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｢道端の雑草を気にする奴なんて誰もいない｣
【注意】
･マギの夢小説
･ホムペじゃありません
･主人公:練紅炎成り代わり
･とにかく酷いです
【設定】
･紅炎成り代わり女主
･性格は卑屈的で自己嫌悪気味
･普段は紅炎らしく振る舞う
･前世の名前:苑花
･前世の姉と紅炎に執着している
･紅炎&姉＞家族＞＞＞超えられない壁＞＞＞自分
名前変換が出来ないのが悔しい(´・ω・｀)
字数が多いので思いっ切ってホムペ風の小説をつくりました
｢道端の雑草を気にする奴なんて誰もいない｣【注意】
･マギの夢小説
･ホムペじゃありません
･主人公:練紅炎成り代わり
･とにかく酷いです
【設定】
･紅炎成り代わり女主
･性格は卑屈的で自己嫌悪気味
･普段は紅炎らしく振る舞う
･前世の名前:苑花
･前世の姉と紅炎に執着している
･紅炎&姉＞家族＞＞＞超えられない壁＞＞＞自分
名前変換が出来ないのが悔しい(´・ω・｀)
字数が多いので思いっ切ってホムペ風の小説をつくりました
恥だけの人生を送ってきました
私という人間の生涯を表すならそれが一番だと思う。馬鹿で屑でどうしよもなくて、亀の歩みと表すのが失礼なくらいのろのろと生きていた。ゆらゆらゆらゆらと漂い流されて、可も不可もない学校生活を送る。でも、それが私の生き方だった。そういう優順不断な屑の生き方しか知らなかった
繰り返される日常、繰り返されない通常。それは流れてく川のようで、ああ、あの古典はこういうことを言っていたのかと思うほどで。そんな些細な日常の中で
ただひとつ、どうしようもないくらいに困っていたことはあったけれど
困っては、いた
ただそれはニュースや新聞で流れる痛ましい事件や進行形で進む社会の問題からしてみたら些細なことだとも思う。でもやはり私からしてみたら死活問題で、どう足掻いても困っていたのは確かだった
数並ぶドアを開けば生活感のない廊下があって階段を登らずリビングに向かえば、そこにあるのはいつもの風景
ああ、違う。いつもと《違っていく》風景。ひとつ、ひとつ日に日に少なくなっていく荷物にひやりと背中が震える。胃の中が逆流して、吐き出したい衝動に襲われる。気持ち悪くて仕方が無くて。ここは私の家なのに、見知らぬ場所にいるかのような違和感
誰もいない違和感
誰かがいたはずの違和感
浮き上がる疑問に答え有り余るほどで、そのどれもがそうあってほしくないと思ってしまった。そしてまた私は知らないフリをして自分の部屋逃げ込む。必死で考えた末の自己防衛であった
私しかいない違和感
私だけ感じる孤独
空っぽになるリビング。荷物の消える私の部屋
違和感、違和感、違和感、違和感、違和感。学校から帰る度に増える違和感、気づいていても認めたくないこの違和感。どうしてどうして、どうして?
