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２→(http://uranai.nosv.org/u.php/hp/5b3f2d4e824/)
上の作品の続きものとなります
これ単体だと流れがつかめないと思いますので、前作を拝見してからのほうがいいと思います。
ピクシブにて書いていた小説を、占いツクールに同じ内容で投稿しました。
楽しんでみていただければ幸いです。
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これ単体だと流れがつかめないと思いますので、前作を拝見してからのほうがいいと思います。
ピクシブにて書いていた小説を、占いツクールに同じ内容で投稿しました。
楽しんでみていただければ幸いです。
報告書
【製作者：警視庁公安部 風見裕也】
爆弾事件においての被害者である置鮎国光についての報告。
DNA鑑定による降谷零との血縁関係が立証されたことについての報告。
本名、置鮎国光（警視庁刑事課犯罪組織対策本部）。
潜入捜査の偽名として手塚雨令として活動を行っていた。
印象操作を目的とした化粧を得意とする潜入捜査専門の刑事。
新人ではあるが、東都だけではなく関西にある犯罪組織を壊滅に追い込むなど優秀な手腕の持ち主であった。
先日の爆発現場は今現在潜入中の組織と付き合いがある運び屋から記憶媒体を直接回収する場所であったと考えられる。
現場の検視や処理班の隊員に聴取すると、解除に失敗した爆弾を被害者が常時腹部に巻いていたもので爆風と爆発によって作られる破片が致命傷を与えないようにしたと考えられる。（資料は裏面に記載）
事故直後、被害者の身元を確認するものがなかったため、DNAを採取し鑑定したところ、被害者と警察庁警備企画課に所属する降谷零のDNAの一部が
降谷は鑑定の結果を最後まで観覧することなく何も口にせずに目を閉じ天を仰いだ。
「・・・厄介な事実が浮かび上がったものだな」
被害者、もといあまり記憶に残っていない同期のことを思い浮かべる。
が、なんの印象も残らずに名前の音だけが頭の中で反芻しただけだった。
変な噂なく特に親しいヤツも居ないような奴だった気がする。そんなやつは大勢の人の中で浮きそうなのに器用な気質で上手く学校で円滑に渡っていて感心した記憶がある。
だが、それだけだ。それしか印象に残っていなかった
なにも思い出せやしないのだ。
その本人の性格や個性どころか当時の容姿すらも思い出せずもやもやとくすぶる感情が出てくる。
確かにそんな特性は潜入捜査専門となったことも頷ける。
いつの間にか隣にいて、誰とでも合わせられる奴だった。
面倒事が増えたことには変わりがないが、彼女には感謝しなければならないだろう。
国際的犯罪組織である黒の組織に潜入するにあたり、自分のこれまで降谷零として生きた証拠を抹消した。それはもう、塵も残らないようにまっさらと。
だというのに、警察官として初期のころに採取したDNAデータが未だに残っていたのだ。
犯人は未だ逮捕されていないが、どこの誰でも引き起こせるような、特殊案件でもない平凡な犯罪の調査で。
普通の警察官が調べられる位簡単に情報を引き出されてしまった。
それを理解した途端、背筋が凍り付いた。
それが意味すること。それは単純明快、その証拠を盾に脅しだってできるという事実だ。
その一つの出来事で戦況がひっくり返ることもありうる。
自分の知らぬ場所で自分の弱みを握られてはたまらない。人の口に戸は立てられぬとはよく言うものだ。
どこから漏れるか分からないのだから、自分で把握できたことは大きいだろう。
この時期で気付けたのはかなりの幸運だった。
黒の組織のネームドになりかけていなくて本当に良かった。組織からコードネーム候補として打算され、他の情報屋に身辺調査を入れられていたらアウトだった。
