コミュニケーションについて

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　女は綺麗事が嫌いだという。そのわけは、綺麗事を押し付けられやすい立場にあるから──だそうだ。でもそれって、別に性別とか関係なくて、押し付けられやすい人間がいるってだけだろ？

俺は綺麗事が嫌いだ。ぺろっと綺麗事を言う奴は基本馬鹿だと思ってる。言葉の意味を考えないことを当然だと思ってる、それが普通だと思ってる、そんな奴が人に救いの手を差し伸べようとするなんて、おかしい。本来の意味でなく偽善者だと思ってる。善を偽る者でなく、綺麗事を善と信じて疑わず他人にその善を説く奴を、偽善者だと言ってる。偽の善を説く者。偽善者だ。

善を偽る者なんて、そんなの十と余年も生きてる人間だったら皆に当てはまる。嘘をつかない人間はいない。人と関わるなら意識的にも無意識的にも善を偽らないと生きていけない。人類はみな偽善者だ。だから俺は本来の意味での偽善者は存在して当然だと思ってる。そもそも俺は性悪説派だ。人は生まれた時から悪。善になろうとしなければ善にはなれないし、落ちぶれる。


他人が何考えてるかなんてわからないし、関係ない。だから腹の中が綺麗事で埋め尽くされてようが何企んでようが勝手だ。基本的にそれが俺の考えだ。

たとえば俺の周囲にホ○がいるとしよう。確率的にはいておかしくない。だからいるのだろうし、いて構わない。上手く隠してさえいれば俺には関係ない。俺が不快にならなければそれはそいつら個人の自由だ。

ただし俺に関係があるなら別だ。自分だけなら綺麗事にまみれてほわりほわりと生きてもらってもいいぜ。そんなこと奴らだって俺なんかに指示されたくないだろうしな。でも人に影響を与えるなら、何も考えず綺麗に生きることは認めない。俺が、認めない。

俺に被害があるなら、公然の正義でなく、俺が嫌だから、やめてもらわなきゃ困る。

綺麗事の好きな連中は、人の嫌がることをするな、とまるで自分以外の他人もそう思っているとわかっているかのように高らかに言うが、しかし「大半に当てはまること」つまり「常識」は、必ずしも普遍性を持つわけではない。場所が変われば常識も変わる。常識は絶対ではない。相対的なものだ。

それを見失い、聞こえのいい言葉を唇に飾る人間のなんて多いことか。よく回る舌をお持ちのようだが、奴らは言葉の意味なんか考えちゃいないらしい。

そんな奴に導かれたくない。奴らは、導く立場であってはならない。まぁ、そんな俺も、どのくらい言葉の意味を知っているのかわからないんだけど。

ともかくすべてを知ったような口を叩かれたくない。綺麗事で塗り固められた決めつけをされたくないのだ。

勘違いするなよ。俺は「おまえにわたしの何がわかる」という自己顕示欲と中二病にどっぷり浸かった思春期まっさかりの恥ずかしい発言をしてるわけではない。俺の知らない俺を他人が知っているかもしれないし、やっぱり知らないのかもしれない。それはわかってる。

でも決めつけるという行為は、相手を知る上で邪魔になる。先入観。少しの決めつけが必要なのはわかってる。だってある程度分類しなければ、情報を引き出すためのキーを出すのに手間取る。だから、決めつけるなら広い視野を持っていてほしい。でないと俺が困る。

決めつけすぎると対応を誤る。決めつけは勘違いに近しい。勘違いしたまま行動したら駄目になるのは当然って言えるだろ？　結果俺をいらつかせる。いらついた俺はあんたや周囲に迷惑をかけるかもしれない。負の波紋を広げないためには、まず負という一滴をこぼさないようにしなきゃならない。

考えることは自由だ。思考は遺伝や経験によるから、統一なんてできやしないし、制限もできない。それだけは誰にも縛ることはできない。

しかしだからこそ思考は偏りやすい。制限されない思考だからこそ、自由だからこそ、誤る。

思い込みの激しいタイプはさらに自分も他人も見失いやすい。視野だけは広く、色々な角度から見て、色々な考えを持ってほしい。一方的に決めつけず、多方的に決めつけてほしい。数が多いほど偏りは少なくなる。知るほどに見失いにくくなり、わからないという不安も湧きにくくなる。

頼むから俺に迷惑をかけるな。迷惑をかけそうになる前段階で自分の不安とか怒りとか悲しみとか、そういうのをどうにか処理してくれ。まじで。自分はそういうの移されやすい性格なんだって俺はわかってるから、こうしてあんたに「俺に迷惑をかけるな」と言ってるんだ。俺が不安になったり怒ったり悲しんだりすれば、感化される可能性が高まるのはあんただ。だから俺というあんたにとっての不快の種を芽吹かせないために、あんたはあんたのためにあんた自身をコントロールするべきなんだよ。意味わかるか？

