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朔間凛月の夢小説です。
違うとこであげたのを修正したものです。
楽しんでもらえると嬉しいです。
眠るのが怖くなった。

電話越しに凛月が「はあ?」と意味がわからないと言いたげな声が聞こえる。
窓の外は朝の眩しい太陽によって明るく、本来なら凛月にとってきついはずの時間だが、生憎彼は仕事らしい。その休憩のあいだに私がたまたま電話をかけたようで、めんどくさがり屋の彼は珍しくそれに出てくれた。

「怖い番組でも見たの?」
「見てないよ」
「ふーん」

興味なさげに返事するので少しムッとしたが、彼の機嫌が良いとは思っていなかったのでスルーした。この時間帯起きていることがしんどいのだろう。そう自分に言い聞かせておく。

「ねえ、いつおわるの?」
「ちょっと待って、セッちゃんに聞いてくる」

電話の向こうから「セッちゃ〜〜ん」と、間延びした瀬名くんを呼ぶ凛月の声が聞こえる。
それすら羨ましいと思ってしまったのは重症かもしれない。私はただの幼馴染というか、腐れ縁なだけで、本来なら彼に名前を呼んでもらえることがありえない人間なのだから。
そう感じてしまうようになったのは、もう一人の幼馴染、衣更真緒がアイドル科に進んだことが主だとおもう。
凛月がアイドル科へ行ったのは彼の兄もそうだったからと思えば違和感を感じながらも結論づけることが出来るのだが、真緒まで行ってしまうと思っていなかった。
それを知ったのは受験後で、話してもらえていなかったことが悲しく、辛くて、大泣きした。
真緒は離れてしまったのが悲しくて泣いたと思っていたのか、必死に「大丈夫だって」とか、「家も向かいだし、いつでも来ていいからな?」なんてことを言ってくれた。
確かに離れてしまったことが寂しかったこともあるが、それ以上に住む世界が違うと言われたようで辛かったのだ。当時の私がその事を彼等に伝えることなんて出来るはずなく、私はただただ泣いていた。
その時の凛月は真緒と同じ高校に通えることを喜んでいただけだったと思う。私の方など見向きもしなかった。

その出来事から少し距離を置いていたが、やっぱり寂しくなって真緒に連絡したり、家に遊びに行ったりしていたが、すぐにそれもやめた。
余計に遠く感じてしまうし、なにより一生懸命頑張っている彼の邪魔をしたくなかった。

そうすると私の寂しさは一層増すばかりで、勇気を出して凛月に電話をかけたのが今日だった。


「あと3時間もあるの……?セッちゃんの鬼〜。」
「……。」
「ということで、あと3時間だねぇ」
「なら、そろそろ切るね」
「なんで?」

なんで?と聞かれるとは思っていなくて、言葉に詰まる。が、すぐに休憩終わっちゃうよと笑えば、電話越しに深いため息が聞こえた。

「それでYOUは何が言いたかったの?俺は大切な大切な可愛い幼馴染の言うことなら聞いてあげるよ」


嘘つき

思わずそう言ってしまいそうになった。
私が頼んでもきっと彼はきいてくれないだろう。そんなことわかっていると知っているはずなのにそういう優しい言葉をかけるのは卑怯だ。

私はもう一度笑いながら凛月の言葉を軽く流し、頑張ってと一言告げて一方的に通話をきった。

いつか離れないといけないのだから、今のうちに離れておくのがきっといいのだろう。

寂しいのは今だけ。

私は体質上辛いはずなのに早朝から頑張っている幼馴染に心の中でエールを送りながら、家を出た。





私は夢ノ咲学院の普通科に通っている。
アイドル科と並立していることもあって、真緒や凛月と会えるのではないかと淡い期待を抱いていた時もあったが、そんなことはなく、アイドル科と普通科の校舎の間には大きな木々や柵が並んでいた。そのため、彼らの姿を見ることなく1年と半年がすぎようとしている。

学校は良い。何かをすることが出来るから。
家にいると嫌なことばかり考えてしまう。それに眠ることも出来ない。

眠るのが怖いと言ったが、どうして怖いのかと聞かれれば私はなんとも言えない顔をするだろう。
その恐怖心を私は言葉に表すことが出来ない自分のボキャブラリーのなさを呪いたくなるが、あえて言うならひとりぼっちになるのが怖いのだ。

それでも人間、何日も不眠が続くと体力が持たないようで、私は仕方なく保健室へとやってきた。

先生に事情を説明して真っ白なベッドに横になる。少し硬い布団と枕が学校だということを象徴していて、なぜだか安心した。



どれくらい時間が経ったのか。
ぼーっとしていてわからないけれど、心地よい風によって窓のカーテンが揺れるのをみていた時、ふと背後に人の気配を感じた。

「眠れないんじゃないの?」
「えっ」

驚いてその方向へと目を向ければ、仕切りの代わりとなっているカーテンが1cmほど開かれていて、その隙間から真っ赤な見覚えのある目が見えた。
一瞬どっちかと思ったが、兄の方が私の元へ来るはずがないので、すぐに弟の凛月であることが分かった。