証拠を隠したり消したりすることは出来るが、“ソレ”に感づかれたらスパイ容疑がかけられる。それだけならまだいいが、囮として無茶な任務を任せられることも、銃撃戦のさなかに放り出されることもある。
確実に俺の心臓に風穴が開くことなる。物理的に。
つまりそれは何の成果も得られず無駄死にするだけになる。
しかも同じ警察から潜入しているヒロにも影響がいき、組織の調査がし辛くなるだろう。そうなるのは絶対に避けたかった。
その点だけならば彼女に感謝しなければならないだろう。
そして降谷は再度資料に目を通す。DNAが一致した、といってもその割合がどれほどかにもよるのだ。それに一致したというだけだ。彼女との正しい関係が分からないことにはどうにもならない。近しい親戚ならば、年が近いのだから会うこともあっただろう。警察を目指していたのならば、噂になる良い的になる。女性で公務員、しかも男の職業というイメージが強く東都という特殊な環境下の中だ。人の好奇心に火をつけることは容易いことだろうと考えを巡らせた。
が、そんな記憶はなかった。それに置鮎なんて苗字は耳にしたことがない。
添付されている顔写真には純日本人のように考えられた。綺麗な黒髪に一般的な造形をしている。
という事は父方の血筋かとあたりをつけ、そちらの家系図をのぼっていくかと頭の片隅で考えた。
あぁやることが多すぎる上にこんな案件が回ってくるなんて。
少なくとも血がつながった身内だろうから俺自身が調査しなくてはならない。
俺（身内）がやるのは客観性こそないが、まともに話したこともなく今まで関わりがなかったからそんな気遣いは無用だろう。
元々これは他の部署の仕事なんだが、俺（公安）が関わっているからには迂闊に手放にしておけないんだよな・・・
というか不祥事だ。そんなことを知られたら困るどころの話じゃない。
これは本当にミスなのか。作為的なもので誰かが陥れようとしているのか。
後者だった場合、誰が関わりどこまでの範囲を狙っているのかが分からない限りこの案件を知る人は少なくした方がいいだろう。
はぁ、とため息をついて彼女の顔を改めてちゃんと見てみる。
ふわりとした軽くて細い黒髪に病的なまでに白い肌に形のいいたれ目気味な瞳。
青白い肌色にそれを添えるように、瞳は青がかっている。
降谷なら絶対にしないであろう笑みでそこに収まっていた。
彼の面影をどことなく残した少女の顔が、そこにはあった。
その顔の鼻部と口元を自分の指で隠し彼女の名前をこぼす。
目元なんて俺にそっくりじゃないか、とひとり自嘲しながらコーヒーをすすった。
まるで孫を見る祖父母のような感想だな。あちらの方が俺より年は上らしいが。
彼女が実年齢には到底見えないからだと考える。比べられるものではないが、俺より相当な童顔だ。
影があり、儚げな印象を与えるこの人が犯罪者に混ざって活動しているとは夢にも思わないだろう。自分も人のことを言えないが。
手塚雨令として写された別の写真を見ながら比べる。
綺麗だった黒髪は脱色され、ピアスを身に着け横髪を刈り上げ短髪にしていた。
化粧をまとい雰囲気を180度変化させた彼女は挑戦的な笑みで切り取られている。
組織での立ち位置は情報戦を主とした何でも屋、か・・・全てオールマイティにこなす器用貧乏で雑用や数人で組んでやる任務も1人でやるには荷が重い仕事も何でもござれの天才型ということになる。
それにしても、
「手塚雨令、か。彼女は俺のことを知っていたんだろうな・・・」
偽名に使っていたソレが降谷の本名を崩した文字だ。分かりやすいことこの上ない。
隠す気すらないだろう。呆れてくる。
彼女と対話が出来たらいいのに。彼女は俺にどんな感情をぶつけていたのだろうか。
嫌っていた？どうにも思わず無関心だった？憎んでいた？異性として好いていた？確率はものすごく低いがその名前はもしかすると本当に偶然だったりするのか？警察学校時代、俺のことをどう思っていたんだ？どんな風に生きてきたんだ？貴方はどんな性格をしていたんだ？
・・・なんて、関わりあうことはおろか、聞くことすら出来もしないのに淡々と考えてしまう。
