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「さて…と、先に帰っちゃわないでくれてありがとう。今日はゆっくりあそぼうね」

僕は目の前に並んだ三人の“トモダチ”に笑った。トモダチは声を出せず鼻から息をするだけだ。まあ声が出ないのは仕方ないよね。僕が口にタオルを巻き付けたんだから。トモダチの目からは既に涙が溢れていた。腕は後ろで縛って足は正座させた形のまま縛った。キツめにしたから簡単には抜け出せないだろう。僕はトモダチを見下ろして一緒に住んでるおじさんから借りた用具をチラつかせ話を進める。

「一方的なのは嫌だからさ、一つ一つ確認していこうよ。そうだなぁ…」

僕は少し考えて三人のうち向かって左に座ってる眼鏡をかけたヤツのタオルをとって、声が出るようにしてやった。叫んで助けでも呼ぶとは思ったが、恐怖からか何も言って来なかった。何か叫んでおけば誰かが助けにきてくれただろうに、馬鹿だなぁ…まあ、僕も人のこと言えないんだけどね。

「僕が聞くことに、真実で答えてね」

出来るだけ柔らかい笑顔で言ったはずだが、ソイツは涙を流して過呼吸気味になっていた。これから聞くことがあるのに、今からそんなでどうする気だろう。

「じゃあ聞くね、昨日この三人で校舎裏の畑行った?」
「…い、行った……」
「へぇ…いつも行ってないよね?何しに行ったの?」
「わ、分かってんだろ…?」
「な に し に い っ た の ?」

しゃがみ込んで膝を台に頬杖を付いて笑いながら聞いていく。眼鏡くんは息を呑み込んで話を始めた。

「ぼ、くは…着いて行っただけなんだよ…本当に…僕は何も悪くなっ」

そこまで話して眼鏡くんは口を大きくして叫び出した。僕は指を突っ込んで声が出ないようにし、“眼鏡くんの爪を剥がす作業”に集中する。

「真実だけって言ったじゃん…君の言い逃れなんかいいんだよ。三人で、何をしに、校舎裏に行ったの?」

眼鏡くんの隣に座ってる二人は顔面から血の気を引いてあまりの恐怖からか涙が止まっていた。眼鏡くんは過呼吸気味になりながらも俯いて答える。

「…ね、こで…猫で、あそぼって…誰かが言って…で…その猫が、橋本とお前で…可愛がってるって、誰かから聞いて…無性に腹が立って…」
「ふーん、で、殺したんだ」

そう聞くと眼鏡くんは伏せていた顔をバッと上げて少し大きく声を震わせた。

「違う!殺すつもりは…!」
「ころしたんだよね?」

食い気味に言えば眼鏡くんはまた顔を伏せて泣き出す。

「ごめん…ごめん…なさ、ごめ…」
「ねえ、もうちょっと質問があるんだけどさ、最後にもうちょっと頑張って答えてよ」

僕は淡々と知りたい情報を質問に変えて眼鏡くんに問う。「誰がやろうと言い始めたのか」「どのようにして殺したのか」「橋本の気持ちを考えなかったのか」。

眼鏡くんは爪を剥がされた恐怖からか全て大人しく教えてくれた。「言い始めたのはこのグループのリーダー」「投げたり、バットで打ったり」「ちょっとは考えたけど楽しくて止められなかった」。

涙を流しながら話した眼鏡くんは僕の知りたいこと全部答えてくれた。省略しちゃったけど猫を殺すまでに至った暴行も綺麗にね。

「そっかそっか、ありがとうね教えてくれて、じゃ、もう僕君に興味ないから」

そう微笑めば眼鏡くんは顔を明るくして僕を見上げる。けどそれも一瞬の内にして絶望に変わった。

「バイバイ、おやすみ」

僕はとびきりの笑顔で眼鏡くんの心臓に包丁をぶすりと突き刺した。左胸に刺さった包丁から血液が滴り、眼鏡の服はどんどん赤色に染まっていく。目から光がどんどん消えていって、終いにはどさりと倒れた。

