テンプレ通りに事故ってヤンデレ世界に転生した件

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人生頑張れ - 2024年4月25日

『ガウェイン』

物腰柔らかなおっとりとした好青年。プレイヤーからは大体お兄ちゃんと呼ばれている。
ガレス、ガヘリス、アグラヴェインと弟が3人もいるというのと、本人もお兄ちゃんを自称しているのでなるべくしてなった愛称なのかもしれない。

そんな彼は、ランスロットやアグラヴェインとは違った方向で弱者を愛する性格である。

愛の形が、ランスロットが脅迫、アグラヴェインが調教なら、ガウェインは博愛というか。

甘やかしてくるというか、ダメ人間製造機ということである。

そんな彼が私に何のようだ私は自立してるぞ……！

とりあえず指定された食堂に向かった。



「これを、味見してほしくて」

と、言われて出されたのはこの世界にしては珍しい卵焼き。

それにしてもなぜ私が試食役なんだ。

「食堂のおばちゃんから聞いてね、君の料理は独特だけど美味しくて評判もいいって。だから君に試食してもらおうと思って」

そこかぁ……恨むぜおばちゃん。

私は卵焼きを口に運ぶ。普通に美味しい。甘めの味付けがなんだか懐かしくてほろりときた。

「あのね、もし他にも料理知ってたら教えて欲しいんだけど……実はおばちゃんから聞いた君の料理、弟たちが特に気に入ってくれてねー」

私と会話しながら料理器具を片付ける彼の後ろ姿はお兄ちゃんというか母親そのもので。まぁ、それくらいなら。病んでる感じもしないし。と了承することにした。


それから、学園の放課後は食堂か調理室で彼と(たまにおばちゃんも参戦)試食をしながら雑談するのが日課になっていた。

彼の作るものはとにかく美味しく、余るとお裾分けとかしてくれるので食費が浮く。ありがたい。

弟たちにあげたら？ と言ったことはあったが

「弟たちは部活とかの関係上帰ってくるのが遅くなりがちだからねー……どうしても冷めちゃうんだ。成長期だし、出来立てをたくさん食べて欲しいんだよね」

気づけば夜ご飯は完全にお裾分けだけになっていた。

断っても「勿体ない」と言われるとどうしても受け取らざるを得なくなってしまう。

そして、

「これ、作ってきたから食べて欲しいな」

「そういえば今日模擬戦闘だね、はいこれ傷薬」

「来週は苺の週でしょ、はいこれ……」

どうしよう過干渉すぎる。行ってもないこちらの日程を全て把握してる。苺の週の意味を知ってゾッとした。

予定をずらすと、若干脅迫まがいに次の予定を聞いてくる。



気がつけば彼がいないのが異常になっていた。

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