関わりが薄く、貴方存在を認識していなかった俺が。
そんな俺が貴方のことを大切にしたいと言ったら、その俺に似た顔でどんな表情を浮かべるのだろうか。
半分血がつながった俺が、今更ながら貴方と繋がりをもって家族として出会い関わりを持ちたい、だなんて。
【製作者：警視庁公安部 風見裕也】
爆弾事件においての被害者である置鮎国光についての報告。
DNA鑑定による降谷零との血縁関係が立証されたことについての報告。
本名、置鮎国光（警視庁刑事課犯罪組織対策本部）。
潜入捜査の偽名として手塚雨令として活動を行っていた。
印象操作を目的とした化粧を得意とする潜入捜査専門の刑事。
新人ではあるが、東都だけではなく関西にある犯罪組織を壊滅に追い込むなど優秀な手腕の持ち主であった。
先日の爆発現場は今現在潜入中の組織と付き合いがある運び屋から記憶媒体を直接回収する場所であったと考えられる。
現場の検視や処理班の隊員に聴取すると、解除に失敗した爆弾を被害者が常時腹部に巻いていたもので爆風と爆発によって作られる破片が致命傷を与えないようにしたと考えられる。（資料は裏面に記載）
事故直後、被害者の身元を確認するものがなかったため、DNAを採取し鑑定したところ、被害者と警察庁警備企画課に所属する降谷零のDNAの一部が
降谷は鑑定の結果を最後まで観覧することなく何も口にせずに目を閉じ天を仰いだ。
「・・・厄介な事実が浮かび上がったものだな」
被害者、もといあまり記憶に残っていない同期のことを思い浮かべる。
が、なんの印象も残らずに名前の音だけが頭の中で反芻しただけだった。
変な噂なく特に親しいヤツも居ないような奴だった気がする。そんなやつは大勢の人の中で浮きそうなのに器用な気質で上手く学校で円滑に渡っていて感心した記憶がある。
だが、それだけだ。それしか印象に残っていなかった
なにも思い出せやしないのだ。
その本人の性格や個性どころか当時の容姿すらも思い出せずもやもやとくすぶる感情が出てくる。
確かにそんな特性は潜入捜査専門となったことも頷ける。
いつの間にか隣にいて、誰とでも合わせられる奴だった。
面倒事が増えたことには変わりがないが、彼女には感謝しなければならないだろう。
国際的犯罪組織である黒の組織に潜入するにあたり、自分のこれまで降谷零として生きた証拠を抹消した。それはもう、塵も残らないようにまっさらと。
だというのに、警察官として初期のころに採取したDNAデータが未だに残っていたのだ。
犯人は未だ逮捕されていないが、どこの誰でも引き起こせるような、特殊案件でもない平凡な犯罪の調査で。
普通の警察官が調べられる位簡単に情報を引き出されてしまった。
それを理解した途端、背筋が凍り付いた。
それが意味すること。それは単純明快、その証拠を盾に脅しだってできるという事実だ。
その一つの出来事で戦況がひっくり返ることもありうる。
自分の知らぬ場所で自分の弱みを握られてはたまらない。人の口に戸は立てられぬとはよく言うものだ。
どこから漏れるか分からないのだから、自分で把握できたことは大きいだろう。
この時期で気付けたのはかなりの幸運だった。
黒の組織のネームドになりかけていなくて本当に良かった。組織からコードネーム候補として打算され、他の情報屋に身辺調査を入れられていたらアウトだった。
証拠を隠したり消したりすることは出来るが、“ソレ”に感づかれたらスパイ容疑がかけられる。それだけならまだいいが、囮として無茶な任務を任せられることも、銃撃戦のさなかに放り出されることもある。
確実に俺の心臓に風穴が開くことなる。物理的に。
つまりそれは何の成果も得られず無駄死にするだけになる。
しかも同じ警察から潜入しているヒロにも影響がいき、組織の調査がし辛くなるだろう。そうなるのは絶対に避けたかった。
その点だけならば彼女に感謝しなければならないだろう。