別に人を殺したのは初めてじゃない。どこを刺せば死ぬのか、どこを刺せばなかなか死なずに苦しい思いをさせるかは一緒に住んでるおじさんから教えてもらった。でも心臓一刺しは苦手なんだ。妙に力いるし、ズレたら即死どころかもうかわいそうなことになる。今回は成功して良かった。

眼鏡くんの隣に座っている二人はもう見たくないようで目をギュッと瞑って現実逃避していた。残念、これは現実なんだよ。僕は口を開いて軽く聞いた。

「ねぇ、どうやって死にたい?」

その問に二人は瞑っていた目をかっ開いて僕を凝視してきた。僕の言うことが理解出来ておらず頭にハテナを浮かべた状態だ。僕は分かりやすいようにと指を立てて「一つ目」と笑ってみせた。

「この眼鏡くんと一緒、即死」

まあ僕が一刺しでいけるかどうかだけどね。

「もう二つ目、猫と同じ目に合って死亡」

元々青ざめていた顔から更に血の気を引いていく。まあそりゃあそうだろう。猫に何をやったかなんて自分達が嫌ってほど覚えてる。それを今から自分にやられると思うと青ざめるのも当然だ。

「早く答えてよー…もう僕決めちゃっていい?」

そう言って僕は向かって右にいた高身長のヒョロいやつの頭をがしりと掴んで右手で頬を思い切り殴った。ヒョロは自分の身に何が起きたのか理解出来ず、頭の中でハテナマークを浮かべている。というか、タオル巻いてるから答えられないのって普通だったね。なんて。

「時間切れ、猫と同じ目に合って死ぬのはヒョロ君ね」

そう言って笑ってヒョロ君の右頬を更に殴る。タオルを巻いたままで殴っているから悲鳴は聞こえない。まあその方が好都合だから良いけど。

「でーえっと…あーもうほとんど忘れちゃったけど。なんだっけ?バットで殴ったって言ってたっけ?ちょっと待っててね」

隣部屋からバットを持ってきてわざと音が出るように引きずってカラカラと音が鳴る。その音にも目の前のトモダチは震えるから人間は弱いなと痛感した。

「えーっとバットでどこ殴ったって言ってたっけ、もう聞くの面倒だから僕で決めちゃうね」

更に震えるトモダチを見て口角が上がっていく感じがした。僕ってSっ気あるのかもしれない。頭殴ったら死んじゃうかもしれないからなぁ…ヒョロ君は即死させちゃダメなんだよね。

「正座してる脚を上からバットで殴ったら痛そうだよねぇ…でも正座し過ぎて麻痺してるだろうから殴っても大丈夫だよね?」

バットを振り上げて骨を通ってる箇所を思い切り殴る。悲鳴が聞こえないのが何より心地いい。人の悲鳴や断末魔は嫌いなんだ。耳が狂いそうになる。

「うわあ顔が涙でボロボロじゃん…痛かった?骨折ってたらごめんね、でもどうせ死ぬから問題ないよね?」

腕や胸など殴っていけばもっと顔が歪んで涙や鼻水で汚れて見ていて楽しい。どんどんやってったら調子に乗ってしまってバットを放り投げて素手で殴ったり蹴ったりしていた。

「…あ」

急に我に返ったらもう遅くて、膝で腹を思い切り蹴った後だった。ヒョロ君は胃の中に入ってたものが戻ってきて、タオルと口の間からそれが漏れている。僕の膝もそのせいで汚れてしまった。多分ヒョロ君の口に今戻ってきたものが詰め込まれてて、放置してたら窒息死するんだろうけど、僕は膝の汚れが気になってヒョロ君を放置して風呂場まで行った。

「きったな…」

ズボンを脱いで汚れた所を洗う。洗い下ろしたズボンが確か窓辺にかかってたはずだ。僕がズボンを洗濯バサミから外していると、さっきまで暴行加えてた部屋から話し声が聞こえてきた。一緒に住んでるおじさんのだろう。

