黒い糸【高生紳士】

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CSS 前来世とは

前世から見た来世の前世と受け継がれている

では果たして

来前世はどうなのだろうか

来世から見た前世の来世

長年と時を経て

結ばれる約束

これは彼らの来前世である

*
*
*

夢黒(むくろ) (名前)

"恋"っていう物は、物理的に説明する物じゃないと思う。
自然とできて、運命と感じる物を"恋"って言うんじゃないだろうか。
だって、一目惚れで好きになるのはどうと思うし。

その人の性格を知った訳じゃない。
後で幻滅するかもしれない。もしかしたら、彼氏がいるかもしれない。

それなのに、どうして女という塊はそれを"恋"と呼ぶのだろうか。

夢黒YOU……女に生まれて約二十年。
女なのに、女の事が理解できないタイプの人間です。

恋の種類には五つある。
一つは、みんなもよく知る"赤い糸"。
愛する者同士を結ぶ糸のようだ。ちなみに、実は三本あったりする。

一番太いのが、絆が強くよく結ばれるだとか……。
二つ目は"薔薇色"。"赤い糸"より素敵に見えるが、実はとんでものない物だったりする。

遊び相手の男女の間に出来るそうだ。

三つ目は"金色、銀色"。
これはどうやら、お金の関係で結ばれた間の物のようだ。
……まぁ、要は財閥の血縁者がもう決まっていたりした時の事だろう。

四つ目は"紫色"。
これは同性愛同士で結ばれる糸のようだ。

私からみたら、ほど遠い糸だと思う。

そして、最後に"黒い糸"。
これは嫌ったり、憎んだりしている者同士で結ばれる糸だとか。

しかし、残念ながら今まで出会ったきた仲に結ばれている人物はいなかった。

あぁ、言い忘れていた。
―― 一応、私はその糸が視えるのだ。
無論、全員の。

だから、そこら中糸だらけで正直前がみづらい。
まぁ、もう慣れてしまったから別に問題ないのだが。

つまりまとめると。

私は、知りもしない、見ず知らずの男（女かもしれないが）に嫌悪感を抱いている訳だ。
さてどういう事だろうか。

知りもしない相手に嫌悪感を抱いているとなると、相当最低な女だぞ、私は。

「うわ……」

ぽつり、またぽつりと静かに雨が降ってきた。
いつもこうだ。友達の恋バナを聞き、その後一人でグチグチと言っていると、雨が降る。
私は雨女なのだろうか。

仕方がない。
そこらの店を見るフリをして雨宿りをするか――

「あの」

と思った矢先に声をかけられた。
くるりと振り返る。……なんだ、男だったのか。
てっきり、女性の声がしたもんだから女だったのかと思ってしまった自分がいる。

……変声期がない男性もいるだろうに。
失礼なことを思ってしまった、と反省する。

「傘貸しましょうか？」

こういう人をお人好しというのだろう。
彼の傘は一本。
つまり、私に傘を貸せば彼は雨で濡れてしまうという事だ。

「あ、……あなたが濡れると思うのでいいですよ」
「いや、友達と会う予定だからいいよ」

そう来たか、と思わず頭を抱えそうになる。
わざわざ見知らぬ人にここまでするか……と思いつつも、
ここまで来て断るのはさすがに人が悪いので有難く貸してもらう事にした。

「……あれ？」

傘を手に取った時。
彼の手元に目が行った――いや、癖なので、目を向けたの方が正しいだろうか。

どちらとも否とは言えない為、両方捉えれるだろう。
しかし、彼の手の小指に。
明らかに紐だろうという糸が巻き付いてあった。

「？なんかついてました？」
「小指の……」

そう言いかけた時、はっと口元を抑えた。
こんな事を言ったら明らかに変な人に思われるだろう。

「こ、小指の爪を深く切り過ぎたのを思い出して……」

そんな苦し紛れの言い訳をして、彼から距離を取った。
いや、普通の糸ならまだ良かった。
それも、他の人に繋がっている糸ならば。

どう見てもあれは私に巻き付いていた。
そして色も色だ。

あの長年追い求めていた――"黒色"な訳だ。

しかし、何故彼が？
見た限り、彼は性格の良さそうな人だ。
……これを通り越してお人好しにもなりそうだったが。

じゃあ、何故あれが黒なんだ？
せめて薔薇色の方がよかった、なんて思う色でもあるが。

嫌悪より遊びの方がいいだろう。
捉え方によれば、気に入ってくれて誘っているのだ。

悪い気はしないだろう……。

「黒い糸…………か」

帰って調べてみよう。

また別の意味があがっているかもしれない。
ネット上だし、事実かはわからないが、参考にする分にはいいだろう。

ばさばさと傘にあたる雨の音を聞きながら家路へ向かった。

□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □

「黒い糸黒い糸……っと」

家に着くなり、さっそくパソコンと睨めっこする。
検索したサイトを除外できればいいのに……と思いながら順に探し始める。
すると、気になるサイトを発見した。

"あなたの対応で運命の糸の結果が変わります"

