寝る前にのんびり読む話【UndertaleAU】

34種類の結果パターン

素敵な夢を見られますように。 - 2025年4月19日

＊マフィア(SD!Dream)

それは、仕事からの帰り道の出来事であった。

人気のない港町を帰路に選択した私も悪かったのかもしれない。

人気も街灯も全くない暗闇の中、波が打つ音だけがよく響くその街で、空気を切り裂くような銃声が鳴った。

突然の出来事に固まってしまったが、それが銃声だと認識した瞬間に、私はその場から逃げ出そうと無我夢中で走り出した。

……はずだった。

「……カワイソウな迷子の迷子の子猫ちゃん」

　◯

肩を揺さぶられる感覚に、ゆっくりと瞼を開ける。

それなのに周りを見てもどこも真っ暗で一瞬混乱したが、おそらく目隠しがされているということに気づく。

「お目覚めか？」

その声は確かに、意識を失う前に聞いた人物の声と一致していた。

「アンタも、なんであんな人気のない場所に居たんだろうなァ。聞いたんだろ？ この音を」

こめかみあたりに、ひんやりとした感覚。そして、カチャリ、と聞きなれない金属音。

『……！』

視界を奪われている為、余計な事を考える暇もない。

想像力は膨らむばかりで、その引き金が引かれたらどうなるかなんて考えてしまい、私は小さな悲鳴を漏らした。

ドクンドクンと脈が速くなる。“まだ死にたくない”と、五月蝿いくらいに心臓が叫ぶ。

『ちが、私は何も聞いてない、ですっ』

「……ふぅん？」

案外頭は悪く無さそうだな、なんて呟いた彼はしゅるりと私の目隠しを外す。

目の前には、黒い清楚なスーツを身に纏った、黄色と赤の綺麗なオッドアイを持つ男がいた。

「あーあ、顔見られたな。これじゃあどっちにしろ、タダで帰すわけにはいかない」

『……！？』

くく、と意地悪く笑う男のセリフに、私はじんわりと嫌な汗を垂らす。

『……殺されるん、ですか？』

そう問いかけた声は喉に引っかかり、死の恐怖にぐらぐらと瞳を揺らした。

「アンタは俺にどうされたい？」

角ばった手で顎を掴まれて、至近距離で無理やり視線を合わせられる。

『……死にたくない』

素直な気持ちを伝えると、目の前の男はニィッと不気味に笑った。

「はは！ 気に入った。アンタ、誰かに似てると思ったらオレの弟だ。気弱のクセに芯だけは強い」

私の顎から手を離した彼は、値踏みするように私を見つめる。

「アンタもつくづく不運なことだ。マフィアに攫われた挙句、オレみたいなやつに気に入られるなんてなァ」

もう戻れない、なんて甘く耳元で囁かれた言葉が重く胸にのしかかる。

「アンタ、オレの女になれ」

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