6種類の結果パターン

貴方の元で戦えて幸せでした。願わくば、ずっと共にありたかった――。 - 2024年4月19日

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　🌸加州清光



本丸が炎上した。

歴史修正主義者に本丸の場所を悟られ、卑怯にも寝静まっている丑三つ時を利用し叩いてきた。
夜戦となれば打刀以上が不利になると思っていたものの、皮肉にも炎上した本丸は昼間のように明るくて、自然と視界が広がった。


その時、真っ先に脳裏を過るのは大好きな主。
あなたの名前を必死に叫んで審神者部屋まで駆ければ、あなたは運よく傷つけられずに今にも泣きだしそうな顔で座っていた。

どうやら刀剣男士が審神者部屋には辿り着かせないように踏ん張り耐えていてくれたらしい。


清光。
俺を見るなり、安心した感情が押し寄せてきたのか頬に落涙させた。


　大丈夫だよ、主。俺があなたを護るよ。絶対に主は死なせない。
　記憶が例えなくなっていても、あなたが生きている限り、あなたが審神者を続ける限りまた巡り合える。それが縁(えにし)というもの。

主の腕を引いて廊下を走る。振りかざされる刀を刃で受け止め、押し返す様に切り捨て、主だけでもと沢山の仲間と敵が刀を交える中走り続けた。


やがて見えたのは、人一人っ子程が通れる裏道だ。
この存在までは、流石の時間遡行軍も把握しきれていないはず。

主を裏道へ繋がる古びた扉の前に立たせ、開けるなり押し込んだ。抵抗する主を押さえつけるようにして、すぐに結界で全体を覆う。


審神者といえど、神の力には敵わない。
時間遡行軍といえど、開けるにはかなりの力が必要となるだろう。主が逃げれる分だけの時間は十分に稼ぐことが出来る。


あなたが俺の名を呼んだ。
ぼろぼろと涙を零して俺を見つめいかないでと嗚咽と共に漏らしていた。


主。
結界に額を合わせ、あなたを呼ぶ。

目を閉じれば、流れ星のように過ぎていく数多の思い出と、あなたに対する思い。


　俺ね、主の初期刀で幸せだったよ。
　初めの刀に選ばれたとき、俺に務まるか不安だったけど、あなたが俺を頼ってくれて嬉しかった。

　あなたの隣は、とても暖かくて望むのであればいつまでもずっと共にいたかった。
　けど、それは無理みたいなんだ。


そんな言葉を飲み込んだ。
あなたに笑いかける。




「主。


俺を可愛がってくれて、


使いこなしてくれて、


愛してくれて。


始めの刀として選んでくれて、


ありがとう」




もう少し、あなたに愛されたかった。

そうして彼は敵陣に身を投じた。


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　――可愛い最愛の初期刀
　加州清光の言葉はそれで最期となった

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