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プロローグ
台風の前の静けさ【オリジナル】〜プロローグ〜
*****
「4回目の警告!?」



警告音と共に、本当の恐怖が始まった。
「絢香ちゃん!」



鞠は離れていた絢香に飛び付いた。



「怪我ない?」


「ないよ。絢香ちゃんこそ、大丈夫?」



鞠は絢香の心配をしてそう言った。



「うん、大丈夫だよ。」



…と言ったが、手にはかすり傷があった。



「でも、これ…!」


「これくらい何ともないって。鞠ちゃんが無事で何より。」



鞠の目には涙が滲んでる。



「嗚呼もう、こんな事で泣かないで?」


「ううっ、泣いてないよっ。」



強がっているが、仲間が傷付いた事により泣いてしまっていた。



「絢香、保健室行くか?」


「大丈夫だって。祐兄も心配性なんだから!」



絢香はそう言いながら笑ってみせた。



それにしても、あの元凶の黒い物はどうやったら無くなるのだろうか。



アレが消えたら嵐は止む。



絢香はそんな事を考えていた。



でも、こんな事考えてばかりでも無駄で何も変わんない。



「東条、鞠ちゃんを頼む。」


「はぁっ!?何でだよ!」


「少し、氷川先生と話したい事があるんだ。」


「…嗚呼、絢香の頼みなら仕方ないな。」



絢香は祐悟に向かって微笑んでから氷川と一緒に別室に向かった。



「祐兄、アレ見たでしょ。」


「嗚呼、初めて見た。」


「私も初めてあんなの見たよ。」



アレとは、あの黒い奴の事だ。



「調べてみたんだが、アレは【黒眼(こくがん)】。やっぱり嵐の元凶らしい。」


「へー、祐兄ってば有能!」


「はぁ、巫山戯てる場合じゃないだろ、絢香。」



絢香は少し冗談じみて言った。



ちょっとでも恐怖を紛らす為なのか。



「あはは。でさ、本題だけど私達三上と祐兄達の氷川家って代々アレの駆除をしてるんだよね。」


「…その話聞いたのか。」


「うん、お母さんから聞いたよ。」


「そうか。俺独りで闘おうと思ってたんだがな。」


「独りで闘わせる訳にはいかないよ。そんな事させたら三上の名が腐る。」



三上家と氷川家には深い繋がりがあり、彼女達はこの嵐を止める為の部隊なんだ。



「はぁ、絢香って中1っぽくないよな。」


「何それ、罵ってる?」


「違うって。良い意味で、な。」



中1だったら大体嵐何て怖がるだろう。



だが、全く…ではないが怯えずに闘うと言うのは流石の三上家だ。



「あっ、鞠ちゃんとかに言っちゃ駄目だからね。」


「当たり前だ。じゃないと…」


「「心配させるから。」」



丁度息がピッタリと合った。



「そろそろ教室戻るか。」


「そうだね、話聞いてくれてありがと。」


「お互い様だ。」



その頃、教室では…、



「ゲイリーって絢香居なきゃ何にも出来ないじゃん。」


「クソ弱いな。」



あっはっは!と東条達の笑い声が響いた。



「祐悟、どうすんだよ。三上に見られたら。」


「その前に辞めるってぇ。」



祐悟は鞠の髪の毛を掴んだ。



「痛っ…!」


「うっわー!菌付いたんですけど!」


「汚ねぇ。」


「お前に付けてやるよォ。」


「止めろよー!きったなぁい。」



そんな事をしている時に絢香は戻って来た。



「…は?ちょっと何してんの、東条?」


「絢香…?な、何にもしてねぇぜ!な、ゲイリー…あ!」


「ちょっと、ゲイリーって何よ。」


「絢香に関係ねぇよ!」


「あるから聞いてんでしょうが!」


「…ッ!!」


「何の騒ぎだよ、って東条!!絢香から離れなさい!」



良いタイミングで氷川が来た。



「虐めとかしてる場合じゃない。今は助け合って生き延びるんだよ、皆で。」



氷川は冷静にそう言った。



「鞠ちゃん、私、ずっと気付けなくてごめん。」


「ううん、ありがとう、絢香ちゃん。」



絢香に抱き着いて笑顔に戻る鞠。



この子は絶対に守る。



絢香はそう決意した。




鞠は一応守れて安心していた絢香だが、一瞬にしてまた顔色が険しくなった。



黒眼が近付いて来ていたのだ。



明らかに迫って来ている。



5回目の警告も、もうすぐか。



氷川は絢香と同じく顔色を変えていた。