へぇ……
これ系の診断は、嫌いじゃない。

むしろ、やってみろって感じで楽しい。
クリックすると、名前、年齢、性別――のような感じの、どこにでもある診断だ。
『診断する』というボタンを押すと、結果が以下のように出た。

あなたが今つけている糸は"運命の人"と言っても過言ではありません
自信をもってアピールしてください

……やって損した。
予想する気ならまだしも見知らぬ人にアドバイスされるなんて思ってもみなかった。

お前に言われなくてもアピールしたいならとっくにしてるよ――

する人がいないだけだ。
決して私の理想が高いだとか、考えが堅いとかそういう訳じゃない。
"この人だ！"と思える人物がいないのだ。

……決して私が悪いわけではないはずだ。

ん？
アピールと言えば積極的に声をかけたりすることだが……。

いったい私は、どうやって傘を返せばいいのだろう？

名前すら知らない相手をどうやって見つけ出せばいいのだろう。
…………また憂鬱が増えてしまった。

そして、憂鬱が一つ増えるたびに雨の勢いが増す。

いつか私の憂鬱が晴れる時は来るのだろうか。
まぁいいや。

いつか返せるだろう。
今日だけはこの診断を信じてやろう。
都合が良いかもしれないが、仕方がない。

人間、誰しもこんなものだ。
……診断を信じたら、変わるかもしれない。

そんなふざけたことを考えていると、ピロン♪という音が鳴った。
メールの着信音だ。
こんな時間に、誰だろう……。

携帯を手に取り開くと、友達からのメールのお知らせが。
私が告白するならどこで告白するか……という内容だった。

そんな事一度も考えたことないので、とりあえずロマンチックであろう
〝遊園地〟と返した。

Re:
件名:なし

普通に遊園地じゃない？
私だったらそうするけど

_true end　出会い_

「……あ、おはよ」

うわ。
いつの間にか寝ていたみたいだ。
普段通り優しい彼が目の前でスマホをいじっていた。

「また守沢千秋ですか～っ」
「いや……」

と否定したかと思うと、スマホの画面を見せてきた。

「面白い物見てるんだなって」

そう言いながら笑いを堪えるように下を向く。
……殴りたくなった手を押えスマホを奪い取る。
人のスマホを見るなんて、いったいどういう心理をしているんだ。

すると、ガタンッとゴンドラが揺れ、動きが止まった。
ちょうど頂上だ。

「なんか得するね」
「いや、早く動いてほしいけど」

愚痴りながらも私は窓の外を見る。
夜景がきれいだ。……確かに、彼の言う通り得した気分になるかもしれない。

「出会いとか最悪だったかもしれないけど」

いつもふざけ混じりの声が、ふっと真面目になった。

「これからも俺と一緒に居てね」

……なんだそれ。
最初っから、私は一緒にいるつもりだったんだけど。

「当たり前じゃん」

親切心は最初だけで結構。
最後はカッコよく決めて下さい。

私だけの王子様――。

_Happy end　選んだ先に_

：解説：
最初の「出会い」はサクセスロマンスの前世（プチ前編）となります。
また、最後の「選んだ先に」はサクセスロマンスのプチ続編と、
あいうえおてがみ。のプチ前編なっております。

観覧車に乗っていたページがあると思いますが、その後の事です。

・・・今度は付き合う過程まで書こうかな（笑）
ハートフルをかけるようになればね。

今回結構頑張って書いた方なんですよ（必死）

内容を少しばかり変えました（12/05）

二話いっぺんに書いてこんがらがるかもしれませんが、
いったん「出会い」を読んでからサクセスロマンスを読んだ方が分かるかもしれません（笑）

日に日に黒い糸設定が薄れてきていました。

ＣＳＳは滝原つな様のです。
薄暗いって？黒い糸にピッタリでしょ？♡

では、ここら辺で！

○高生紳士さん関連の小説○

サクセスロマンス
　この小説「出会い」の前編です。

糖分中毒依存症
　丸一日、時間を忘れられるひとときをどうぞ。

○ＩＶジェスター関連の小説○

フェアリーテイル
　森に迷い込んでも、誰にもついて行かないように・・・♡

サンビタリア
　あなたは素直に、好きな人へ思いを打ち明けられますか？

あいうえおてがみ。
　最期に伝えたい事はなんですか？また、誰に伝えたいですか？

IVジェスターで誰が好き?
　みんなの好きなメンバーを教えてほしいです♪

○その他関連の小説○

コーヒーよりミルクを
　上記の小説をまとめた物です。イッキ読みするのもアリ♡
守ってほしい事も書いています。しっかり読んでからコメントをしてね。

小説に関して
　ちょっと作品を読む前にお伝えしたい事。一度目を通してね。

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