目をそむけたくても知ってしまった事実が、恐ろしくておぞましくて
ガチャリ、とドアを開けようとした手が止まって心臓が跳ねる
そんなことない、そう自分に言い聞かせて鍵を差し込んでみても途中で止まって開けることは出来なかった。どうして
可もなく不可もなく、人並みの学生、それが私のはずでしょう。おかしいことなんて何もなかった。鍵を持つ手が重く感じてしょうがない…でも、気づいたら、駄目だ
気付いたら全てが終わりになってしまう。気付いてしまえばそれで終わり、今まで必死で積み上げてきたものが一瞬でがらくたへと変わって
「あら？」
聞こえた声に息を詰まらせ身を竦める。そういえば久し振りかもしれない…関心をもって声を掛けられるなんて。普段は存在すら認められないから
そう思いながらゆっくりと振り返った。意思通りな上げられない視線は足元にたどり着き、のろのろと目に入った綺麗なワインレッドのハイヒールからさらに上へと沈黙は促した。本当は私だって信じたくない、でも知っていた。
「あなたまだいたの？」
「……お母さん」
いらないから忘れられて、いらないからなかったことにされて。全部全部最初からいなかったことにされて、捨てられただけ
「この家も売るから、あなたにいてもらっても困るんだけど…」
「でも、」
「早く次の飼い主を見つけなさいね？」
「…………っ」
困ったと眉を下げて平然とそう言う。赤いグロスが塗られた形の良い唇から吐き出された言葉は、毒のようで
意味が分からない。だって、そんな、そんなこと
「……やっぱり動物と違って勝手に出ていったりしないのね。もう一人は物分かりが良かったのに。まぁいいわ、今までお疲れ様」
「…お母さん」
「名前、なんだっけ？…私は猫くらいにしか思ってなかったからねぇ」
育てられてたんじゃなくて、飼われていたなんて……分かるわけない
…それに" もう一人"は、出ていったんだ。あの人…姉は一体どんな心境で出ていったのだろう
あの人にも私は捨てられたのだろうか
唇を噛んでまた俯いた綿の手から鍵を取り、ふわりとした甘い香水の香りを残してヒール鳴らし視界から消える
私は、絶対だと信じてた、それが拠り所だと思ってた。だって、私は、私は…!
「だって…それしか、なかったから」
惨めになって名前さえないことに悲しくなって、大声で泣いた。叫んで叫んで泣いたところで戻ってきてはくれなくて。あぁそうえば昔からなにかしてもらった記憶なんてないと思い出す。忘れたんじゃなくて最初からなかったんだ…なんだそんな、簡単なこと
いらなくなったから、捨てられたんだ。私は、苑花は
拾ってくださいとか飼い主探してますって、本当そんな風に、ペットみたいに飽きたから捨てられたんだ……そっか
「――っ、困ったなぁ…」
学校もいけないし、家もない。そもそも生活出来るだけのお金もない。こういうときにどうしたらいいのかっていう知識もないし、頼れる友人もいない。唯一の姉ももういない
「いきばがなくなっちゃった」
目を瞑るとまた涙が溢れた
優しさは偽物で優しさは偽善で優しさはただの幻想だっただけ。つらいかと言われたらつらいとは思う。でも何よりもぎゅっと心臓の奥が痛くて痛くて、苦しくてましろはただ泣き続けた
思い出す全てが夢であるように、と
泣いて、泣いて、とにかく赤子のように泣きじゃくって、私は覚悟を決めた
スクールバッグに入っている筆箱を取り出し、それを思いっ切り床に叩きつける。シャーペンやら消しゴムやら様々なものが散らばって、その中から私はあるものを選んだ
…………カッター
キリキリと音を出しながら全ての刃を出し切る。小さく息を吸って、それを首筋に当てた
躊躇いもある。後悔もある
でも、こんな世界で生き続けるくらいなら、いっそ
カッターを持つ右手を勢いよく引いた
ーーー本当は分かっていたのです。両親は私を愛してくれていないということを。でも、だからこそ幸せな結末を夢見ていました
私に暴力を奮う父も、私に見向きもしない母も、厳しくて甘い姉も、皆が笑っている世界を望んでいた
でも、それは叶うことはないんですね。夢見ることも罪だったんですね
さようなら、私が愛した人達
……それなのに
｢…ッどうして……｣
鏡に映るのは燃えるような赤い髪を持つ男のような女。豪華な服を纏い、泣きそうな瞳をしながらこちらを見ている
嗚呼、やだよこんなの。私はこんなことを求めていない。何故、どうして?
どうして" 彼"の存在を私が奪ったの??
彼は、残酷で、優しくて、強い人だ。沢山の人に慕われていて、こんな屑がなっていい人じゃない。嫌だよ、苦しいよ。ねえ誰かこれは夢だと言って下さい
私は練紅炎じゃない!!
