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小|中|大|くっ、書き終えられなかった!!!
と、後悔しながらずるずる書いて四日経ちました。
驚いてます。
最推しである敦くんの誕生日を祝いたいんだ!ということでノリで書きました。
時間があれば読んでやってください……
可愛い、敦くんは可愛い。でも虎くんはかっこいい。
※中傷はおやめ下さい。
※誤字脱字は出来るだけ優しく指摘していただけると幸いです。(作者豆腐メンタル故)
※もし他作品と似てしまっていても作者はパクってはいないので悪しからず。
※以上が守れない方は読むのをお控えください。
では、心優しく読んでくれる方はどうぞ。
と、後悔しながらずるずる書いて四日経ちました。
驚いてます。
最推しである敦くんの誕生日を祝いたいんだ!ということでノリで書きました。
時間があれば読んでやってください……
可愛い、敦くんは可愛い。でも虎くんはかっこいい。
※中傷はおやめ下さい。
※誤字脱字は出来るだけ優しく指摘していただけると幸いです。(作者豆腐メンタル故)
※もし他作品と似てしまっていても作者はパクってはいないので悪しからず。
※以上が守れない方は読むのをお控えください。
では、心優しく読んでくれる方はどうぞ。
色取り取りの鯉幟 が空に浮かぶ、そんな五月五日──子供の日。
ではなく。
今日は可愛い恋人たる、中島敦君の誕生日だそうだ。
だそうだ、と云うのも……。
『然う云えば訊いて居なかったけど、敦君の誕生日って何時?』
『五月五日だったかな』
『そっかあ……って五月五日!?明後日じゃない!何で言わないの!』
『否、云わなくて善いかなって……いひゃいいひゃい!頬抓らないで……!』
と云った会話を一昨日繰り広げた所為である。
延いては敦君の──と、誕生日なのに責めるのは悪いから、此処まで。
却説、そんな事で私の使命は彼を祝う事。
彼の事だ、屹度祝われた事は十八年の生涯で、片手で数えられる程度しか無かっただろう。
卦度、今年からは違う。
毎年、毎年、探偵社の皆から、私から盛大に祝われて、泣いたり笑ったりした後、夜は菖蒲の葉を湯に浮かべさせて、安らかに眠って心地好い朝を迎えるのだ。
彼の歳は、未だ盛大に祝いたい──否、私も同じ歳だけども。私はもう善いや。
にしても如何しよう。
敦君の事だから、屹度何をあげても喜んで呉れる。誕生日会の様なものは、探偵社で遣る。
何したら好いのやら。
「云うて、私もそんなに祝われた事無いからなあ」
「それなら私が教えて進ぜよう!」
「うおあああ!」
吃驚した。割と本気で吃驚した。
突然横から現れたのは、口調でも判る通りの唐変木──太宰治。
仲が善いかと訊かれれば、まあ悪くは無いが決して善くもない、と即答出来る同僚だ。歳上ではあるが、入社前から知っていたので敬語は使わない。それ位なだけだ。
いやまあ、感謝はしているけど。
当の太宰は、「君、声が男みたいだったよ?」ととんでもなく失礼な事を平然と宣って居る。
蹴り飛ばすぞ手前ェ。
「それで、私が助言( は要る?」
「高く付きそうね」
「なァに、何時もの借りだよ」
「私が何か貸し……てるわね。何時も」
国木田さんからの擁護とか擁護とか擁護とか……後は稀に終わって無い書類等の手伝いとか。
充分貸してるわ。
「じゃあ有難く助言とやらを貰おうかな」
「ふっふっふ、此が中々簡単でね。必ずしも物をあげ無くてはならない訳では無いだろう?だから、彼に考えて貰うのさ」
「そんなのもう考え」
「『考えた』だろうけど、『試して』はいないよね?」
ぐッ、と喉が妙な音を鳴らす。
ごもっともだが、もし要らない等云われたら如何するのだ。
……何て事は気にしていないのだろうな。
この野郎無責任か。
