【鬼滅の刃】日替わり定食

15種類の結果パターン

お待ちどおさまでした！本日の日替わり定食です！ - 2024年4月18日

タラの芽って苦くない？

そう呟いた事が幸か不幸か。

それは、何とも言えません。





任務で一緒になった、同い年の竈門炭治郎君。

歩く度に耳飾りが揺れるカランカランという音が耳に心地良い。




鬼を討伐し終えて、休息場所を探して歩く中、ポツポツと色々な事を話す。



出身地とか、修行で大変だった事とか、色々。

他愛もない話を取り留めもなく。



その中で引っかかる答えがあった。

趣味だ。



炭治郎君の趣味が掃除なのは分かるよ、分かるけど頭突きって？ねぇ？

「俺は長男だから！」
って言ってたけど。

長男だと頭突きが趣味になるの？
分からんわぁ……。


「好きな食べ物は？私は貯古齢糖が好きなの！」

と気まずい雰囲気を払拭するように私は問う。


少し考えて炭治郎君は答えた。


「タラの芽だな！」

「苦くない？！？」

「そうか？！」


甘党の私からしたら相当苦いです。
軽く恐怖感あるくらい。


「あっあそこに藤の家紋の家があるね！」


タラの芽の悪夢から眼を背け、私は一際大きな声で言った。



その家で少し休息をとる。


炭治郎君と同じ部屋で、またさっきのように話をしていると、ガラリと襖が開いた。


「お食事の天婦羅で御座います。」


家主が手早く食事の準備を整え、部屋を後にする。


「こういう家の方って、どうしてこんなに素早いの……。」

と呟くと、炭治郎君も本当にその通りだと笑う。


暫くお互いに無言で天婦羅を頬張る。

何せ任務後だ、お腹ペコペコ。


海老の天婦羅。

薩摩芋の天婦羅。

蓮根の天婦羅。



タラの芽の天婦羅。



箸が止まる。

炭治郎君の方をちら、と見ると、視線に気がついたのか目が合った。



「どうした？具合悪いのか？」



心配そうに聞いてくる炭治郎君。
流石、長男。


お皿を見て納得したように頷くと、彼は言った。


「それ、食べないのか？」

「貰って……！」


炭治郎君のお箸がタラの芽の天婦羅を掴む。

そして、炭治郎君の左手が目の前に。


「YOU、口開けて？」


真っ暗になった視界に、響く彼の声。

思わず言われた通りに口を開けると、舌の上に何かが乗る。


ほろ苦い……？


それと同時に何が起きたのかを遅れて理解し、顔に熱が集まった。


「美味いか？」


開けた視界に映った炭治郎君はいつも通りの優しい笑顔。

味なんか分からないくらい動揺して、私はタラの芽の天婦羅を飲み込んだのだった。

★

右端の星を押してくれたらまた食べさせてあげるぞ！

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