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あんま長くないので、ホムペに投稿することにしました。そのうち長編として発展させます。
ハンバーガーが潰された。まるで私のように−−。


人もまばらになってくる、夜遅くのファストフード店。カウンター席から見える窓の外の人々は、みんな自分のことで忙しい。本来夜に高校生は入れないが、露出の高い服とけばけばしい化粧で、誤魔化した。


隣の薄汚いサラリーマンの口に、包み紙ごと圧縮するように、詰め込まれる。歯がトマトと牛肉をじゅくじゅく混ぜ合わせる音が耳に届いた。


ファストフード店のハンバーガーは、まるで自分を見ているようで滑稽だった。たいして味わわれることもなく、腹を満たすためだけに存在する。


ぎゅっと押し込まれ、はみ出て落ちるレタスは、学校という社会に馴染めない私のようだった。手について、じゅぱじゅぱとしゃぶられるソースは、強者からいいように嬲られる私のようだった。


注文したハンバーガーとコーラに手はつけず、ただじっと座っていた。私を待つものは誰もいなかった。家に帰っても誰も待っていないのなら、帰らなくてもいいのだ。


逃げるように学校を出て、ファストフード店に駆け込む。人形のように動かずに、ただ時間を潰す。これはもう一種の趣味や習慣と言ってよかった。


鞄の中の携帯が、ピロンと通知を告げる音を出す。まともな高校生なら、嬉しい音であろう、だが私はこの脳天気な音がなによりも嫌いであった。そう思うと、窓の向こうのネオンに目が焼かれるような思いがして、腰を上げロッド棒を回すと、ブラインドを閉めた。


取り出して携帯を持ち上げると、まるで汚物にでも触っているような気がした。メッセンジャーアプリで、同級生から投げつけられる罵詈雑言に「生きていてごめんなさい」とだけ返信をした。それでも罵倒は止まず、再度「ごめんなさい」と入力したときに、無性にこの世の理不尽に対する怒りが湧いてきた。


携帯を操作していない左手で、結露の消えた紙コップを握り締める。ひしゃげた後、手に温いコーラがかかった。手を乗り越えて、お盆をじわじわと侵食していくそれを、拭きもしない。


隣のサラリーマンがちらりとこっちを見たのを視界の端で捉える。テーブル席に座ったカップルの女の方が「やだ、あの子」と男に耳打ちしたのが聞こえた。


別にいたたまれなくなったわけではない。鞄をむき出しの肩にかける。コーラでベトベトの手も洗わずに、盆だけ返却棚に返すと、店を後にした。手のつけていないハンバーガーはごみ箱に捨てた。


駅の方面へ、夜の街を歩く。酔っ払いの集団。人目を気にせずいちゃつくカップル。妻子が待つ家にはやく帰りたいと見える会社員。様々な人がいたけれど、その中に、私と似てる人も、受け止めてくれる人もいなかった。愛憎乱れる夜の街で、ひとり孤独を感じる。


駅の中の店はシャッターが閉まりきっていた。ホームに降りるのに、階段でヒールの音がカンカンと鳴り響いた。ヒールの音に合わせるように、アナウンスのチャイムが鳴る。


「まもなく、下り電車が通過します。ご注意ください」


凛とした女性の声も、鬱々とした頭では沈んで聞こえる。数秒置いて、二度目のアナウンスの後。コォォオと夜の冷たい空気を切り裂いて、新幹線がホームにを通り過ぎようとしていることに気がついた。


−−楽になれるんじゃないか。


その場にバックをおいて、血で染めたような赤いハイヒールを脱ぐ。たった二つ変えるだけで、解放されたような気がして。


小石を踏んだ足裏の痛みは気にしない。妙に軽くなった体に、全身を使って駆けるような気すら起きた。


線路が全く見えない暗闇に、私は飛び込んだ。新幹線の眩いライトがスポットライトのように私を照らしたのが、人生の最後であった。

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作者名:まるお | 作成日時:2018年4月24日 15時

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