そして降谷は再度資料に目を通す。DNAが一致した、といってもその割合がどれほどかにもよるのだ。それに一致したというだけだ。彼女との正しい関係が分からないことにはどうにもならない。近しい親戚ならば、年が近いのだから会うこともあっただろう。警察を目指していたのならば、噂になる良い的になる。女性で公務員、しかも男の職業というイメージが強く東都という特殊な環境下の中だ。人の好奇心に火をつけることは容易いことだろうと考えを巡らせた。
が、そんな記憶はなかった。それに置鮎なんて苗字は耳にしたことがない。
添付されている顔写真には純日本人のように考えられた。綺麗な黒髪に一般的な造形をしている。
という事は父方の血筋かとあたりをつけ、そちらの家系図をのぼっていくかと頭の片隅で考えた。
あぁやることが多すぎる上にこんな案件が回ってくるなんて。
少なくとも血がつながった身内だろうから俺自身が調査しなくてはならない。
俺（身内）がやるのは客観性こそないが、まともに話したこともなく今まで関わりがなかったからそんな気遣いは無用だろう。
元々これは他の部署の仕事なんだが、俺（公安）が関わっているからには迂闊に手放にしておけないんだよな・・・
というか不祥事だ。そんなことを知られたら困るどころの話じゃない。
これは本当にミスなのか。作為的なもので誰かが陥れようとしているのか。
後者だった場合、誰が関わりどこまでの範囲を狙っているのかが分からない限りこの案件を知る人は少なくした方がいいだろう。
はぁ、とため息をついて彼女の顔を改めてちゃんと見てみる。
ふわりとした軽くて細い黒髪に病的なまでに白い肌に形のいいたれ目気味な瞳。
青白い肌色にそれを添えるように、瞳は青がかっている。
降谷なら絶対にしないであろう笑みでそこに収まっていた。
彼の面影をどことなく残した少女の顔が、そこにはあった。
その顔の鼻部と口元を自分の指で隠し彼女の名前をこぼす。
目元なんて俺にそっくりじゃないか、とひとり自嘲しながらコーヒーをすすった。
まるで孫を見る祖父母のような感想だな。あちらの方が俺より年は上らしいが。
彼女が実年齢には到底見えないからだと考える。比べられるものではないが、俺より相当な童顔だ。
影があり、儚げな印象を与えるこの人が犯罪者に混ざって活動しているとは夢にも思わないだろう。自分も人のことを言えないが。
手塚雨令として写された別の写真を見ながら比べる。
綺麗だった黒髪は脱色され、ピアスを身に着け横髪を刈り上げ短髪にしていた。
化粧をまとい雰囲気を180度変化させた彼女は挑戦的な笑みで切り取られている。
組織での立ち位置は情報戦を主とした何でも屋、か・・・全てオールマイティにこなす器用貧乏で雑用や数人で組んでやる任務も1人でやるには荷が重い仕事も何でもござれの天才型ということになる。
それにしても、
「手塚雨令、か。彼女は俺のことを知っていたんだろうな・・・」
偽名に使っていたソレが降谷の本名を崩した文字だ。分かりやすいことこの上ない。
隠す気すらないだろう。呆れてくる。
彼女と対話が出来たらいいのに。彼女は俺にどんな感情をぶつけていたのだろうか。
嫌っていた？どうにも思わず無関心だった？憎んでいた？異性として好いていた？確率はものすごく低いがその名前はもしかすると本当に偶然だったりするのか？警察学校時代、俺のことをどう思っていたんだ？どんな風に生きてきたんだ？貴方はどんな性格をしていたんだ？
・・・なんて、関わりあうことはおろか、聞くことすら出来もしないのに淡々と考えてしまう。
関わりが薄く、貴方存在を認識していなかった俺が。
そんな俺が貴方のことを大切にしたいと言ったら、その俺に似た顔でどんな表情を浮かべるのだろうか。
半分血がつながった俺が、今更ながら貴方と繋がりをもって家族として出会い関わりを持ちたい、だなんて。
少し虫が良すぎる話かな。
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作者名：出雲流夏 | 作成日時：2020年8月8日 16時
