それ、反則。【男性声優】

31種類の結果パターン

あなたの本日の占い結果です - 2024年4月25日

「YOU、今日仕事？」


突然聞こえてきた声にノートパソコンのキーボードから指を浮かせて、扉の方を向く。
隙間から上半身を覗かせた小野坂さんは携帯片手にこちらに問いかけた。


『今日は休みです』
「そっか。俺今から行ってくるね」


お見送りをしようと先に玄関に向かった背中をパタパタと追いかける。
振り向きざまに私の姿を捉えた目元は嬉しそうに細まった。


「夜まで帰ってこないけど、大丈夫？」
『大丈夫ですよ』
「寂しくない？」
『…何歳だと思ってるんですか』


…そりゃあ年の差はあるかもしれないけど。


「泣いたりしない？」
『大、丈、夫ですっ！！』


背中をぐいぐい押しつつ反論するとケラケラ楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
なんか追い出される気分ー、だなんて、いつまで笑ってんですか。ほんと。


「何時になるかわかんないけど」
『ごはん用意して待ってますから』
「あ、助かる」


何を作ろうか。
野菜は結構あった気がする。ちょっと寒いからシチューなんかもいいかも。あとはサラダと…。
ぼーっと今日のメニューを頭の中で組み立てる。
うん、これでいこう。


ぱっと意識を戻せばすぐ目の前に小野坂さんの顔。
…目の前、に？


『…何ですか…？』
「ん？ ほら、何か忘れてない？」
『部屋見てきましょうか？』
「いや、そっちじゃなくて、こっち」


首元に手が伸びてきたかと思えば軽く唇が触れ合う。
唇が離れたかと思えばそのまま手は頬へと滑り。
目元を擽るように円を描く親指にきゅっと目と口を結ぶ。


「んー…」
『いつまでやってるんですか』
「YOUが寂しくないようにねー」
『早く行ってくださって大丈夫ですよ』


辛口ー、と冗談混じりに笑い続け、靴の踵を鳴らす彼。


「んじゃ、行ってくる」
『お気をつけて。あと、』


夜ご飯、待ってますから早く帰ってきてくださいね。


俯いてポツリと言葉を零す。と。
視界が真っ暗になり、大好きな匂いに包まれる。
ぐしゃぐしゃと、多少乱暴に頭を撫でる手に、また目を瞑った。
身体にまわる腕は痛いほどに抱き締めてくる。


「絶対早く帰ってくるから！！」
『う…ん。お願いします…』


ひとしきり満足したのか彼はそのまま玄関から姿を消した。
見えなくなるまで見送ってから、バクバクとうるさく鳴り続ける胸に手を当てて、壁に背を預ける。
…もう。


反則、なんですってば。

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