そう叫びたかった。自分は苑花だと誰かに知って欲しかった。でも、そんなの許される筈がない
練紅炎を奪った罪人なんだから
もうやだよ、生きたくないよ。誰か、誰か私を…………
「お前は、練紅炎。いずれ煌帝国…いや、世界の頂点となる男だ」
まだ幼かった私は、ぼんやりとしながら男の言葉に頷いた
私は、いつまで舞台に立てば良いのですか
転生した先は二次元だった。マギ。私が好きだった漫画
私はよく図書館通いをしていて、珍しく図書館にあった漫画だった。漫画を読むのは初めてで少し緊張しながら読んだけど、瞬く間に私はマギにはまった
特に好きなキャラクターっていうのはいなかった。だって全員好きだから
みんなそれぞれの信念の元真っ直ぐに生きていて、憧れていた。自分で己の運命を切り開いていく姿が凄く格好よかった
…それでも、私は死んだ。自分がいらない存在だと知って、首筋を掻き切って死んだ
もう生きることに疲れていたから。どれだけ希望を抱いても、叶わないということを知ってしまったから
次に生を受けて全てを理解したとき、私は絶望した。｢練苑花｣それが今世の私の名前。前世と変わらない名前。でも、気付いてしまったんだ
己が｢練紅炎｣の居場所を奪ったことに
私の走るべきレールは、もう引かれたも同然。私の第二の人生は、「苑花」ではなく、「紅炎」として生きるしか道がないものだった。だから必死に練紅炎を演じて生きていた、のに
｢でも、お前は紅炎なんかじゃねぇんだよ｣
誰かがそういい、蔑んだ目をして私を睨みつけた
｢……兄王様、紅炎兄上!!｣
｢……ッ紅明か｣
｢どうしたのですか、呆けておりました｣
貴方がそんな表情をするなんて珍しい
目の前にいた紅明が眉を寄せながら言った。……ああ、さっきのは白昼夢だったか。表情を引き締めて私は口を開く
｢何でもない。…紅明、さっきの軍議の書類を纏めてくれ｣
｢勿論です｣
紅明の返事の聞き、部屋から出ていく姿を見て溜息を吐いた。私が女で｢苑花｣だということは数名を除き誰も知らない。弟や妹達だって知らない
…いつか言おうと思っていた。でも、｢紅炎｣じゃない私が否定されるのが怖かった。臆病者な私はこれからもずっとずっと隠し続けるのかもしれない
ふと、近くにあった鏡を見た。豪華な装備がされた最高級の鏡。中に映っている女は泣きそうな顔をしていた
｢バレてしまうのが、怖いよ｣
小さく呟いた言葉は誰かに届くこともなく消えた。視界が潤み、滲んでいく。きゅう、と目元が熱くなる
鏡に映った女の頬に、一筋の涙が伝っていた。それを最初に涙が溢れてくる。ゴシゴシと袖で拭っても、止まってくれなくて
………まだ私は泣くのか。暫くは誰も来ないけど、早く止めないと
こんなとき、何時も思うのだ。練紅炎である私が思うこれは軽蔑に値するだろう。でも、苦しくて悲しくてしょうがなくて
そっと己の両手を首元に当てる。どくどくと脈の音がする。私が生きているという証拠。涙はまだ止まっていなかった
そのままゆっくりと力を入れていった
音が、一度早くなって、遅くなって、小さくなって、と ぉ く な っ て ー ー ー
｢…………兄王様?兄上ッ!!?｣
ガン、と思いっ切り扉が開く音で意識が戻った。最後に一粒涙が伝う。嗚呼、もう少し…別に死ぬつもりはないけれど
まだ脳内は正常に動かないからだろうか。紅明の声に危機感など感じず、更に締めようとした、が彼の力強い腕によって止められた。ドン、と壁に押さえつけられ酷く強く両手首を掴まれる。抵抗しようとするものの動かない。……私が、女だから?
