ツキプロ男子と甘い夜

7種類の結果パターン

今日の彼は…？ - 2024年4月20日

_____桜庭 涼太


深夜1時。先程読み終わったばかりの本を閉じ、緩やかに立ち上がって伸びをした。


「んー…もうこんな時間か」


寝る前に少しだけ、なんて読み始めたら面白くて止まらなくなった結果、これである。
やはり、本には魔物が住んでいると思う。
…とはいえ、集中してなかなかの長さの本を読み切ってしまったため、のどが渇いた。
布団に入る前に何か飲もうと、キッチンへ向かった。

♂♀

誰もいないだろうと思った共有ルームに足を踏み入れると、意外なことに先客が。


「リョウくん…？」

「あれ、YOU？どうしたの、こんな夜更けに」


彼の手には一杯の水。寝付けなかったのだろうか。
にしても、意外だったのは彼も同じようで。


「本を読んでたら止まらなくなっちゃって…寝る前にホットミルクでも飲もうと思って来たの」

「ふーん」

「飲む？」

「じゃあ…よろしく」

「ん。」


短い会話を交わし、牛乳を入れた手鍋をコンロに置いた。


「リョウくんは？」

「寝付けなくて気分転換で外歩いて来たから、水分補給かな。」

「へぇ、なんか以外」

「そう？よくするんだけど」


二人で穏やかに笑い合いながら、温かくなっていく牛乳を見つめる。


「眠れないから体動かす、ってタイプには見えなくて。」

「んー、夜の散歩は結構いい気分転換になるんだけどな？」

「じゃあ、今度眠れないときにしてみよっと。」


沸騰直前の牛乳に少量のシナモンと蜂蜜を入れて、二つのマグカップに移し、片方を彼へ。


「ん」

「ありがとう」


湯気が散る程度に軽く息を吹きかけて熱をさまし、口をつけると、仄かな甘みに確かな温かさ。
なんだか安心してほうっと息をつくと、隣からくつくつと笑い声が聞こえた。


「…なに？」

「ふふ、だっておばあちゃんみたいで…」

「あっ、ひどい！」


少しすねたように睨んでみても、彼は笑い続けていて。私もそれにつられ、つい一緒になって笑ってしまった。
…彼の隣は、なんだか心地がいい。


「あー、笑った。これ、ご馳走様」

「うん」


もう寝るらしい彼は、シンクにカップをおいて部屋へと向かった。
…が、Uターンして戻ってきて、私の耳元に吐息混じりに何やら囁いた。


「女の子が夜に出歩いちゃだめだよ？襲われる。」


”例えば俺に…”なんて。今度こそ部屋に戻る背中は嫌に楽しそうで。
赤くなった頬が悔しくて、暫く立ち尽くしてしまった。

＿＿＿＿
涼「高評価、コメントよろしく。…夜は気をつけてね？」

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