【ダイヤのA】今日はどこにキスされる？【小湊亮介】

22種類の結果パターン

ねぇ、キスしていい？ - 2024年4月25日

腹 (回帰)




大学も卒業間近になって、高校の時から付き合っている亮介とそろそろ同居しようかなんて話もしていた頃だった。

このところずっと調子が悪い。
最初の頃は何となく身体に違和感を感じる位だったけど、それが徐々に悪化し今では物を食べれば全て吐いてしまう。
亮介と一緒にいても些細な事でイライラして八つ当たりしてしまい、それで喧嘩になると気分が酷く落ち込んで鬱っぽくなった。

きっと変な病気にかかってしまったんだ。
ネガティヴな思考はどんどんマイナス方向へ進み、もうすぐ死ぬんじゃないかと思うほど気落ちする。

亮介にはどうしても言えなかった。
心配させたくなかったし、何より嫌われるのが怖かった。


「気持ち悪い…辛いよ…」


朝から何も食べれず胃の中は空っぽのはずなのに吐き気が治らない。
食事も出来ず吐いてばかりでもう動く気力もない。
見兼ねたお母さんがとうとう救急車を呼んだ。
病院なんて行きたくない。
もうすぐ死ぬって言われたら？
怖い。


「亮介…」


会いたい。
泣きながら亮介に送ったメッセージは、意思に反して『別れよう』の一言だった。








「YOU！」


病室のドアが乱暴に開く。
視線を向けた先には、息を切らした亮介が立っていた。


「別れようってなんだよ、納得できない。大体体調悪かったなんて聞いてないよ」
「亮介…どうして…」
「何回連絡しても出ないからお前の母さんに聞いた」


怒っているような、それでいて不安の滲む表情。
来てくれた嬉しさと安心で涙が溢れる。
亮介はすぐに近付いてくると、強く私を抱き締めてくれた。


「一人で抱え込むなよ」
「ごめんなさい…嫌われたくなくって…」
「嫌いになんてなる訳ないだろ」


真っ直ぐに亮介を見上げる。
もう逃げない。


「亮介…私、妊娠した…」


亮介の表情に驚きが広がる。
彼は暫く言葉を探すように黙っていた。


「…俺の子？」
「当たり前じゃん」
「そっか…」


驚きの後の放心。
ポカンとしている亮介を不安げに見上げる。


「…産んでもいい…？」
「当たり前じゃん」


私と同じ言葉を返し、亮介は照れたように笑う。
そして身を屈めて私の腹部へキスをした。





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回帰:一回りして元のところに戻る事
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「またここから、今度は3人でスタートだね」

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