痛み故だろうか、止まったと思ったのに涙がポツリと雨のように紅明の手先を濡らした
何時も落ち着いている癖に今は感情表現が激しい。私(紅炎)とはまた違った赤眼が私を捉えていた。その瞳は大きく見開かれていて、驚愕が溢れている。そして何故か、まるで今にも泣き出してしまいそうな目だった
｢何故…ッ何故こんなことを!｣
｢…………｣
｢何故死のうとしたんですか!?どうして泣いているんですかッ!?何故…なぜ私達に何も言ってくれないのですか……ッ!!｣
別に、何も言っていない訳じゃない。ただこのことに関しては言う必要がないと判断したまでで
此処まで逆上する紅明は久しぶりに見た。自分が焦っているのかそうじゃないのかわからない、ただ、ぼんやりと紅明を見ていた
｢……紅明、離せ｣
｢嫌です。説明してくれるまで離さない｣
取り敢えず、ギリギリと力強く掴まれた腕が痛くて離せといった。…が紅明は離してくれず条件を突き付けてきた。何でこの人はそこまで強情になるのだろう。私にはわからない
理由なんて、ただむしゃくしゃしただけだ。紅炎として生きるのが億劫になっただけ
でも、それを言ったって理解出来る訳がないから私は黙る。自分は自分自身でしかないのだから、" 代わり"となって生きる人間を理解出来る訳が無い。何より私は｢練紅炎｣だ。今日バレたのは失敗だったとして、彼はこんなことをやらないだろう
｢…兄王様?｣
｢…………(誰か、誰でもいいから)｣
まるで夢現のようだった。ふわふわとした思考で意味のわからないことを考えて。こういう願望でも私は人に押し付けることを考える
｢(私の首に赤い縄を巻いて締め殺してよ)｣
私という人間の生涯を表すならそれが一番だと思う。馬鹿で屑でどうしよもなくて、亀の歩みと表すのが失礼なくらいのろのろと生きていた。ゆらゆらゆらゆらと漂い流されて、可も不可もない学校生活を送る。でも、それが私の生き方だった。そういう優順不断な屑の生き方しか知らなかった
繰り返される日常、繰り返されない通常。それは流れてく川のようで、ああ、あの古典はこういうことを言っていたのかと思うほどで。そんな些細な日常の中で
ただひとつ、どうしようもないくらいに困っていたことはあったけれど
困っては、いた
ただそれはニュースや新聞で流れる痛ましい事件や進行形で進む社会の問題からしてみたら些細なことだとも思う。でもやはり私からしてみたら死活問題で、どう足掻いても困っていたのは確かだった
数並ぶドアを開けば生活感のない廊下があって階段を登らずリビングに向かえば、そこにあるのはいつもの風景
ああ、違う。いつもと《違っていく》風景。ひとつ、ひとつ日に日に少なくなっていく荷物にひやりと背中が震える。胃の中が逆流して、吐き出したい衝動に襲われる。気持ち悪くて仕方が無くて。ここは私の家なのに、見知らぬ場所にいるかのような違和感
誰もいない違和感
誰かがいたはずの違和感
浮き上がる疑問に答え有り余るほどで、そのどれもがそうあってほしくないと思ってしまった。そしてまた私は知らないフリをして自分の部屋逃げ込む。必死で考えた末の自己防衛であった
私しかいない違和感
私だけ感じる孤独
空っぽになるリビング。荷物の消える私の部屋
違和感、違和感、違和感、違和感、違和感。学校から帰る度に増える違和感、気づいていても認めたくないこの違和感。どうしてどうして、どうして?