「おそ松怒らせちまってかわいそうになぁ」とか「助けてらんねぇわごめんな」とか聞こえてくる。「ごめん」なんて言ってる割には助ける気さらさらないよね。

ふふっと笑ってズボンを履いて、部屋に戻ろうと足軽に歩く。おじさんが部屋から出てきて、僕に一言言い残してから新聞を開いた。

「捕まんなよ、おそ松」
「年齢的に大丈夫だよ。でもありがとうね、おじさん」

もうそろそろで全部終わるからさ。そう一言付け加えて僕は部屋に入る。ヒョロ君の生死確認のために肩を掴んで揺さぶった。

「ありゃ、死んじゃった?」

まあ口抑えてたし鼻水も出てたから鼻で息するの難しかったんだろうな。じゃあ後は一人か…鼻水と涙で顔面グチャグチャになってるこの三人のリーダー格の子。

「よく気絶せず意識もったままこれたね。ちょっと確認したいんだけどさ、今回の件の言い出しっぺって君でしょ?リーダー君」

途端ブルっと身体を震わせたリーダー君ホント分かりやすい。分かりやすい人は好きだ。

「で、どうしよっか。どうやって死ぬ?」

誰がどう聞いても狂ってる質問をリーダー君に投げかける。リーダー君は首を横にブンブン振るだけで他のアクションを起こさない。まあ口は拘束してるから何も言えないのはしょうがないけどね。

この家には武器になるようなものはあんまないけど、武器は要らなくても出来るようなことは沢山ある。レパートリーが少ないなんて思われちゃ心外だなぁ。う〜ん、僕ちょっとやってみたい殺り方あるからそれ試してみるか…

「ちょっと待っててねリーダー君」

リーダー君に笑いかけて僕は台所に行く。おじさんは…どっか出かけちゃったのかな。今夜いくら持って帰ってくるだろう。

僕は最近使っていなかった錆びかけのスプーンを一つ持って部屋に戻った。

「リーダー君、僕ね、試したいことがあるんだ。君で試すね」

リーダー君は頭を横にブンブン振るだけ。僕はリーダー君の目の前まで行って頭をがしりと掴む。うわ、汗も結構かいてるんだ。ベトベトする。

それでも僕は笑いを絶やさずスプーンをリーダー君の左眼、僕から向かって右眼にかざした。目だけを重点的に見ると相当赤くなっているし涙で濡れている。僕はそのまま少しずつスプーンをリーダー君の目に近づけていった。

「安心してリーダー君、左側がちょっと見づらくなるだけだからね」

その後、リーダー君の左眼から、いや、左眼が入っていた所から沢山の血が流れた。叫びたいのだろうが叫べない彼の気持ちが今どんなものなのか問いたいものだが、まあ今タオルをとったって僕に有利なことは少ししかないだろう。

「うーん次はどうしよっか。腕でも取る?」

押し倒して馬乗りになる。包丁を後ろ手に持ってどこから取ろうかと体をまさぐる。僕から向かって右にある肩に包丁を当てた。

「最初に左腕…っ」

顔に熱が集まっている感覚、暑い、しかも口角上がってるの隠しきれていない気がする。包丁を持っている右手に力を入れればリーダー君の口とタオルの間からうめき声が聞こえる。

「あはっ…どんどん沈んでくよ、包丁」

ズブズブと肩に沈んでく包丁を見て更に顔に熱が集中する。一定の所までいったら包丁が先に進まなくなった。多分、骨まで達したんだろう。僕は包丁を持ち上げて狙いを定めて一気に振り下ろした。

より大きなうめき声が聞こえる。

「はぁ…ねえ見てリーダー君、とれたよ、腕…」

とれた腕を自分の頬に擦り付けて見せつける。リーダー君の目から出る涙は凄い量で水溜りが作れそうだった。

「ねぇ次どこがいい?…リーダー君?あれ?寝ちゃった…?」

うめき声がピタリと止まったと思ったら、意識を飛ばしてしまったらしい。僕は途端に詰まらなくなって、リーダー君の首にザクリと包丁を刺した。首からドクドクと流れる血が月明かりに照らされて綺麗に光っている。

さて、後片付けどうしよう…

http://uranai.nosv.org/u.php/hp/OSO/

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作成日時:2017年2月5日 0時

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