凛月はそれ以上カーテンを開けようとはせず、不機嫌そうな目で私を見ていた。

見下ろされる形となった私は反応に困ってしまって頬が引き攣る。そもそも普通科の校舎に凛月がいること自体がおかしい。私が混乱するのは仕方ないことだと思う。

「……入ってこないの?」
「そうだねぇ、あんたが素直になったら入れるよ」
「好きにしていいのに」
「YOUが許可してくれたら入る」

私はますます困ってしまった。
凛月が求めている返事がわからない。私が知っているのは、真緒に甘える、いつも自由気ままな彼だったから、私は私の知らない凛月を出されてしまうと、どうすることも出来ないのだ。

私がだんまりとしていると、凛月が僅かにカーテンを開けた。そこでようやく彼の顔がすべて見える。
久しぶりに見る凛月は前回見た時に比べると痩せているように見えた。
思わず手を伸ばすと、猫みたいに擦り寄ってくる。それが可愛くてヨシヨシとすると、擽ったそうに身を捩った。

「あのね凛月。笑わないで聞いて」
「んー…」

眠たそうに目を細めながらも、凛月は私を見てくれた。

「あのね、わたし、一人が怖いの。だから眠れない、目を瞑るのが怖い。起きると本当に遠くに行っちゃいそうなの」
「誰が?」
「真緒と凛月が」

私の言葉にきょとんとした凛月だが、すぐに破顔させた。幸せそうに笑うので、私は思わず笑う凛月の綺麗な頬を引っ張る。

「俺たちはずっとYOUの側にいるつもりだよ。あ、でもま〜くんはお仕事大好き人間だから構ってもらえないかもしれないけど」

確かに昔から真緒は世話焼きだ。今だって凛月を毎日迎えに行ってはお世話してるし。それは抜きにしても、今の真緒はアイドルとして忙しいのを知っている。でもそれは真緒だけじゃない。

「凛月も忙しいでしょ」
「YOUが眠れるように側で1晩居てあげることくらいは出来るよ」
「嘘」
「なんなら今日から一緒に寝てあげる」

優しくそんなこと言われたら、信じてしまうしかないじゃないか。私はゆっくりとベッドから起き上がって、凛月に両手を伸ばした。
それに気がついた凛月は小さく吹き出すと、膝をついて背をこちらに向けてくれる。

「凛月、眠い」
「いつもま〜くんがしてくれるみたいに今日は俺がYOUをおんぶして帰ってあげる」
「寝てもいい?」
「え〜、家に帰って一緒に寝ようよ。俺も朝から仕事で疲れたんだよねぇ」

私の足を抱えると、凛月は立ち上がった。
凛月の背中は暖かくて眠ってしまいそうになるのをこらえる。

「……あ、そういやなんで普通科の校舎にいるの」
「可愛い可愛い幼馴染が珍しく電話をかけてきたと思えば、無理してるみたいだったから迎えにきたってところ?」
「……いま凛月も無理してるでしょ」
「うん。だから一緒に帰ろう」

小さく笑う凛月の振動を、暖かい彼の背中で感じた。
それに応えるように私も体を預ける。

「寂しい時は一緒にいてあげる。だから、許可をちょうだい」
「許可?」

凛月は真っ赤な瞳を私に向けて言う。

「そ、吸血鬼は許可がないとその人の敷地に入れないの。」
「なにそれ、吸血鬼に勝手な設定付け足してない?」

いつでも家に来ていいよと言えば違うと言われる。意味がわからなくて私は顔を顰めた。

凛月は前に向いていて、こちらを見ようとしない。

凛月がどういう言葉を求めているのかなんて分からない。もとから凛月の考えていることなんてわかったことないし、真緒でさえも凛月の考えはわからない時だってある。

「許可とかよくわかんないけど、私はずっとずっと、凛月と一緒にいたよ」
「……ふーん」

凛月が求めていた答えとはちょっと違うかったみたいだけど、少し嬉しそうに口角をあげていたからきっと間違いではない。

私のことを見つけてくれたみたいに、次は私が凛月を見つけてあげたいと思う。

彼の兄が凛月を置いていってしまってから、きっと私と同じで1人が嫌いだ。


昔と違って大きくなった背中も、手のひらも、私は知らなかったけど

目を覚ましたら隣に私の知っている"凛月"がいるはずだから


私は安心して目をとじた

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作者名:つららっちょ | 作成日時:2018年12月25日 14時

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