目をそむけたくても知ってしまった事実が、恐ろしくておぞましくて
ガチャリ、とドアを開けようとした手が止まって心臓が跳ねる
そんなことない、そう自分に言い聞かせて鍵を差し込んでみても途中で止まって開けることは出来なかった。どうして
可もなく不可もなく、人並みの学生、それが私のはずでしょう。おかしいことなんて何もなかった。鍵を持つ手が重く感じてしょうがない…でも、気づいたら、駄目だ
気付いたら全てが終わりになってしまう。気付いてしまえばそれで終わり、今まで必死で積み上げてきたものが一瞬でがらくたへと変わって
「あら？」
聞こえた声に息を詰まらせ身を竦める。そういえば久し振りかもしれない…関心をもって声を掛けられるなんて。普段は存在すら認められないから
そう思いながらゆっくりと振り返った。意思通りな上げられない視線は足元にたどり着き、のろのろと目に入った綺麗なワインレッドのハイヒールからさらに上へと沈黙は促した。本当は私だって信じたくない、でも知っていた。
「あなたまだいたの？」
「……お母さん」
いらないから忘れられて、いらないからなかったことにされて。全部全部最初からいなかったことにされて、捨てられただけ
「この家も売るから、あなたにいてもらっても困るんだけど…」
「でも、」
「早く次の飼い主を見つけなさいね？」
「…………っ」
困ったと眉を下げて平然とそう言う。赤いグロスが塗られた形の良い唇から吐き出された言葉は、毒のようで
意味が分からない。だって、そんな、そんなこと
「……やっぱり動物と違って勝手に出ていったりしないのね。もう一人は物分かりが良かったのに。まぁいいわ、今までお疲れ様」
「…お母さん」
「名前、なんだっけ？…私は猫くらいにしか思ってなかったからねぇ」
育てられてたんじゃなくて、飼われていたなんて……分かるわけない
…それに" もう一人"は、出ていったんだ。あの人…姉は一体どんな心境で出ていったのだろう
あの人にも私は捨てられたのだろうか
唇を噛んでまた俯いた綿の手から鍵を取り、ふわりとした甘い香水の香りを残してヒール鳴らし視界から消える
私は、絶対だと信じてた、それが拠り所だと思ってた。だって、私は、私は…!
「だって…それしか、なかったから」
惨めになって名前さえないことに悲しくなって、大声で泣いた。叫んで叫んで泣いたところで戻ってきてはくれなくて。あぁそうえば昔からなにかしてもらった記憶なんてないと思い出す。忘れたんじゃなくて最初からなかったんだ…なんだそんな、簡単なこと
いらなくなったから、捨てられたんだ。私は、苑花は
拾ってくださいとか飼い主探してますって、本当そんな風に、ペットみたいに飽きたから捨てられたんだ……そっか
「――っ、困ったなぁ…」
学校もいけないし、家もない。そもそも生活出来るだけのお金もない。こういうときにどうしたらいいのかっていう知識もないし、頼れる友人もいない。唯一の姉ももういない
「いきばがなくなっちゃった」
目を瞑るとまた涙が溢れた
優しさは偽物で優しさは偽善で優しさはただの幻想だっただけ。つらいかと言われたらつらいとは思う。でも何よりもぎゅっと心臓の奥が痛くて痛くて、苦しくてましろはただ泣き続けた
思い出す全てが夢であるように、と
泣いて、泣いて、とにかく赤子のように泣きじゃくって、私は覚悟を決めた
スクールバッグに入っている筆箱を取り出し、それを思いっ切り床に叩きつける。シャーペンやら消しゴムやら様々なものが散らばって、その中から私はあるものを選んだ
…………カッター
キリキリと音を出しながら全ての刃を出し切る。小さく息を吸って、それを首筋に当てた
躊躇いもある。後悔もある
でも、こんな世界で生き続けるくらいなら、いっそ
カッターを持つ右手を勢いよく引いた
ーーー本当は分かっていたのです。両親は私を愛してくれていないということを。でも、だからこそ幸せな結末を夢見ていました
私に暴力を奮う父も、私に見向きもしない母も、厳しくて甘い姉も、皆が笑っている世界を望んでいた
でも、それは叶うことはないんですね。夢見ることも罪だったんですね
さようなら、私が愛した人達
……それなのに
｢…ッどうして……｣
鏡に映るのは燃えるような赤い髪を持つ男のような女。豪華な服を纏い、泣きそうな瞳をしながらこちらを見ている
嗚呼、やだよこんなの。私はこんなことを求めていない。何故、どうして?