「外見て来よ。」


「そうだな。」



氷川は絢香の思考が読めたのか、頷いた。



「これが代々伝わる剣だ。」



倉庫から錆びた剣を取り出した。



「錆びてるじゃん。」


「絢香、持ってみろ。」



絢香は恐る恐る持ってみた。



その瞬間光に包まれた。



剣には錆が消えた。



「消えた…!?」


「やっぱり絢香が三上に相応しい者か。」


「何の事?」


「この剣を持って錆が消えたのなら相応しいと言う事だ。」



これは三上の剣だ、と氷川は言った。



「何で祐兄が三上家の剣、持ってるの?」


「絢香の母上から言われたんだ。」

「絢香の親はお前に使命を授けたくなかったんだろう。」



氷川は険しい顔で話した。



「でも今回のは史上最強。だから話したんだろう。」


「…そう、だよね。お母さんも期待してくれているんだ、尚更私が役に立たなきゃじゃん。」



絢香は闘うのは怖いのか少し震えていた。



「良いんだぞ、無理しなくて。俺だけで大丈夫だから。」


「その方が嫌だよ。祐兄が頑張ってるのに私は黙って見てる何てさ。」


「絢香…ありがとな。」



氷川はそう言って絢香の頭を撫でた。



「ふふっ。」


「先ずは生徒を全員帰らせるか。このくらいの風なら大丈夫だからな。」


「了解。紅い空は大丈夫なんだよね?」


「嗚呼、初期現象だから。」



倉庫から飛び出て教室に着いた。



「生徒は皆下校して。」


「7回目の警告の前にね。」



氷川の後に絢香が言った。



7回目の警告音が鳴り響いた時、黒眼はこの場所に最も近付くだろう。



7回目まであと5回目、6回目の警告だけだ。



「絢香ちゃん、帰ろ。」



鞠は支度を済ませて絢香に言った。



「私は学校の様子を見るからさ、鞠ちゃんは先に帰って良いよ。」



絢香は本当の事は言わずにそう言った。



「えっ!…じゃあ、私も残る。」


「駄目よ、帰らなきゃ。」


「だって絢香ちゃんは私を助けてくれたもん。此処で私、逃げ出せない!」



鞠は決意をした様に強く言った。



「ありがとう。でも、」



絢香は三上家の秘密がバレないように必死だった。



「絢香、別にこの生徒が居たって困る事はないし良いじゃんか。」


「そ、うだよね、居て良いよ、鞠ちゃん。」



絢香は氷川を少し睨んだ。



氷川の元へ近付き、呟いた。



「秘密バレたらどうするの。あと、鞠ちゃんが危ないじゃない。」


「バレない様にすれば良いだろ。それを守るのが俺達だって。」



絢香は何も言い返せなくなり、鞠の元へ戻った。



「まぁ良っか。ねぇ、鞠ちゃん。驚かないで聞いてね。…って言っても驚いちゃうか。」


「何の話…?」


「実は私達ね、三上家と氷川家には深い繋がりがあるんだ。」



そこまで言いかけた時、祐悟が教室に入って来た。



全員帰ったと思っていたけど。



「絢香、何の話だよ。繋がりって…、」


「東条には関係ない。て言うか、何で居るの?帰った方が言いよ。」


「関係あるから聞いてんだよ!」



さっきの「あるから聞いてんでしょうが!」と言う絢香の言葉と繋がった。



「しかも、鞠の事虐めてたから。今度は守りたいんだよ。」


「次虐めたら退学にするから。ね、祐兄?」


「嗚呼、絶対退学にするからな。」


「うう、虐めねぇって!」


「そう言って虐めそうなのよ!」



絢香は祐悟を睨み付けた。



そんな呑気にしてる時、



5回目の警告音が鳴ってしまった。



「やだなぁ、もう5回目かー。」


「絢香なら大丈夫だ。」


「んー。祐兄が居るなら大丈夫!」



絢香はそう言って笑った。



「あ!で、さっき話してた深い繋がりって言うのは…?」


「嗚呼、盗み聞きしてたのね、東条。」


「トイレ行ってたんだよ!つい聞いただけ。」


「ふぅん。」



絢香は疑いながらも返事をした。



「さっきも言った通りだよ。私と祐兄は代々からの深い繋がりがあるんだ。」


「その繋がりとは黒眼を潰す役目。」


「黒眼…?」



鞠は問いかけた。



「そう、黒眼とは嵐の元凶の物だ。あの空の一部を覆っている奴だよ。」


「そうなんですね…。つまり、それを倒せば嵐はなくなるんですか?」


「そうだ、読み込みが早いな。」



絢香は実は鞠を巻き込みたくなかった。



