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カラ松の二つの顔・前編【おそ松さん】


こちらの続きです。

一応バットエンドとハッピーエンドがあります。
バットエンドが好きな方は、[おまけ]を読まないでください。
ハッピーエンド厨の方は、[おまけ]を見てくださればいい感じに終わると願っています。



よろしければご覧下さい。
.



「ねぇねぇ、カラ松兄さんの本心知りたくない?」


そう言い出したのは誰だったか、確か十四松だったような気がする。その日はボロボロの状態でカラ松が家に帰ってきた、次の次の日だった。カラ松は客間で寝ていて、おそ松兄さんはパチンコに行っており、居間は僕と一松と十四松とトド松だけがいた。


「へぇ、珍しい。十四松兄さん気になるの?」


トド松は驚いてスマホから視線を外して、バランスボールの上でゆらゆら揺れる十四松を見た。


「うん、だってさ、一昨日にカラ松兄さん何かおかしかったから!辛そうだなって思って!」

『僕も気になる』


そう言ったのは、一松の膝の上に乗るエスパーニャンコだった。一松が慌てて口を塞ぐが、時既に遅しだ。ちなみにデカパン博士によると、あの薬は二週間程度効果が持続するらしいので、猫は今も本心をペラペラと話していた。

カラ松に関してなら、僕も思うところはあった。あの怪我のことだ。本人は道路にいた猫を助けようとして引かれたと言っていたが、あれは確実に嘘だろう。僕はあの夜の事を確かに覚えていたのだ。


「多分さ、あの怪我僕達のせいじゃないかな?」


僕がそう言うと、トド松はうつむき加減で頷いた。


「僕も、そう思ってた」

「うん。だからさ、エスパーニャンコを使って聞いてみようよ!」


驚いた。まさか十四松がそんなこと考えつくなんて。今日はヒョウでも降るのか?でも、確かにいいアイデアだった。そして、それはすぐに可決され、実行に移った。

まずはおそ松兄さんに提案すると、ニヤニヤした表情で賛成してくれた。カラ松の本心を聞きたいらしい。ついでにお兄ちゃんを褒めてほしいとのこと。やっぱり考えることはクズだった。

それから、皆で明日の予定を空けておいた。まあニートなので、予定を空けとくもなにも、空ける予定がないのだが。念の為カラ松にも聞いてみたが、特に予定は無いとのことだったので、明日作戦決行となった。




翌日。


居間には六つ子が勢揃いしていた。真剣な表情な五人と対照的に、カラ松はエスパーニャンコを抱えながら、状況がよく飲み込めないようで、一人慌てていた。唯一の頼りである兄を見たが、当然真顔でガン無視だ。


「え?なんなんだ、これ?何が始まるんだ?てか、一松の猫だろ?俺が抱っこしてていいのか?」

『なんだ?なんで皆真剣な顔してるんだ?俺だけ知らない事なんだ。……怖い』


一人だけ状況が分かっていないカラ松は、ずっと不安そうに兄弟を見ているが、全く誰一人反応を示さない。しかもエスパーニャンコがいきなり話し始めたので驚きを隠せない表情で腕の中の猫をガン見した。ちなみに、カラ松にはエスパーニャンコのことを教えていない。


「え!?喋った!?なぁ、今この猫喋ったよな!?」

「え、何も喋って無いけど何?幻聴?頭打って幻聴聞こえるようになっちゃったの怖いんだけど」


僕は息継ぎなしでそう言い切って、カラ松を押し黙らせた。いや、本当に悪いとは思ってるけどさ、これもお前の為だから。ついでに本題を切り出す。


「という事で、今から全ての質問に正直に答えてください」

「え!?は!?」

『どういう事だこれ!?』


カラ松は僕と自分の気持ちを代弁したエスパーニャンコを交互に見る。色々よく分からない状況が続きキャパオーバーしたのだろう。けど、僕達はスルーして作戦を決行した。


「カラ松、その怪我痛い?」


一番最初に質問したのは僕だ。当たり障りのない質問をぶつけると、カラ松は不審そうに首を傾げる。


「いや、全然痛くないぞ?」

『チョロ松はいきなりどうしたんだ?俺の怪我の心配とか、今日は槍が降るのか?』


(お前、僕の事なんだと思ってんだよ!?)