どうして" 彼"の存在を私が奪ったの??
彼は、残酷で、優しくて、強い人だ。沢山の人に慕われていて、こんな屑がなっていい人じゃない。嫌だよ、苦しいよ。ねえ誰かこれは夢だと言って下さい
私は練紅炎じゃない!!
そう叫びたかった。自分は苑花だと誰かに知って欲しかった。でも、そんなの許される筈がない
練紅炎を奪った罪人なんだから
もうやだよ、生きたくないよ。誰か、誰か私を…………
「お前は、練紅炎。いずれ煌帝国…いや、世界の頂点となる男だ」
まだ幼かった私は、ぼんやりとしながら男の言葉に頷いた
私は、いつまで舞台に立てば良いのですか
転生した先は二次元だった。マギ。私が好きだった漫画
私はよく図書館通いをしていて、珍しく図書館にあった漫画だった。漫画を読むのは初めてで少し緊張しながら読んだけど、瞬く間に私はマギにはまった
特に好きなキャラクターっていうのはいなかった。だって全員好きだから
みんなそれぞれの信念の元真っ直ぐに生きていて、憧れていた。自分で己の運命を切り開いていく姿が凄く格好よかった
…それでも、私は死んだ。自分がいらない存在だと知って、首筋を掻き切って死んだ
もう生きることに疲れていたから。どれだけ希望を抱いても、叶わないということを知ってしまったから
次に生を受けて全てを理解したとき、私は絶望した。｢練苑花｣それが今世の私の名前。前世と変わらない名前。でも、気付いてしまったんだ
己が｢練紅炎｣の居場所を奪ったことに
私の走るべきレールは、もう引かれたも同然。私の第二の人生は、「苑花」ではなく、「紅炎」として生きるしか道がないものだった。だから必死に練紅炎を演じて生きていた、のに
｢でも、お前は紅炎なんかじゃねぇんだよ｣
誰かがそういい、蔑んだ目をして私を睨みつけた
｢……兄王様、紅炎兄上!!｣
｢……ッ紅明か｣
｢どうしたのですか、呆けておりました｣
貴方がそんな表情をするなんて珍しい
目の前にいた紅明が眉を寄せながら言った。……ああ、さっきのは白昼夢だったか。表情を引き締めて私は口を開く
｢何でもない。…紅明、さっきの軍議の書類を纏めてくれ｣
｢勿論です｣
紅明の返事の聞き、部屋から出ていく姿を見て溜息を吐いた。私が女で｢苑花｣だということは数名を除き誰も知らない。弟や妹達だって知らない
…いつか言おうと思っていた。でも、｢紅炎｣じゃない私が否定されるのが怖かった。臆病者な私はこれからもずっとずっと隠し続けるのかもしれない
ふと、近くにあった鏡を見た。豪華な装備がされた最高級の鏡。中に映っている女は泣きそうな顔をしていた
｢バレてしまうのが、怖いよ｣
小さく呟いた言葉は誰かに届くこともなく消えた。視界が潤み、滲んでいく。きゅう、と目元が熱くなる
鏡に映った女の頬に、一筋の涙が伝っていた。それを最初に涙が溢れてくる。ゴシゴシと袖で拭っても、止まってくれなくて
………まだ私は泣くのか。暫くは誰も来ないけど、早く止めないと
こんなとき、何時も思うのだ。練紅炎である私が思うこれは軽蔑に値するだろう。でも、苦しくて悲しくてしょうがなくて
そっと己の両手を首元に当てる。どくどくと脈の音がする。私が生きているという証拠。涙はまだ止まっていなかった
そのままゆっくりと力を入れていった
音が、一度早くなって、遅くなって、小さくなって、と ぉ く な っ て ー ー ー
｢…………兄王様?兄上ッ!!?｣
ガン、と思いっ切り扉が開く音で意識が戻った。最後に一粒涙が伝う。嗚呼、もう少し…別に死ぬつもりはないけれど
まだ脳内は正常に動かないからだろうか。紅明の声に危機感など感じず、更に締めようとした、が彼の力強い腕によって止められた。ドン、と壁に押さえつけられ酷く強く両手首を掴まれる。抵抗しようとするものの動かない。……私が、女だから?