だが、バレた以上は仕方がない。



「じゃあ、行くぞ。そろそろ黒眼は近い。」


「確かに近付いたね、しかも一気に。よし、やってやろうじゃない!」

「東条、鞠ちゃん虐めたら許さないからね。」



今度は守りなさいよ、と言って絢香と氷川は出て行った。



鞠は祐悟と2人きりになり、少しだけビクビクしている。



「あ、あのさ、」


「な、何ですか?」



また何か言われるのでは?



鞠はそう思ってしまい、祐悟が怖かった。



「鞠の事、虐めててごめん。許されないって分かってるけど、俺さ、鞠が好きなんだ。」


「え…?」



鞠は突然な事に困惑していた。



まさかの初めての告白に戸惑った。



「鞠が好きだから振り向いて欲しくてあんな事したんだ、ごめん。」



ごめん、好き。



2つの言葉に頭が回らなくなった。



どうしたら良いんだろうか。



鞠はそんな事を考えていた。



一方、



「祐兄!黒眼が…!」


「嘘、何でこんなに…!このままだと嵐が今すぐ来る…!」


「…!じゃあ、私が食い止める!」


「絢香!!」



氷川は絢香の手を咄嗟に掴んだが、離されてしまった。



「はァッ!!」



絢香は黒眼に剣を翳した。



黒眼は遠ざかった。



まだ彼女が攻撃して居ないのに。



「…遅いな。」



そこには氷川と同じ年齢くらいの青年が立っていた。



「誰、って!奏叶じゃんか!」



氷川は警戒した後にそう言った。



「祐太郎…お前もかよ。チッ、横に居る生徒は絢香だな。」


「何で私の名前を…?」


「知らないのかよ、俺の事。俺は祐太郎と同じく教師の七海奏叶、だ。」


「知りませんよっ!逆に初めて知ったんですけど?」


「まぁそうだよな。俺は絢香のクラスを教えて居ないしな。嗚呼、俺はお前が学年トップらしいから知ってんだよ。」



七海は溜め息を吐きながら渋々自己紹介した。



「あ、でも。俺は祐太郎とお前の事、黒眼倒すには向いてねぇと思うぜ?」


「…何それ。一緒に戦うとか嫌なんですか?」


「嫌じゃないけど黒眼倒すには俺で十分だっての。さ、黒眼が少し遠ざかったし戻れ戻れ。」



七海は嫌味を言い、ヘラッと笑いながら手を振った。



「何なの彼奴ー!」


「そう怒るな…。奏叶って昔からあんな感じだからさ、」



氷川が宥めると、うぅ…と言っていた絢香も静かになった。



そして、鞠の元へと向かった。



*****
第2章
台風の前の静けさ【オリジナル】〜第2章〜

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♪美桜♪(プロフ) - くろばしまさん» 初めまして。おぉ!そう言って頂けて嬉しいです!これからも更新頑張ります。 (2019年10月22日 7時) (レス) id: 303f0ec948 (このIDを非表示/違反報告)
くろばしま - 夜分に失礼致します。初めまして、くろばしまです。読んでいてとても続きが気になります!これからも楽しみにしています。 (2019年10月21日 0時) (レス) id: f0bf6b6a91 (このIDを非表示/違反報告)
♪美桜♪(プロフ) - みゃかるさん» こちらこそコメントありがとうございます!楽しいと言われて凄く嬉しいです(*´∀`)♪ちょくちょく続き書いているので読んで頂けたら嬉しいです!! (2019年10月20日 7時) (レス) id: 303f0ec948 (このIDを非表示/違反報告)
みゃかる(プロフ) - ♪美桜♪さん» 返信ありがとうございます!!いえいえ!!とても見ていて楽しかったです!続き、楽しみにしていますね!! (2019年10月19日 22時) (レス) id: 207bbe4d52 (このIDを非表示/違反報告)
♪美桜♪(プロフ) - みゃかるさん» 初めまして!こんばんは(*^▽^*)ノ見て下さりありがとうございます!嬉しいです!! (2019年10月19日 22時) (レス) id: 303f0ec948 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:♪美桜♪ | 作成日時:2019年10月19日 22時

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