがとうございました! (2018年3月31日 23時) (レス) id: f67c16c67e (このIDを非表示/違反報告)
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