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次の日放課後、いつも通り友達と遊んでいたら畑にいるはずの橋本が泣きついてきた。僕は勿論戸惑うし、友達もすぐに駆けつけてきて皆で橋本を宥めた。

「で、何があったの?」

ベンチに座り、橋本の涙が止まったころ、いつもより優しい口調で話しかければ、橋本はまた涙を目に溜めて話してくれた。

畑にいた猫が、死んでいたらしい。

あの猫を初めて見つけた時、先生に聞いたところ二年前から姿を現していると聞いた。その頃はもっと小さかったと言ってたことから、あの猫はまだ若いはずだ。決して寿命とかではない。

「どんな状況で死んでたの?怪我とかしてた?」
「行ったときに姿が見えなかったから、探したらグッタリしてる猫がいて…全身ボロボロになってて前足が…変なほ…こうに…」

話してる途中でまた泣き出した橋本をまた宥める。一緒に話を聞いていた友達の顔は青ざめていた。僕は少し考える振りをして、橋本の頭を撫でる。

「酷い状態だったんだね、でもそのままじゃ可哀想だよ。お墓、立ててあげよ」

橋本は微かに頷いて、ベンチから立ち上がり僕の腕を引いて畑の方へ歩いて行く。友達はまた戸惑っていたが、僕の放った「また明日な」の一言で今日は解散だと伝わったらしい。

その後畑に行って猫を姿を見たら、酷い有様だった。明らかに誰かに暴行を加えられたような姿で、猫は静かに眠っていた。その姿を見て橋本はまた目に涙を溜める。はやくお墓をつくってあげなくちゃ。

畑の近くにある倉庫から大きいスコップを持ってきて端っこに穴を掘っていく。僕にはもう慣れてしまったこの作業は、猫が入る穴くらい五分もかからず掘れた。

「…穴掘るの慣れてんの?」

疑問に思ったらしい橋本は静かに僕に聞いてくる。それに僕は「うん」としか答えられなかった。穴の中にそっと橋本が猫を入れる。穴を埋める前、橋本は一言「ごめんね」と呟いていた。

その後穴を綺麗に埋めて、大きめの石を乗っけて花を上げた。これでこの猫は少しでも「良い死」を迎えることが出来ただろう。橋本を家まで送り僕も家に帰った。一緒に住んでいるおじさんになんか言われたけど聞こえない。

「ちょっとだまっててよ、今からおしごとするんだから」

最初に犯人探しは基本だよね。

外から聴こえる「夕焼け小焼け」をバックに、僕は携帯に保存していた名簿を開いた。





「遅松くんおはよー」
「はよー」

いつもダラダラ絡んでくる女子を避けながら僕はある人物を元へ歩いて行った。橋本はまだ来てないみたいだから存分に出来る。

僕はソイツ…というよりソイツらと言った方が正しいのだろう、なんせ三人もいるから。ソイツらの前まで行って先程先生にプリントしてもらった監視カメラで撮った写真をソイツらに突きつけた。普通はプリントするなんてダメらしいが押して押して終いにゃ泣いた振りまで披露して手に入れたんだ。僕頑張ったと思う。

ソイツらは急なことに驚いたのか「な、なんだよ…」と冷や汗を垂らしている。

「ここね、校舎裏の畑に行く道の監視カメラで撮った写真なんだ」

写真の中には、今僕の目の前にいる三人が写っている。微笑みながら優しく言うとソイツらは一層冷や汗を流した。

「君たちいつも畑行かないよね、何しに行ったの?あ、言いたくなきゃ言わなくても良いよ」

寧ろここで言われたら色々困るから言うなよ。そんな念を送りながら睨みつけるとソイツらは何か察したのか黙り込む。

「君たちが行って帰ったあとすぐに橋本がきたんだ。そしたらね、聞いて」

僕はその三人の中心核のようなヤツの耳元まで口を寄せて囁いた。

「校舎裏に住んでた猫、死んでたんだって」

元々流れていたソイツの冷や汗が更にドッと出てくる。僕はトドメを刺すためにそのまままた囁いた。

「お前らやったんだろ?放課後ちょっと僕と遊んでよ」

ソイツら今にも白目が向きそうな顔で頷いた。昨日も一昨日も橋本以外にあの畑に行ったのはコイツらしかいないんだ。元々僕と橋本の仲を良く思ってなかったっぽいし、詰めが甘いんだよ。そういえば、橋本がまだきてないな…

…その日は結局、橋本は来なかった。

http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nyaaa/

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作成日時:2017年2月5日 0時

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