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小|中|大|どうも、ユキです。
これは「本当の愛を教えて」というオリジナルBLの番外編みたいなものです。
本編はフラグを立ててしまい、すみません。けれど、沢山の人に閲覧して頂けてとても嬉しいです。
これは男主くんと榊原のお話ですが、まだ本編でくっ付けられていないのでまだ付き合ってません。
では、楽しんで頂けたら幸いです。
これは「本当の愛を教えて」というオリジナルBLの番外編みたいなものです。
本編はフラグを立ててしまい、すみません。けれど、沢山の人に閲覧して頂けてとても嬉しいです。
これは男主くんと榊原のお話ですが、まだ本編でくっ付けられていないのでまだ付き合ってません。
では、楽しんで頂けたら幸いです。
12月25日。
その日が近付いてくると、街は賑やかになってきた。
僕はこの日が苦手だ。両親はあまり一緒に過ごしてくれる事なんてなかったし、クリスマスプレゼントも貰ったことがなかった。
だから、子供の頃の僕はクリスマスが近付いてくる度に学校で周りの生徒がその話題を話しているのが、嫌で嫌で仕方なかった。
勿論、大人になった今でもクリスマス嫌いは直っていない。過ごす相手もいないし、子供たちが楽しそうな笑顔を浮かべながら話しているのを見るだけで、子供の頃の嫌な記憶が蘇るからだ。けど、今年は違った。
「おーい!相原ー!」
僕の名を呼びながら、こちらに走ってくる人影。それは、榊原だ。
今日は12月24日。要に言うクリスマスイブだ。
そんな日に、榊原からいきなり誘われ寒い中で僕は彼を待っていたのだ。
「ごめんな!待った?」
「待ったも何も、遅刻にも程があるだろ」
僕の手は手袋もしてないので、寒さで悴んでいる 。それに身体中が冷えているせいか身震いが止まらない。
気分は最悪だった。
「ごめんって。っていうか、手袋も何も無いのかよ。マフラーぐらいしたら?」
「……別に、必要ないし」
彼の気遣いとも取れる言葉に、僕は顔を逸らしながら答える。
そんな僕の様子を見て榊原が溜め息を吐いたのが聞こえた。
「お前、風邪引くぞ。まぁ、毎年風邪引いてないから大丈夫なんだろうけど」
独り言のように聞こえる言葉にも優しさを感じた。今日までずっと思っていたが、彼の言葉はいつも優しさが感じられる。
けれど、そんな気持ちを伝える勇気も持っていないので言えないままだ。
「……で、どこ行くの」
僕が問いかけると榊原は笑みを浮かべた。
「どこって、決まってんじゃん。何のために夜に待ち合わせしたと思ってんの」
ニコニコと輝かしい笑みを浮かばせながら言う彼に首を傾げた。
確かに夜に待ち合わせをすることなんて、これまでなかった。いつも彼に呼ばれる時は昼ぐらいが多いのだ。夜に外で会うのは滅多にない。
榊原の意図が掴めず、「なんだろ……」とずっと呟きながら考えた。
周りにヒントがあるのだろうかと辺りを見回すと、カップルや友人同士、家族で何やら楽しげに話している人々が目に入った。
皆は何をそんなに楽しみにしているのだろう、と疑問を抱く。
「ま、分からないならいいや。早く行こうぜ」
「あ、ちょっと……!」
榊原が僕の手を握って歩き出す。
握ってきた僕より大きな手は凄く温かく感じた。それは自分の手が冷えているからなのかと思ったら、なんだか身体まで温かくなるので不思議だ。
「そういえば、相原とクリスマスイブに会うなんて初めてだな」
歩きながら彼が言う。
確かに普段は誘われる事なんてなかった。予定を聞かれても僕の方が仕事が入っていて断り続けていたのだ。
「……そうだね」
素っ気ない反応になってしまったが、僕は答えた。
歩きながら辺りを見回すと、段々と人が増えてきた気がする。
今から向かう所に何か有名なものでもあるのだろうか、と不思議に思いながらも榊原に連れられるまま、歩き続けた。