僕は怒りで思わず立ち上がったが、後ろから十四松とトド松に羽交い締めにされた。カラ松はというと、何故僕がキレているのか分からず、不安そうに眉を潜める。


「やっぱりこの声聞こえてるんだろう?」

「聞こえてない!まじ何も聞こえてないから!カラ松兄さん、本当に頭打ってどうかしちゃったんじゃない!?」


トド松が必死に弁解したおかげで、カラ松は怪しがりながらも納得してくれた。僕もやっと落ち着いた。

危ない、計画がオジャンになるところだった。カラ松が単純脳でよかった。

ほっと息をつくと、カラ松に見えないところでトド松が凄い顔をして睨んできた。


「じゃあさ、カリスマレジェンドな俺のことどう思ってる?」


おそ松兄さんが目をキラキラさせながら聞く。こいつは馬鹿なのか?


「おそ松を?そうだな……ぐうたらでしっかりしてなくて、自己中で、ただのパチンカス」

『ぐうたらでしっかりしてなくて、自己中で、ただのパチンカス』


エスパーニャンコはカラ松の言ったことを、一言一句間違うことなく繰り返した。ほらみた事か。



「お前なぁ!!」

「本心なんだから仕方ないだろ」


カラ松がバッサリ斬り捨てると、おそ松兄さんは拗ねて部屋の隅っこにいった。勿論、誰も相手にしなかった。まあ当然だよな。そんな自分勝手なおそ松兄さんをトド松は冷たい目で見る。


「もう!おそ松兄さんは邪魔しないで!それでさ、カラ松兄さん、その傷どうしたの?」


トド松が躊躇いながらも核心をついた質問をする。もしこれで僕達のせいだと分かったら全力で謝り倒そうと思っていた。



──思ってたんだよ。





「ん?だから前説明しただろ?キャットを助けようとして引かれたって。心配することはないさ」









『なんでそんな事聞くんだ?今更俺の心配か?無神経にも程があるだろ。一体俺がどれだけ苦しんだか、どれだけ痛かったか知りもしないくせに。お前達のせいじゃないか。それが「その傷どうしたの?」って。呆れを通り越して失望だな』








居間に沈黙が広がる。


「おい、どうしたんだ?」


カラ松は僕らには聞こえてないと思っているのだろう。この沈黙がなんなのか全く分かっていなかった。


「カラ松兄さん、怒ってる?」


十四松は口元にダボダボの袖を当てて、震える声で尋ねる。


「いいや?というか、なんで俺が怒る必要があるんだ?」


『怒るもなにも、怒りを通り越してもはや何も感じなくなってしまったからなぁ。お前達にそんな感情を向けるのも勿体ない』


その言葉に十四松の動きがピタッと止まった。僕のメンタルもそうとうやばかったが、流石に十四松が可哀想だったので励まそうと肩に手を置くと、マッサージ機ばりに小刻みに震えていた。


「……お、俺のこと、信じてる?」


そう聞いたのは、一松。まさか一松が発言すると思わ無かったので純粋に驚く。カラ松も驚いていたが、すぐに嬉しそうにふにゃりと笑った。


「勿論信じてるぜ!」


『勿論信じてたさ。









けど、今は信じてない。いや、信じられないよな。お前達の事なんて』

「なっ……」


一松はショックのあまり固まる。クズな自分を、唯一信じていると言ってくれた人からそんなことを言われたら、衝撃は相当だろう。特にメンタル的に弱い一松にとっては。

ずっと黙りこくっていたトド松が、真っ青な顔でカラ松を見つめる。


「カラ松兄さん、僕達の事好き?」


よく分からない状況にカラ松は首を傾げながらも、トド松の質問に自信満々な表情を浮かべた。


「勿論、愛してるぜぇ、ブラザー?」


『勿論、愛して“ た”ぜ、兄弟』



もう絶望しか感じなかった。

どうしてこうなったのだろうか。僕達はただ、カラ松謝りたかっただけなのに、謝ってから存分に甘やかそうとしただけなのに。

よく分からなかった。一体目の前にいる男は、本当に松野カラ松なのだろうか?もしかしたら、松野カラ松の皮をかぶった別人なんではないだろうか。いや、元・カラ松の別人なのかも知れない。でもこれだけは分かった。

この男は、六つ子の中には入っていないのだ。


「カラ、松。僕達、六つ子、だよね?」


聞いてはいけないのは分かっていた。でも、どうしても聞かずにはいられなかったのだ。もしかしたら、最後の希望に縋りたかったのかもしれない。嫌いになっても六つ子は六つ子だ、と言って欲しかったのかもしれない。──そんなこと無いはず分かっているのに。


