扉を開けると君がいる。【sxpx】【日替わり】

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扉の先にいたのは… - 2024年4月25日

ベージュのような薄汚れた重いドアを
開ける。



「失礼します…」



と放送の邪魔にならないよう、声を
抑えながら挨拶をすると




「あ、YOUちゃん！

今、音楽かけたところだから大丈夫だよ。」




と聞き取りやすい、明るい声が聞こえてきた。




「遅れてすみません、莉犬先輩。」




月に2回、同じ放送委員会のため一緒に
放送をしている莉犬先輩。

ちなみに片思い中。




「大丈夫だよ。体育だったの？」




私の抱えている教科書を見ながら聞いてくる。




「はい。

佐藤先生に片付けやるように言われちゃって…」



「あ〜wお疲れ様w

とりあえず、お弁当食べよっか。」



「あ、そうですね！」




すっかり忘れてた。

持っていた教科書を棚に置き、
左手で持っていたお弁当を開き箸を進める。



ふと時計を見るともう次の
放送しなければいけない時間になっていた。




「あ、次は私が放送しますね。」



「よろしく〜」




持っていた箸を置き、マイクの方に近づく。



用意されている台本に1回目を通してから、
マイクのスイッチを入れる。




「委員会からの連絡です。」




最初の頃と比べれば、だいぶスムーズに
読めるようになった。



終盤に差し掛かった頃、後ろで何かが
落ちる音がした。

一瞬驚いたが放送中だったことを思いだし、
なんとか読み切る。



ふぅ、と息を吐いてから後ろを見ると
そこには顔を真っ赤にしている莉犬先輩と
床に落ちた私の箸が。




「えっとぉ…

何があったんですか？」



「あ……のぉ、その。えっと…」




目線をあちこちに向けていてまるで、
小さい子が言い訳を考えているようだ。




「怒らないんで、大丈夫ですよ。

何があったのか、言って貰えますか？」




ふわふわとした赤い髪に手を置く。


え、待って。めちゃくちゃフワサラ。



……ん？

もしかして私、先輩の頭、撫でてたりする？？？

ワッツ？？？




「す、すすすみません…！」



「だ、大丈夫だよ…


それよりも、YOUちゃんのお箸、
落としちゃったから洗ってくるね！」



そういうと床に落ちていた箸を奪うように
取り、部屋を走って出ていった。



箸を落としただけなら、なんであんなに顔、
真っ赤だったんだ？


.




(あ〜、ヤバい。

間違えてYOUちゃんのお箸使ったのに
気づいて、動揺して落としたとか絶対言えない！



こ、これって間接キスだよね…!?



片思いの子と間接キスとか、ヤバすぎでしょ…！)

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