まあ、この自信気な男の云う通り試した訳ではないし、高価な物を引き合いに出せば……何とかなるかも。
何依り、此奴の助言が間違った事は一度として無い。
「頑張ってみる……有難う」
「何て事無い。だけど────敦君の祝企画まで後一時間も無いからね?」
「へ?」
首が捥げそうな速度で壁時計を振り向く。
敦君の帰社予定は十六時。現時刻────十五時七分。
残り時間は、約五十三分。
「おあああああああああああああ!な、なん、何ッで、もっと疾く云わないんだよおおおおおおお!」
「忘れてた」
私の悲鳴、もとい断末魔の雄叫びは、傾いた西日に届いて燃えた。
*☼*―――――
その後、私はばたばた足音を響かせて歩き回り、祝いの席の為の買出しに付いて行くのと一緒に、一先ずの贈呈品( を探しに行った。そこで、お茶漬けが食べやすそうな深さで、虎の絵柄が描かれた御椀を見付けたので、それと共に鏡花ちゃんと御揃いで使える箸を買った。嫉妬等と云う感情は探偵社処か、社員寮に置いて来たらしい(それか川に流して来た)。
兎に角急いで帰社したのは、十五時三十三分。暖かくなって来た季節故に汗を滲ませて走って来て善かった。与謝野先生には怒られなかった。
綺麗に飾り付けをして、食卓( に料理を並べた後、一緒に任務に出ている鏡花ちゃんからの連絡を待ちつつ全員がクラッカアを構える。
程無くして来た鏡花ちゃんからの連絡で、深呼吸をして気合いを入れた。
かちゃ、と静かめの音を立てて何事も無く顔を出した敦君に向かって、全員でクラッカアの紐を引いた。
涙目になって喜ぶ彼を順番に撫でたのを開始の合図に宴会が始まった。
──それから、三時間。
成人組は見事に酔いどれて仕舞い、介抱に勤しむ未成年組。
そんな時だったんだよ、この面倒臭い絡みが来たのは。
「YOU、敦君!君達は恋人同士だろう!ならば接吻して見せよ!」
「だ、だだだ太宰さん!?」
「なんだい?私の云う事が聞けないのかい?」
互いに顔を見合わせて、共通の意識を確認する。
──善し、逃げよう。
二人で如何にか言い訳がましい事を述べて、すたこらさっさと社から逃げ出す。
危ない、あれに絡まれると面倒だ。
差し伸べようとした手で鞄を引っ掴んで社の扉を閉めた。
*☼*―――――
行く宛が無かった為、走って来たのは人気の無い公園。
辺りは夜の暗闇に包まれているので、余計に静かで誰も居ない。
或る意味で、好機( だ。
逃げた際に鞄を持っておいて善かった。渡し損ねた贈呈品は有る。
静かな空間だと、本当の贈呈品も考え易いだろう。
彼の息が整うのを待ってから口を開く。
「敦君」
「何?」
「改めて、誕生日おめでとう。私から、ささやかだけど贈呈品」
両手で渡せば、驚きながらも両手で受け取って呉れる礼儀の正しさ。すぐに飛んで来る感謝の言葉。
何て善い子だろうね。
「あ、実は未だ有るんだよね」
「え、も、もう充分だよ!格好好い御椀と、御揃いの箸まで……」
「ふふ、善いの貰って多良福食べて欲しいから。それと、御揃いの箸は鏡花ちゃんと使って欲しいなって」
「え」
突然きょとんとする敦君。
勿論、予想出来てましたよ。
鏡花ちゃんと敦君の箸は、質素な感じで、敦君は未だしも鏡花ちゃんは女の子だし可愛いのが好いだろう、と敦君も云っていた。
真逆、私から贈られるとは思って居なかった筈だ。
勢いで本当の贈呈品も云って仕舞おう。
「それでね、もう一つの贈呈品は、物では無いんだけど……敦君のして欲しい事をしようかなって」
明日の休みの間も含めて、と照れ隠しに笑いながら云い放つ。
言い切ったが、非常に恥ずかしい。
屹度、敦君も顔が真っ赤に────なってない?
「あ、敦く」
「その期間って今から?」
「う、うん。今からどうぞ」
何処か怒った様に疾い口調で、双眸の虎のように剣呑な光を此方に向けている。
な、何か悪い事したか?