「何言ってるんだ?当然だろ!」









『何言ってるんだ?六つ子?笑わせんなよ。お前らはただの“ 他人”だろ?』









[おまけ](ハッピーエンドが見たい方のみ)





「ドッキリでした!」


そう言ったのは、ずっと部屋の隅で拗ねていたおそ松だった。それに続いて十四松も跳ね上がる。


「ねっ!びっくりした?」


状況を飲み込めない、チョロ松と一松、トド松はただただ呆然としていた。


「騙して本当にすまなかった!おそ松が『ちょっとドッキリ仕掛けてみようぜ』って言うから。お、怒るならおそ松にしろよ!」


カラ松は慌ててそう付け加えたが、三人からは全く反応がなく、おどおどしている。


「それにしても、カラ松。お前本当演技上手いのな。俺まじであんなこと思われてるかと思ってびっくりしちゃったよ」


おそ松が笑いながらそう言うと、カラ松は真顔になる。


「いや、あれだけは本心だ」


結果、おそ松は部屋の隅へと逆戻りして、また拗ね始めた。やっぱり今回もスルーされる。


「僕も、嘘だって分かってるのに、一瞬本当かと思ってびっくりしちゃった!」

「そうか!一生懸命練習した甲斐があったな!」


十四松に褒められて、カラ松は嬉しそうに笑った。

一方騙された組は、やっと落ち着いてきたようで、カラ松の前に一列で正座した。


「さっきの全部嘘ならさ、僕達のこと好き?」


不安そうに聞くトド松にカラ松は何度も激しく頷く。


「勿論さぁ〜」


『勿論愛してるぜ、ブラザー』


エスパーニャンコは明るい声でそう言う。それは、カラ松が心からそう言っていることを表していた。


「じゃ、じゃあ、俺のこと、まだ信じてくれてる?」

「当たり前じゃないか!今も、これからもずっと信じてるぜ!」

『信じてるぜ、一松!』


一松は今まで見たことがないくらいの笑顔を浮かべる。エスパーニャンコ以上の笑顔だと言っても良いくらいの笑顔だ。


「僕達、六つ子だよね?」


チョロ松は恐る恐ると言った感じで尋ねる。


「ああ、俺達は六つ子だぞ!」

『ああ、俺達は六つ子だぞ!』


その瞬間、チョロ松の目から涙がドバっと滝のように流れ出た。慌ててカラ松が抱きしめると、その腕の中で馬鹿馬鹿、と良いながら何度もカラ松を殴っていた。


「どこのカップルだよ!」


トド松はそうツッコミながらも、その様子をちゃっかり動画に収めていた。


「じゃあ、カラ松は僕達のこと嫌いじゃ無いんだよね?」

「ああ」『ああ』

「大好きなんだよね?」

「勿論だ」『勿論だ』


チョロ松が再度カラ松の兄弟愛を確かめると、ドッキリ被害者の三人は大泣きしながらカラ松に飛びついた。


「カラ松、本当にごめん!もうあんな事しないから!」

「か、カラ松、兄さん。……ごめん」

「カラ松兄さん!本当にごめんね〜!!大好きだよ!今度また釣りしに行こ!ショッピングしに行こう!」


いきなり飛びついてきた三人に驚いたカラ松だったが、すぐに嬉しそうに笑顔を浮かべた。


「ああ、いいんだ。俺は謝罪の言葉が聴けるだけで充分だぜ。ああ、弟達に愛される人生、セラヴィー!」

「カラ松兄さんいいなー!僕もぎゅーってする!」


羨ましかったのか、十四松が笑顔でタックル並の勢いで抱きついてきた。その様子をおそ松は部屋の隅で微笑ましそうに眺めていた。それを見つけたカラ松は、悪戯っ子の表情を浮かべる。


「おそ松も入らなくていいのか?」


それにおそ松は目を丸くして、ニシシと笑った。


「入るに決まってんだろ!」


おそ松は十四松以上の勢いで五人に抱きついた。そして、暫く松野家の居間は明るい笑い声に包まれたのだった。







ちなみに一段落ついた後、当然おそ松は三人にしばかれましたとさ。



めでたしめでたし

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renatomokl(プロフ) - ハッピーエンドが良かった (2018年3月28日 9時) (レス) id: fd87631936 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:青狸 | 作成日時:2017年12月3日 16時

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