* * *
暫く歩くと、榊原は立ち止まった。それ釣られるように僕も立ち止まる。
「どうしたの、榊原」
「相原、ちょっとだけ後ろ向いてて」
僕が榊原の方へ顔を上げようとすると、彼が咄嗟に僕の肩を掴んで後ろを向かせる。
一体なんだろうか、と僕はさらに疑問に思う。
周りを見ると、何かを見上げている人やスマホのカメラで記念写真を撮ろうとしている人たちが目立っていた。
「なぁ、榊原。なんなんだよ……」
「いいよ、相原」
問いかけようとすると『いいよ』と許可が降りた。
僕は振り向くと、一瞬にして目の前が光に包まれる。
「ッ……」
その眩しさについ目を細めてしまったが、その光の正体を見ると目を丸くした。
「うわぁ……」
つい声を出してしまい、彼が隣でクスッと笑うのが分かる。
目の前で光を瞬いている正体。それは、大きなクリスマスツリーだった。
大きなクリスマスツリーは黄色い光を瞬かせながら、街の広場の真ん中に堂々と佇んでいた。
「な?凄いだろ?」
隣で榊原が自慢気に問いかける。
僕はその問いかけに素直に何度も頷いた。
「うん、初めて、見た……」
僕はクリスマスツリーから目が離せなかった。
初めて見たのだ、クリスマスツリーを。
こんなに輝かしい物だったなんて、今日、初めて知ったのだ。
「ここのツリーさ、結構人気なんだって。だから、相原と一緒に見たいなって」
「ッ……」
彼のさりげない言葉に顔が熱くなるのが分かった。
そんな自分を変だと思い、顔を俯かせる。
どうして自分は顔を熱くしているのだろう、周りの雰囲気に呑まれているのだろうか。
分からない。自分が、分からなくなってしまっていた。
「相原?」
「ッ……!ぁ……」
顔を覗き込まれ、ばっちりと目が合ってしまった。真っ赤な顔も、恐らく気付かれただろう。
「どうしたんだ?顔、赤いぞ?熱でもあるんじゃ……」
「べ、別に、何でもない……!」
近すぎる事を気にしてしまい、彼を押す。
当然、榊原からしたらどうしたのかと疑問を抱くだろう。
それは百も承知だが、今の顔は見られたくない。
「……やっぱ、寒いのか」
そう言って榊原は自分が巻いていたマフラーを外し、僕に巻いた。
そして、僕の手の片方を持ち彼は自身の着ているコートの中に入れた。
「これで温かいだろ?」
「ぁ、う、うん……」
今こんな事をされてしまったら、おかしくなってしまう。
それが本音だ。現に今にも僕の心臓がパンクしそうな程高鳴っていた。
また、徐々に身体の体温も上がってくる。
その体温が伝わったのか、隣で榊原が「温かい」と呟いた。
「なぁ、相原」
「ん……?」
彼に話しかけられ、隣を見る。
そこに見えた彼の横顔はとても頼りたくなる、逞しい( 顔だった。
「俺さ、相原が体験してきた事なんて体験してないし、分かってないかもしれない。けど……」
榊原がこちらに目線を向け、目線が交わる。
僕は先程のように逸らすことなく、彼の瞳を見つめる。
「俺は、お前の力になりたい。何があっても、俺が守るから。だから、傍にいさせてよ。これからも、ずっと」
「……」
彼の言葉を聞いた僕は、今にも突っ込みを入れたくなった。
もう、既に彼には助けられてる。守られているのだ。僕が苦しいとき、死にたいとき、辛いときにはいつも傍にいてくれた。
それが、嬉しいんだ。
「ははっ。お前、何を言い出すかと思ったらそんな事かよ」
僕は笑みを浮かべた。そんな僕の姿を見て榊原は「なんだよー、人が真面目に言ってんのにー」と不満を溢す。
「いや、ありがとう」
僕は微笑みながら礼を口にする。
今ここに僕がいるのは、間違いなく榊原のおかげなのだ。
本当に、救われている。まぁ、本人には言わないが。
僕の言葉を聞いた彼は安心したように笑みを浮かべる。
その輝かしい笑顔がツリーの輝きの影響でさらに輝かしく思えた。
僕も連れられたように笑みを浮かべる。
今の自分の表情はどんな風に映っているのだろうか。