「この箸。一つは僕ので、もう一つは誰のって云ったか教えて」
「ええと、鏡花ちゃんにって……あ、鏡花ちゃんじゃなくても善いよ!?モンゴメリちゃんとか、与謝野先生とか、太宰と」
奪われたかの如く続きが失せる。
奪われたのは、言葉だけじゃない。
唇も、一緒に。
何時の間に後頭部に回っていた手が、肩に置かれて顔が離れて行く。
その瞳は矢張り鋭い。
怒っている、と云う依り……。
「敦君、若しかして拗ねてる……?」
「ッ少し丈……でも、今のは本当にYOUが悪いと思う」
「わ、私?」
「鏡花ちゃんに、って、YOUはそれで善いの?僕が鏡花ちゃんと御揃いの箸を使うんだよ?」
云ってる意味が判らず、眉を顰める敦君の感情も読めず、ただただ訊かれる言葉を咀嚼して、「使ってくれたら嬉しいし……」と控え目に答える。
「じゃあ、YOUの誕生日に僕が御揃い湯飲みをあげたとして、そのもう一つは太宰さんと使ってって云われたらどう思う?」
「そりゃあ、敦君と御揃いに……」
成程、然う云う事。
敦君は、私から御揃いの物を貰って、私と御揃いかと思ったのに、鏡花ちゃんに何て云うから、拗ねてた……のか。
ッ、何て一途に思って呉れるのだろう。
形振り構わず、敦君に飛び付く。
今日喜ぶべきは敦君なのに、私まで。
「僕と御揃いにして。これも善い?」
「ッ勿論!明日まで有効だし、何ならずっと……ッ」
引き剥がされて、荒く口付けられる。
一度離して、今度はゆっくり目を瞑って。
またゆっくり離すと、かちりと目が合う。
今度は、何時も通りの優しくて暖かい朝焼け色。
途端、その下の頬が、耳が、じんわり紅くなる。
「あ、あの!」
「ん?」
「その……して欲しい事、何だけど」
あ、う、と俯いては云いあぐねる。
口付けまでしておいて、今更真っ赤かい、と思うが口には出さないで待つ。
決心したのか、さっと顔を上げる。
「い、今から明日の夕方までのYOUの時間を……その、ぼ、僕に下さい!」
耳も首も、熟れた林檎の様な紅に染めて、彼は大きく云い放つ。
そんなの、訊く間でもないよ。
「勿論。私の時間を……ううん、何なら全部あげるよ。だから、
────貰って下さい」
最初から全てをあげる心算だったのだ。
何を、今更。
彼のアメトリンの瞳が落ちそうな位に目を見開いて、然してほっとした様に晴れやかに笑う。釣られて私も頬が緩む。
ふんわり抱き締めれば、強く背中に腕を回して呉れる。
おめでとう、敦君。
産まれて呉れて、出逢って呉れて────生きていて呉れて、本当に有難う。
初心なのに、何処か虎の様な獰猛な心を持つ彼とのこれからは、屹度長く、永く続いて行くのだろう。
*☼*―――――
(おまけ)
「鏡花ちゃん、今日は与謝野先生の処に泊まると善いよ」
「……判った。貴方も、邪魔しないであげて」
「ふふ、勿論。睦言の邪魔ほど、野暮な事は無いからね」
ではなく。
今日は可愛い恋人たる、中島敦君の誕生日だそうだ。
だそうだ、と云うのも……。
『然う云えば訊いて居なかったけど、敦君の誕生日って何時?』
『五月五日だったかな』
『そっかあ……って五月五日!?明後日じゃない!何で言わないの!』
『否、云わなくて善いかなって……いひゃいいひゃい!頬抓らないで……!』
と云った会話を一昨日繰り広げた所為である。
延いては敦君の──と、誕生日なのに責めるのは悪いから、此処まで。
却説、そんな事で私の使命は彼を祝う事。
彼の事だ、屹度祝われた事は十八年の生涯で、片手で数えられる程度しか無かっただろう。
卦度、今年からは違う。
毎年、毎年、探偵社の皆から、私から盛大に祝われて、泣いたり笑ったりした後、夜は菖蒲の葉を湯に浮かべさせて、安らかに眠って心地好い朝を迎えるのだ。
彼の歳は、未だ盛大に祝いたい──否、私も同じ歳だけども。私はもう善いや。
にしても如何しよう。
敦君の事だから、屹度何をあげても喜んで呉れる。誕生日会の様なものは、探偵社で遣る。
何したら好いのやら。
「云うて、私もそんなに祝われた事無いからなあ」
「それなら私が教えて進ぜよう!」
「うおあああ!」
吃驚した。割と本気で吃驚した。
突然横から現れたのは、口調でも判る通りの唐変木──太宰治。
