歌い手達は幼女を拾ったようです

涙と我慢 ページ36

そらるside




もうすぐで家につく、というところだった。



今は車を運転するうらたくんと俺だけだ。



他は寝てしまっている。




俺はいろいろ考えて見た。



みんなが途中泣いたのは嬉しさからだと思っていた。



俺も最初はわからなかった。



でも冷静になるとわかったんだ。



あのときの涙はこれから、幸せにできるのか、という



“不安”と“恐怖”だと思った。





そ「うらたくん。」


う「なんですか？」


そ「本当にこれでよかったのかな。」


う「今更遅いですよ。笑顔を守ると誓ったのはそらるさんですからね。」


そ「まぁ、そうだな。」


う「親バカぁ…w」


そ「なんか言ったか、ちびたぬき。」


う「ちびたぬき…はんぺん！！」


そ「あれぇー？うらたくんー？あ、いたー。小さくて見えなかったー。」


う「もういいです！」


そ「ごめん、ごめんw」



拗ねるうらたくんを慰めながら



腕の中で眠るAを強く抱きしめ


頬についた涙のあとを撫でる。



あのときの涙のわけ



それは、きっと



お父さんと離れたくないという思いと



自分を笑顔にしてくれた俺らへの想いと




これからお父さんといてもお父さんが辛い過去を思い出すかもしれない、


自分が我慢すればいいという



結局は“我慢”なんだと思う。




こんな小さいのに


こんな大きな決断をして


大きな不安や恐怖をかかえて


我慢までして



そういうことを思うほど



守る、幸せにする



そんな気持ちが大きくなっていく。





気づくと家についていた。

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