ちゃんと、笑えているだろうか。
今日はとても特別な日になった気がする。
自分の人生においての、めでたい日だ。
だから、この夜に祝福をあげよう。
大切な、君と一緒に。
End
『あとがき』
最後まで読んでくださってありがとうございました。
これからもこの二人を見守ってあげてください。
本編でもよろしくお願いします!byユキ
その日が近付いてくると、街は賑やかになってきた。
僕はこの日が苦手だ。両親はあまり一緒に過ごしてくれる事なんてなかったし、クリスマスプレゼントも貰ったことがなかった。
だから、子供の頃の僕はクリスマスが近付いてくる度に学校で周りの生徒がその話題を話しているのが、嫌で嫌で仕方なかった。
勿論、大人になった今でもクリスマス嫌いは直っていない。過ごす相手もいないし、子供たちが楽しそうな笑顔を浮かべながら話しているのを見るだけで、子供の頃の嫌な記憶が蘇るからだ。けど、今年は違った。
「おーい!相原ー!」
僕の名を呼びながら、こちらに走ってくる人影。それは、榊原だ。
今日は12月24日。要に言うクリスマスイブだ。
そんな日に、榊原からいきなり誘われ寒い中で僕は彼を待っていたのだ。
「ごめんな!待った?」
「待ったも何も、遅刻にも程があるだろ」
僕の手は手袋もしてないので、寒さで
気分は最悪だった。
「ごめんって。っていうか、手袋も何も無いのかよ。マフラーぐらいしたら?」
「……別に、必要ないし」
彼の気遣いとも取れる言葉に、僕は顔を逸らしながら答える。
そんな僕の様子を見て榊原が溜め息を吐いたのが聞こえた。
「お前、風邪引くぞ。まぁ、毎年風邪引いてないから大丈夫なんだろうけど」
独り言のように聞こえる言葉にも優しさを感じた。今日までずっと思っていたが、彼の言葉はいつも優しさが感じられる。
けれど、そんな気持ちを伝える勇気も持っていないので言えないままだ。
「……で、どこ行くの」
僕が問いかけると榊原は笑みを浮かべた。
「どこって、決まってんじゃん。何のために夜に待ち合わせしたと思ってんの」
ニコニコと輝かしい笑みを浮かばせながら言う彼に首を傾げた。
確かに夜に待ち合わせをすることなんて、これまでなかった。いつも彼に呼ばれる時は昼ぐらいが多いのだ。夜に外で会うのは滅多にない。
榊原の意図が掴めず、「なんだろ……」とずっと呟きながら考えた。
周りにヒントがあるのだろうかと辺りを見回すと、カップルや友人同士、家族で何やら楽しげに話している人々が目に入った。
皆は何をそんなに楽しみにしているのだろう、と疑問を抱く。
「ま、分からないならいいや。早く行こうぜ」
「あ、ちょっと……!」
榊原が僕の手を握って歩き出す。
握ってきた僕より大きな手は凄く温かく感じた。それは自分の手が冷えているからなのかと思ったら、なんだか身体まで温かくなるので不思議だ。
「そういえば、相原とクリスマスイブに会うなんて初めてだな」
歩きながら彼が言う。
確かに普段は誘われる事なんてなかった。予定を聞かれても僕の方が仕事が入っていて断り続けていたのだ。
「……そうだね」
素っ気ない反応になってしまったが、僕は答えた。
歩きながら辺りを見回すと、段々と人が増えてきた気がする。
今から向かう所に何か有名なものでもあるのだろうか、と不思議に思いながらも榊原に連れられるまま、歩き続けた。
* * *
暫く歩くと、榊原は立ち止まった。それ釣られるように僕も立ち止まる。
「どうしたの、榊原」
「相原、ちょっとだけ後ろ向いてて」
僕が榊原の方へ顔を上げようとすると、彼が咄嗟に僕の肩を掴んで後ろを向かせる。
一体なんだろうか、と僕はさらに疑問に思う。
周りを見ると、何かを見上げている人やスマホのカメラで記念写真を撮ろうとしている人たちが目立っていた。
「なぁ、榊原。なんなんだよ……」
「いいよ、相原」
問いかけようとすると『いいよ』と許可が降りた。