つまり自分の身は自分で守れって、そういう簡単なことを言ってるのさ。

人に縋るより自分でやった方が早いんだよ。自分はそんなに手に負えない生物じゃない。

他人の思考はわからないってさっき言ったろう。その逆で、つまりあんたの思考をすべて把握できるのはあんた一人なんだ。あんたのすべてをわかってもらおうだなんて無理な話だ。そして、あんたが考えて対応した方が断然早いし正確。人に縋るな。無闇に頼るな。

いや、あんたはもしかしからすでに自立しているかもしれないな。けどたぶん自立してない奴もいるだろうから言わせてくれ。

頼ることを前提に話を進めるな。端的に言うと、他人は駒として使うべきものだ。依存するための人形じゃない。駒と言っても相手は人間だし、俺はエゴイストが大嫌いだぜ。死んじまえってくらいに。でもエゴイストは、なぜ自分が今生きているのかわかってない。

世界は無価値の奴に無条件の愛情を注ぐほど優しくも甘くもない。世間があんたという存在になんらかの利用価値を見出しているからあんたは今生きていられるんだ。「自分に優しくしてくれる」とか「一緒にいると心地いい」とか「金を稼いできてくれる」とか。

もちろん、自分一人だけで生きられるのなら、あんたは他人に利用されなくても生きていける。でもそれは、他人を利用せずに生きることと同義なんだ。他者と関わらずに生きるなんてできない。

自分にとってメリットのある人間としか、人は付き合わない。あんたがそれを供給できなくなると、段々人は離れていく。あんただって他人に対してそうしているはずだ。いらついてるときにわざわざ嫌な奴とお茶しようだなんて思わないだろ。たぶん、もし人を利用するなら、ある程度心を開いた信頼できる友達に愚痴るんじゃないの。あんたの今の友達の数は、あんたもしくはあんたの付加価値にメリットを見出している人間の数だよ。

人間は利用され利用するもの。悪い意味じゃない。与えられ与えると言ってもいい。そうしないと生きていけない。


コミュ力あげたい奴はちょっと答えて。コミュ力上げるって具体的に何するつもりなの？　会話の訓練したり？　遊びに行ったりもするのか？

コミュ力高い人ってのは、他人と接するのが上手い人。人脈とか大事にしててするすると「他人と打ち解ける」。他人と打ち解けるためには何が要る？　楽な雰囲気、話術、表情。相手を楽にさせ、楽しませ、時に役に立ち、役に立たせる。それが上手いのがコミュ力高い人だ。互換性がある。与えられ続けるだけでも与え続けるだけでも、どちらかに大きく傾いた時点でそれはもうコミュニケーションじゃない。


考えろ考えろ。迷えよ、わからなくなってもいい。紙みたいに薄っぺらい人間にはなるな。ごちゃごちゃでいい。あとからそのおもちゃ箱覗き込んで整理すればいいんだから。

人に言われなきゃ何にもできない人間なんかにはなるな。画一的になるな。お前のとりえは何だ？　それは誇れるものか？　もしそのとりえがなくなったら、人はどのくらいあんたに失望すると思う？　考えろって。怖くても考えるんだ。逃げんなよ。それを受け入れろ。そして、あんたはそれに対してどうするべきなのか。どうしたいのか。考えろ。

どうにかしなきゃならない。人はつなぎとめなきゃ、あんたは見捨てられる。危機感を持て。あんたは今のままでいればいつか捨てられるんだよ。そのいつかは必ず近いうちに来る。その時になってからでは遅い。

捨てられたらこの国では生きていけない。どこかで人とつながっていなければ、あんたは何の保護も受けられない。見捨てられても新しい人間を探すんだ。あんたが生きるために。

馬鹿にされたからなんだよ。悪口言われたからなんだよ。誰かに何か言われただけであんたはそうなるのか？　ちがう。ならない。言われた言葉は他人の偏見だ。

あんたのことはあんたが一番よく知ってる。そして相手は、あんたの一部をちょろっと見ただけで、それをあんたのすべてだと思ってはやしたてる浅はかですかすかの脳みそを持った奴だったってだけさ。

その言葉の通りになるな。人の言われた通りに生きるな。自分を他人に奪われるなよ。決めつけられたからってあんたがその決めつけに従う義理はない。人の台本を忠実に演じなくていい。台本を書くのはあんただ。他人の書いた台本をなぞるのは、やめにしよう。


ざっと書いたがこれくらいだ。最後にもう一度言っとくぞ。俺に迷惑をかけるな。ただし手は貸してやるから必要な時に借りに来い。俺は、借りに来ない奴には貸さないことにしてる。そして借りたら返しに来い。これでやっとコミュニケーションは成立する。