【🎲】君を励ます3分ちょい！【all】

5種類の結果パターン

本日のお相手はこちら - 2024年4月25日

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＿＿＿＿＿＿幼い頃にテレビで見た歌手は、今まで見たこともないくらい輝いて、眩しかった





いつか私も、誰かの前で、誰かを笑顔にできる歌を披露したい





それだけを胸に、これまでの人生全てを費やして、がむしゃらに突っ走ってきた




音楽について学びたくて、そこそこ有名な音大に入学した



才能の“さ”の字もない自分に幻滅しながらも、ただ“歌いたい”という思いだけで自分を貫いた





そうして血を吐くような思いで通った音大を卒業して、今よりもっと私の世界は広がっていくのだと、……そう、信じて疑わなかった









現実は、そこまで甘くなかった









「……YOU、大、丈夫？その……なにか、あったの……？」


「……ううん、なんでもないよ。だから今は、一人にして」









音大を卒業して一年が過ぎ去ろうとしていた、その日



学生時代から続けていた路上ライブがいつも通り失敗して、機材の片付け中に運悪く雨に降られて、その瞬間、なぜだか立ち上がれなくて




そのまましまったギターを目の前に蹲っていたら、大学生の時から何かと私を支えてくれた彼氏が、傘をこちらに傾けて背中を摩ってくれた



一人にしてと言っても尚、ずっと





彼はよっぽどの用事がない限り、こうして私のライブを聴きにきて、帰りは一緒に帰りながら色んな感想や改善点を教えてくれる



その時間が、何よりも大好きだった








「……私、もう、音楽やめようかな……」


「え？」








今日まで色んなことに挑戦してきた


でも、どれも結果はパッとしなかった




折れるのは早すぎるのかもしれない



だけど、約四半世紀を費やしてきた音楽が使い物にならないと思い知らされる絶望というのは、想像以上に辛くて苦しかった









「……あのさ、YOU。今度僕に、楽曲提供してくれない？」


「え……？」


「僕さ、YOUの音楽が大好きなの。聞く人を優しく包み込んでくれるような音色も、歌声も、今までしてきた努力もひっくるめて、大好き。だから、もっと色んな人に知ってほしい」








彼の左手が、私の冷え切った右手を優しく握ってくれる








「……たとえ世界は気づかなくても、僕は君のこと、ちゃんと見てるよ。だから自信持って」








あぁ、彼は本当にズルい



そんなことを言われたら、前を向かずには、いられないじゃないか








【大好きな君の音】

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