僕は振り向くと、一瞬にして目の前が光に包まれる。
「ッ……」
その眩しさについ目を細めてしまったが、その光の正体を見ると目を丸くした。
「うわぁ……」
つい声を出してしまい、彼が隣でクスッと笑うのが分かる。
目の前で光を瞬いている正体。それは、大きなクリスマスツリーだった。
大きなクリスマスツリーは黄色い光を瞬かせながら、街の広場の真ん中に堂々と佇んでいた。
「な?凄いだろ?」
隣で榊原が自慢気に問いかける。
僕はその問いかけに素直に何度も頷いた。
「うん、初めて、見た……」
僕はクリスマスツリーから目が離せなかった。
初めて見たのだ、クリスマスツリーを。
こんなに輝かしい物だったなんて、今日、初めて知ったのだ。
「ここのツリーさ、結構人気なんだって。だから、相原と一緒に見たいなって」
「ッ……」
彼のさりげない言葉に顔が熱くなるのが分かった。
そんな自分を変だと思い、顔を俯かせる。
どうして自分は顔を熱くしているのだろう、周りの雰囲気に呑まれているのだろうか。
分からない。自分が、分からなくなってしまっていた。
「相原?」
「ッ……!ぁ……」
顔を覗き込まれ、ばっちりと目が合ってしまった。真っ赤な顔も、恐らく気付かれただろう。
「どうしたんだ?顔、赤いぞ?熱でもあるんじゃ……」
「べ、別に、何でもない……!」
近すぎる事を気にしてしまい、彼を押す。
当然、榊原からしたらどうしたのかと疑問を抱くだろう。
それは百も承知だが、今の顔は見られたくない。
「……やっぱ、寒いのか」
そう言って榊原は自分が巻いていたマフラーを外し、僕に巻いた。
そして、僕の手の片方を持ち彼は自身の着ているコートの中に入れた。
「これで温かいだろ?」
「ぁ、う、うん……」
今こんな事をされてしまったら、おかしくなってしまう。
それが本音だ。現に今にも僕の心臓がパンクしそうな程高鳴っていた。
また、徐々に身体の体温も上がってくる。
その体温が伝わったのか、隣で榊原が「温かい」と呟いた。
「なぁ、相原」
「ん……?」
彼に話しかけられ、隣を見る。
そこに見えた彼の横顔はとても頼りたくなる、
「俺さ、相原が体験してきた事なんて体験してないし、分かってないかもしれない。けど……」
榊原がこちらに目線を向け、目線が交わる。
僕は先程のように逸らすことなく、彼の瞳を見つめる。
「俺は、お前の力になりたい。何があっても、俺が守るから。だから、傍にいさせてよ。これからも、ずっと」
「……」
彼の言葉を聞いた僕は、今にも突っ込みを入れたくなった。
もう、既に彼には助けられてる。守られているのだ。僕が苦しいとき、死にたいとき、辛いときにはいつも傍にいてくれた。
それが、嬉しいんだ。
「ははっ。お前、何を言い出すかと思ったらそんな事かよ」
僕は笑みを浮かべた。そんな僕の姿を見て榊原は「なんだよー、人が真面目に言ってんのにー」と不満を溢す。
「いや、ありがとう」
僕は微笑みながら礼を口にする。
今ここに僕がいるのは、間違いなく榊原のおかげなのだ。
本当に、救われている。まぁ、本人には言わないが。
僕の言葉を聞いた彼は安心したように笑みを浮かべる。
その輝かしい笑顔がツリーの輝きの影響でさらに輝かしく思えた。
僕も連れられたように笑みを浮かべる。
今の自分の表情はどんな風に映っているのだろうか。
ちゃんと、笑えているだろうか。
今日はとても特別な日になった気がする。
自分の人生においての、めでたい日だ。
だから、この夜に祝福をあげよう。
大切な、君と一緒に。
End
『あとがき』
最後まで読んでくださってありがとうございました。
これからもこの二人を見守ってあげてください。
本編でもよろしくお願いします!byユキ
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作者名:ユキ@オリジナル専用垢 | 作成日時:2018年12月25日 3時