仲が善いかと訊かれれば、まあ悪くは無いが決して善くもない、と即答出来る同僚だ。歳上ではあるが、入社前から知っていたので敬語は使わない。それ位なだけだ。
いやまあ、感謝はしているけど。
当の太宰は、「君、声が男みたいだったよ?」ととんでもなく失礼な事を平然と宣って居る。
蹴り飛ばすぞ手前ェ。
「それで、私が
「高く付きそうね」
「なァに、何時もの借りだよ」
「私が何か貸し……てるわね。何時も」
国木田さんからの擁護とか擁護とか擁護とか……後は稀に終わって無い書類等の手伝いとか。
充分貸してるわ。
「じゃあ有難く助言とやらを貰おうかな」
「ふっふっふ、此が中々簡単でね。必ずしも物をあげ無くてはならない訳では無いだろう?だから、彼に考えて貰うのさ」
「そんなのもう考え」
「『考えた』だろうけど、『試して』はいないよね?」
ぐッ、と喉が妙な音を鳴らす。
ごもっともだが、もし要らない等云われたら如何するのだ。
……何て事は気にしていないのだろうな。
この野郎無責任か。
まあ、この自信気な男の云う通り試した訳ではないし、高価な物を引き合いに出せば……何とかなるかも。
何依り、此奴の助言が間違った事は一度として無い。
「頑張ってみる……有難う」
「何て事無い。だけど────敦君の祝企画まで後一時間も無いからね?」
「へ?」
首が捥げそうな速度で壁時計を振り向く。
敦君の帰社予定は十六時。現時刻────十五時七分。
残り時間は、約五十三分。
「おあああああああああああああ!な、なん、何ッで、もっと疾く云わないんだよおおおおおおお!」
「忘れてた」
私の悲鳴、もとい断末魔の雄叫びは、傾いた西日に届いて燃えた。
*☼*―――――
その後、私はばたばた足音を響かせて歩き回り、祝いの席の為の買出しに付いて行くのと一緒に、一先ずの
兎に角急いで帰社したのは、十五時三十三分。暖かくなって来た季節故に汗を滲ませて走って来て善かった。与謝野先生には怒られなかった。
綺麗に飾り付けをして、
程無くして来た鏡花ちゃんからの連絡で、深呼吸をして気合いを入れた。
かちゃ、と静かめの音を立てて何事も無く顔を出した敦君に向かって、全員でクラッカアの紐を引いた。
涙目になって喜ぶ彼を順番に撫でたのを開始の合図に宴会が始まった。
──それから、三時間。
成人組は見事に酔いどれて仕舞い、介抱に勤しむ未成年組。
そんな時だったんだよ、この面倒臭い絡みが来たのは。
「YOU、敦君!君達は恋人同士だろう!ならば接吻して見せよ!」
「だ、だだだ太宰さん!?」
「なんだい?私の云う事が聞けないのかい?」
互いに顔を見合わせて、共通の意識を確認する。
──善し、逃げよう。
二人で如何にか言い訳がましい事を述べて、すたこらさっさと社から逃げ出す。
危ない、あれに絡まれると面倒だ。
差し伸べようとした手で鞄を引っ掴んで社の扉を閉めた。
*☼*―――――
行く宛が無かった為、走って来たのは人気の無い公園。
辺りは夜の暗闇に包まれているので、余計に静かで誰も居ない。
或る意味で、
逃げた際に鞄を持っておいて善かった。渡し損ねた贈呈品は有る。
静かな空間だと、本当の贈呈品も考え易いだろう。
彼の息が整うのを待ってから口を開く。
「敦君」
「何?」
「改めて、誕生日おめでとう。私から、ささやかだけど贈呈品」
両手で渡せば、驚きながらも両手で受け取って呉れる礼儀の正しさ。すぐに飛んで来る感謝の言葉。
何て善い子だろうね。
「あ、実は未だ有るんだよね」
「え、も、もう充分だよ!格好好い御椀と、御揃いの箸まで……」
「ふふ、善いの貰って多良福食べて欲しいから。それと、御揃いの箸は鏡花ちゃんと使って欲しいなって」
「え」
突然きょとんとする敦君。
勿論、予想出来てましたよ。
鏡花ちゃんと敦君の箸は、質素な感じで、敦君は未だしも鏡花ちゃんは女の子だし可愛いのが好いだろう、と敦君も云っていた。
真逆、私から贈られるとは思って居なかった筈だ。
勢いで本当の贈呈品も云って仕舞おう。
「それでね、もう一つの贈呈品は、物では無いんだけど……敦君のして欲しい事をしようかなって」
明日の休みの間も含めて、と照れ隠しに笑いながら云い放つ。
言い切ったが、非常に恥ずかしい。
屹度、敦君も顔が真っ赤に────なってない?
