悪女なんかいねぇよ！！！

ああ、ウザイ。


ヒロインみたいな性格のあいつがムカつく。絶対に、許せない。
いつもいつも、私の邪魔ばっかり。
だから、私は＿＿＿＿＿＿＿



ザシュッ、と皮膚と少しの肉が裂ける音が部屋に響く。
その後、ぽたぽたと赤い血が私の腕から垂れる。

はい、この小説を読んでいる貴方。
「は？結局お前悪女じゃん」とか思ったでしょ。

確かに今、私は自分の腕をカッターで切った。
だけど＿＿＿＿＿＿




「っ…キャ────────────────ッッッ！！！！！！！！！！！」

「うっっっさ！！！黙ってくんない！？！？
そもそも何勝手に私の部屋入ってんのよ！！！」

「いやぁああぁぁああああっ！！！！！」

「うっさいってば！！！マジで何なのアンタ！！！
私の！！可愛い可愛いガーリでキュートでプリチーな部屋で超音波出さないでよ！！」




キャー、なんて超音波を出すのは私じゃない。

目の前にいるクソ女が出すのである。
ほぼ毎回、私の部屋に侵入しては私のリスカしている現場を目撃し、超音波を出して去っていく。
どうしてこんなに面倒な奴が私の妹なのやら。妹ガチャだけは本当に大外れ。

そう思っていると、誰かがバタバタと足音を立てて部屋に入ってきた。
入ってきて直ぐに、




「おい、お前また切ってんのか！！！」

「ちょ、お父さん…これは違っ…」

「いい加減にしろ、この大バカ野郎！！！！！」




なんて叫び散らかして、私の頬を平打ちする。
頬に痛みが走って、そのまま私は床に倒れ込む。





リスカは、私が生きるために。
精神を安定させるために、やっていることなのに。

それを、否定しないで。お願い。


お願いだから、私が生きることを否定しないで。










ーーーーー
















また、お姉ちゃんが手首を切ってる。
何度もやめてと言っても、やめてくれない。

だから、お父さんやお母さんに知らせて止めてもらおう。そう思って、叫んで知らせてる。
だけど…お姉ちゃんは、それが嫌みたい。
この間は、凄く怒られちゃった。それでも、お姉ちゃんの体が心配だから＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿








夏休みが明けた後。




お姉ちゃんが学校に行かなくなった。







冬休みが来た。





お姉ちゃんが部屋から出てこなくなった。











暖かい、春が来た。
かわいいかわいい、つくしが生えている。
桜も、咲き始めている。そんな、季節の時。







お姉ちゃんは返事をしなくなった。


















＿＿＿＿＿＿おせんこうの、においがする。





























姉妹って、大変ですね。

ただ、それだけのお話。以上です。
これがフィクションで…良かったのかも？

最後に、一つだけ。
桜の花言葉はいくつかあるのですが…貴方は知っていますか？

「精神美」「優美な女性」「純潔」。

ポジティブで良いですね。ですが、中にはこんなものもあるのです。








「お願い、だから。」



「私を、忘れないで。」