痛み故だろうか、止まったと思ったのに涙がポツリと雨のように紅明の手先を濡らした
何時も落ち着いている癖に今は感情表現が激しい。私(紅炎)とはまた違った赤眼が私を捉えていた。その瞳は大きく見開かれていて、驚愕が溢れている。そして何故か、まるで今にも泣き出してしまいそうな目だった
｢何故…ッ何故こんなことを!｣
｢…………｣
｢何故死のうとしたんですか!?どうして泣いているんですかッ!?何故…なぜ私達に何も言ってくれないのですか……ッ!!｣
別に、何も言っていない訳じゃない。ただこのことに関しては言う必要がないと判断したまでで
此処まで逆上する紅明は久しぶりに見た。自分が焦っているのかそうじゃないのかわからない、ただ、ぼんやりと紅明を見ていた
｢……紅明、離せ｣
｢嫌です。説明してくれるまで離さない｣
取り敢えず、ギリギリと力強く掴まれた腕が痛くて離せといった。…が紅明は離してくれず条件を突き付けてきた。何でこの人はそこまで強情になるのだろう。私にはわからない
理由なんて、ただむしゃくしゃしただけだ。紅炎として生きるのが億劫になっただけ
でも、それを言ったって理解出来る訳がないから私は黙る。自分は自分自身でしかないのだから、" 代わり"となって生きる人間を理解出来る訳が無い。何より私は｢練紅炎｣だ。今日バレたのは失敗だったとして、彼はこんなことをやらないだろう
｢…兄王様?｣
｢…………(誰か、誰でもいいから)｣
まるで夢現のようだった。ふわふわとした思考で意味のわからないことを考えて。こういう願望でも私は人に押し付けることを考える
｢(私の首に赤い縄を巻いて締め殺してよ)｣
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夜@依存症(プロフ) - 虹音レインさん» ありがとうございます。まあ、実際ホムペ風ですしね←勿論許しますよ(黙コメント本当に感謝です!!あと、ハンカチどうぞ!泣かないで下さい(´・ω・｀) (2015年8月2日 0時) (
レス) id: ba305e0bc2 (このIDを非表示/違反報告)
夜@依存症(プロフ) - みずあいすさん» コメントありがとうございます!……( 'ω')ふぁっ嬉しい言葉感謝です。か、感動して下さるなんて、誠に嬉しいです!!私が感動で号泣しますね← (2015年8月2日 0時) (レス) id: ba305e0bc2 (このIDを非表示/違反報告)
夜@依存症(プロフ) - ゆみさん» コメントありがとうございます、名前が違いますが依です。成り代わりってとてもデリケートなジャンルだと思い、作りました!やっぱり理解者がいるのって大切ですよね…… (2015年8月2日 0時) (レス) id: ba305e0bc2 (このIDを非表示/違反報告)
虹音レイン(プロフ) - 面白かったです！一瞬「ホムペ・・・？」と思った私を許してください（泣き (2015年7月31日 19時) (レス) id: 6ecb7f5059 (このIDを非表示/違反報告)
みずあいす - なんでこんなにも感動するのに誰も見ようとしないんだろう……。小説じゃないから……？ (2015年6月4日 20時) (レス) id: 94c5760bdb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：依 | 作成日時：2015年5月8日 0時