「あ、敦く」
「その期間って今から?」
「う、うん。今からどうぞ」
何処か怒った様に疾い口調で、双眸の虎のように剣呑な光を此方に向けている。
な、何か悪い事したか?
「この箸。一つは僕ので、もう一つは誰のって云ったか教えて」
「ええと、鏡花ちゃんにって……あ、鏡花ちゃんじゃなくても善いよ!?モンゴメリちゃんとか、与謝野先生とか、太宰と」
奪われたかの如く続きが失せる。
奪われたのは、言葉だけじゃない。
唇も、一緒に。
何時の間に後頭部に回っていた手が、肩に置かれて顔が離れて行く。
その瞳は矢張り鋭い。
怒っている、と云う依り……。
「敦君、若しかして拗ねてる……?」
「ッ少し丈……でも、今のは本当にYOUが悪いと思う」
「わ、私?」
「鏡花ちゃんに、って、YOUはそれで善いの?僕が鏡花ちゃんと御揃いの箸を使うんだよ?」
云ってる意味が判らず、眉を顰める敦君の感情も読めず、ただただ訊かれる言葉を咀嚼して、「使ってくれたら嬉しいし……」と控え目に答える。
「じゃあ、YOUの誕生日に僕が御揃い湯飲みをあげたとして、そのもう一つは太宰さんと使ってって云われたらどう思う?」
「そりゃあ、敦君と御揃いに……」
成程、然う云う事。
敦君は、私から御揃いの物を貰って、私と御揃いかと思ったのに、鏡花ちゃんに何て云うから、拗ねてた……のか。
ッ、何て一途に思って呉れるのだろう。
形振り構わず、敦君に飛び付く。
今日喜ぶべきは敦君なのに、私まで。
「僕と御揃いにして。これも善い?」
「ッ勿論!明日まで有効だし、何ならずっと……ッ」
引き剥がされて、荒く口付けられる。
一度離して、今度はゆっくり目を瞑って。
またゆっくり離すと、かちりと目が合う。
今度は、何時も通りの優しくて暖かい朝焼け色。
途端、その下の頬が、耳が、じんわり紅くなる。
「あ、あの!」
「ん?」
「その……して欲しい事、何だけど」
あ、う、と俯いては云いあぐねる。
口付けまでしておいて、今更真っ赤かい、と思うが口には出さないで待つ。
決心したのか、さっと顔を上げる。
「い、今から明日の夕方までのYOUの時間を……その、ぼ、僕に下さい!」
耳も首も、熟れた林檎の様な紅に染めて、彼は大きく云い放つ。
そんなの、訊く間でもないよ。
「勿論。私の時間を……ううん、何なら全部あげるよ。だから、
────貰って下さい」
最初から全てをあげる心算だったのだ。
何を、今更。
彼のアメトリンの瞳が落ちそうな位に目を見開いて、然してほっとした様に晴れやかに笑う。釣られて私も頬が緩む。
ふんわり抱き締めれば、強く背中に腕を回して呉れる。
おめでとう、敦君。
産まれて呉れて、出逢って呉れて────生きていて呉れて、本当に有難う。
初心なのに、何処か虎の様な獰猛な心を持つ彼とのこれからは、屹度長く、永く続いて行くのだろう。
*☼*―――――
(おまけ)
「鏡花ちゃん、今日は与謝野先生の処に泊まると善いよ」
「……判った。貴方も、邪魔しないであげて」
「ふふ、勿論。睦言の邪魔ほど、野暮な事は無いからね」
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作者名:りく | 作成日時:2017年5月9日 0時